陽のあたる場所

こたろ

文字の大きさ
上 下
131 / 449
溺れる魚

溺れる魚5

しおりを挟む
震災から2日後の飲み会当日の昼休み、

俺とシゲルは高円寺の中華料理屋で昼飯を食べながら今日の飲み会の話をしていた--。



「フク、いいんだよ。

節電以外は普通に生活した方がいいからね。」


「分かってる。それは俺も同じ考え。


だけど、今日予約してるのって焼き肉屋で電気もすげぇ使いそうだし、

しかも火を使うからデカい余震でもきたら危なくねぇか?」


シゲルは元々マイ弁当を持参していたのに、今日は敢えて外食をして

経済の流通を円滑にしようと微力ながらに行動していた。



「まぁもう予約しちゃってんだし、今更考えてもしょうがないっしょ!?(笑)」



「それもそうだな(笑)

与えられた状況を楽しまなきゃな♪」



自粛自粛と騒がれる中、自粛モードに俺もシゲルも反対派というか…


みんな自粛しろだの、募金だの、ボランティアだの…もちろんそれ自体は"良いこと"なのかもしれないが

みんながみんなそっちに突っ走って、結局そういった機関がパンクしてる現状に俺とシゲルは呆れていた…。




そう、自粛とは何も生み出さないのだ。



でもこんな状況ではナーバスになってしまうのも分かるし、自粛するのを悪いとは言わない。



だけど本当に被災地を助けたいならば、今まで通り…いや、むしろ今まで以上に浪費することが自分には最善と俺は考えていた。





仕事が終わった後、いよいよ焼き肉屋に向かって、みんなで飲み始めた。


今日の飲み会は高円寺の職場を辞める1人の送別会というカタチだった--。



みんな余震の不安からか、いつもよりハイペースで飲んでいるようで酔っ払いが続出していた(笑)



その後酔っ払い達のノリでカラオケにも行って…


「みんな入れないなら俺いれちゃうよ?(笑)」


「シゲルズルいっ!!

俺もそれ唄いたいっ!!」



カラオケ中、シゲルと俺と


同じ職場でフィリピン人の"キャリー"と"エミリー"の4人が

酔っ払った勢いで騒ぎまくって、ハイテンションで場を盛り上げていた(笑)




でもこの日、俺はなんだか胸騒ぎがしていたんだ…。



酔っ払って家に帰ると宗介はまだ帰ってなくて…

俺は1人部屋の中、不安にかられていた---。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

由紀と真一

廣瀬純一
大衆娯楽
夫婦の体が入れ替わる話

島猫たちのエピソード2025

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。 でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。 もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

【完結】さよなら、私の愛した世界

東 里胡
青春
十六歳と三ヶ月、それは私・栗原夏月が生きてきた時間。 気づけば私は死んでいて、双子の姉・真柴春陽と共に自分の死の真相を探求することに。 というか私は失くしたスマホを探し出して、とっとと破棄してほしいだけ! だって乙女のスマホには見られたくないものが入ってる。 それはまるでパンドラの箱のようなものだから――。 最期の夏休み、離ればなれだった姉妹。 娘を一人失い、情緒不安定になった母を支える元家族の織り成す新しいカタチ。 そして親友と好きだった人。 一番大好きで、だけどずっと羨ましかった姉への想い。 絡まった糸を解きながら、後悔をしないように駆け抜けていく最期の夏休み。 笑って泣ける、あたたかい物語です。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

手術したらパニック障害になりました

あやは
エッセイ・ノンフィクション
パニック障害 名前は知っててもどんな病気か詳しくは知らなかった。 電車も乗れない、美容院、病院、人混みのスーパー、外食、アミューズメントパーク。全部が行けなくなる。楽しみを奪うこわい病気。 卵巣嚢腫手術後、無理をしすぎてパニック障害になってしまった私の闘病記。

絶望から始めましょう

葦家 ゆかり
現代文学
上京し銀行に就職した風谷真希(かぜたに まき)は、やりたくない仕事や恋人との破局を経て、鬱になってしまう。最後の力を振り絞って引っ越した海辺の町・下田で、海を眺め、新しい人と交流しながらなぜ自分はこうなってしまったんだろうと過去を振り返っていく。不安定な家庭、毒親、愛か何か分からない自分……。 それまでの考え方や人生をリセットし、息のしやすい新しい人生を再構築していく希望と再生の物語。

田舎のお婆ちゃんから聞いた言い伝え

菊池まりな
ホラー
田舎のお婆ちゃんから古い言い伝えを聞いたことがあるだろうか?その中から厳選してお届けしたい。

追悼

アーエル
エッセイ・ノンフィクション
🌻🐰✨️🌻🐰✨️🌻🐰✨️🌻🐰✨️🌻🐰✨️🌻🐰✨️ 文字どおり追悼を投稿します ときどき 投稿するため 公開にしています 他社にも投稿します

処理中です...