陽のあたる場所

幸福の変革者

幸福の変革者8

「うわぁ…。

凄いね…。カッコイイけどこうゆう奇抜な格好って難しそう…。」


私はあれからずっと悶々としていて、

FRUITSをバイト先に持ちだして玉木さんと２人でみていた。


「そうかなぁ…。」


「ダメじゃないけど…


あなたは今のままでいいよ。」



玉木さんは明らかに乗り気じゃなかった…。



「……。」


「……。」



私たちは沈黙したまま、雑誌のページも止まったまま…

少し不穏なムードをかき消すように、玉木さんはタバコに火を付けた。


「……ふぅ。」


玉木さんはお気に入りのマルボロメンソールライトを一服すると、


またパラパラとFRUITSのページをめくりだした。



「…あ！玉木さんそれ何本目！？


タバコ減らすって言ってたじゃない!?」



タバコ嫌いだった私は付き合い始めた当初からずっと辞めるよう促していた。



「ごめんっ!!

大学の友達もみんな吸ってるから、なかなか辞められなくて…。


でも、ちゃんとちょっとずつ減らしていくからっ!!」


「……。」


私はもう、そんな発言には聞き飽きていた。



大学の"友達"…。


私にはいない友達…。





それから玉木さんとたまにデートして、私の16の夏はもう終わろうとしていた。



恋愛とはなんだろう…。


恋人がいるのにこの虚しさはなんだろう…。




夏休み中、バイトしかしてない私に話のネタなんてなかったし、

彼の大学の友達の話を聞くことが多くなっていた。


『俺も友達少ないよ…。』って玉木さんは言ってたけど…。



なんだかんだ大学の友達ともバイト先のみんなとも、

仲良くしている彼が羨ましかった…。




周りから見て、私たちは不釣り合いなんじゃないかといつも不安だった…。



「今のままのあなたが好き…。」



私は今のままじゃ嫌なのに…。



「私も玉木さんが好き…。」


本当に……？






唇を重ねる度に好きと言いながらも



私は心の奥底で、ホントは彼を妬んでいたのだ－－－。