陽のあたる場所

幸福の変革者

幸福の変革者4

「『ショートバス』…ですか…？

知らないっスねぇ…。」



「ならばぜひ福永さんにも観て欲しいです!!」


「どんな映画なんですか？


あ、でも先に言っておきます!!

俺、物語はハッピーエンドじゃなきゃ嫌なんで、そうじゃないなら観ないかもしれません(笑)」



「大丈夫ですよ♪

凄く心温まるいい映画なんで!!


俺DVD貸すんで、今度ぜひ観てみてくださいよ!!」



「馬場さんがそんなゴリ押しするなんて気になりますね♪

で、どうゆう感じの映画なんですか？」



「セックスでイったことがない女性や、同性愛者、ＳＭ嬢や…様々な愛と性に悩める男女が、

ショートバスを通じて互いに悩みを打ち明け、心を通じ合い、

互いに癒やされ、心が温まるような…


そんな優しい気持ちになれるお話です。」



「…へぇ。

なんだかおもしろそうですね。」


「もう、ぜひ観て欲しいです!!!!」




それから、また人間の愛だのセックスだの、互いの考え方を馬場さんと語っていた。



馬場さんもだんだんと熱弁しだして、タバコが灰皿いっぱいになってきていた。



『ショートバス』…。


この時、その意味もよく分かっていなかったし、

とくに深くは考えていなかった。


（※『ショートバス』とは米国の黄色いスクールバスのうち、肢体不自由児、精神障害児、あるいは天才児など『特別ケア』が必要な児童のための小さなスクールバス車体の短いバスを指し、様々な問題を抱える子ども用のもの。


※しかしこの映画での『ショートバス』とは、様々な性的嗜好を持つ人々が楽しむことのできるサロンの名前となっています。

それは人々が体を重ね合わせ、心を解き放つことのできる場所のことです。）



それから２人であれこれ語り過ぎて、終電も近くなってきていたし、

そろそろなんとなくおひらきムードになっていた。




そして俺は思い立ったように将吾くんのことをそれとなく訊いてみていた－－。