陽のあたる場所

幸福の変革者

幸福の変革者7

16の夏休み、玉木さんと花火大会に行った後、

私はなんの予定もなくて…

夜になると兄・健一郎が帰ってくるのを見計らって、

兄の部屋にたびたび行くようになり

２人で雑誌『FRUITS』をみていた。



「じゃあ幸子もこうゆう格好すりゃいいじゃん？ｗ


なんかさぁ、幸子って地味だし暗い印象だから

もっと明るい格好した方がいいんじゃない？」


「…。」


分かってるよ…。




だから変わりたいんだよっ…。




この頃、テレビで観た原宿のファッションショーに影響されて

それから個性派ファッション雑誌のFRUITSを買うようになっていた。


あの時テレビで観たファッションショーは

10代の若者達が自作の服で、原宿の路上でゲリラファッションショーを行っている様子だった。



きっと今観たら、まだまだ若くて未完成で、可愛らしいものなのかもしれない。


いや、むしろ今の自分にはない若い発想力で、度肝を抜くかもしれない…。




雑誌FRUITSを買うようになったら、

『何それ!?おもしろそうな雑誌じゃん!?』

と、それをきっかけに兄も私に少しずつ興味を持ってくれるようになった。




それから兄と私はだんだんと仲良くなっていった。



「また知らないブランドだ…。

まだまだ勉強が足りないなぁ…。」



FRUITSはスナップ雑誌で、載っているのはいわゆる"一般人のおしゃれさん"だ。


そんなおしゃれさんたちの着ているブランドや、好きなショップ、好きな音楽etc.…

私はくまなくチェックするようになり、だんだんと知識は増えていった。



そして雑誌をみながら淡々と過ぎていく日々の中、私はずっとウズウズしていたのだ－－－。





「ねぇ、玉木さんはこうゆうファッションどう思う？」