陽のあたる場所

こたろ

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君の鼓動

君の鼓動8

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「フクくんと会う機会も減っちゃうねぇ…。」

「寂しいっすね…。」

「世の中不況だねぇ…。」


この仕事現場では、数ヶ月前にシャドーさん率いる撮影メンバーの解散が言い渡された…。


「でも震災前に決まってまだ良かったですよね。

どうせ震災来たら結局俺らは解散でアタフタしてたかもしれませんしね(笑)」



解散を言い渡された当日、シャドーさんはかなり動揺していた。


正直俺はここの仕事は自分のやりたい方向性ではなく、

シャドーさんと仕事するのが楽しいから続けていただけだった。


だから俺はいずれは辞めようと考えていたからそこまでの打撃はなかった…。



だけどカメラマンのシャドーさんはここでの仕事はレギュラーで、

ここの稼ぎの割合が多かったはずだからかなりの打撃をくらったはずだ…。



だけど俺は気の利いた言葉を掛けることもできなかった…。



シャドーさんは後に

『あの時はかなり落ち込んで一週間程精神的に参っておかしくなっていた』

と話していた…。




世の中不況だ…。


ファッション業界なんて特に不況だ……。


宗介のような上流の仕事は震災の影響があまりなかったようだけど、

俺の身の回りの人達は、かなり震災の影響を被っていた…。



そう、ファッションなんて人間が生きてく上では二の次で、


別になくても生きていけるものなのだ。




「もうカメラマンも"フリー"は流行らないらしいね…。」


「シャドーさんどうするんスか!?」


「ちょっと就職も考えてるよ…。」


「そうですかぁ…。」



カメラマンのシャドーさんは俺なんかよりずっと収入も多いから、

仕事が1つなくなったとはいえ生きて生けるだろうけど、

結婚もしているし呑気なことも言ってられないようだ。



俺もなんだか先の見えないこれからの生活に不安を感じていた…。



そんな3月末日の夜中12時を過ぎると、

俺は真央に"おめでとうメール"を送信した--。
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