陽のあたる場所

クレシェンド

クレシェンド12

ヒトの温もりとは幸せを感じさせてくれる。


男女関係なく人肌とは温かい。



特に"母親の温もり"というのは絶品だ。



時にそれは"マザコン"とも言う(笑)




「福永さん！」

「ん？」


信号待ちをしていると、後ろから将吾くんに肩をポンと叩かれた。


「福永さんは飯どこ行くん？」



2011年１月下旬、

俺はすっかり高円寺の職場に馴染んできていた。


昼飯はずっと１人で食べに行っていたけど、

このところ将吾くんとたまたま行く方向が一緒だったり、

将吾くんが先に外でタバコを吸っていて、後から出てくる俺と一緒に休憩行ったりと

将吾くんと昼飯を食べに行く事が多くなってきていた。



「特に決めてないんですけど、

将吾くんオススメありますか？」



それから、将吾くんが治さんとよく行くという

店員が"粒ぞろい"と噂のお店に初めて連れて行ってもらった。


「福永さん、そのＴシャツいいですなぁ。」


「これ？」


「はい。どこで買うたやつですか？」


「ただの古着屋(笑)

やっすいモンですよ(笑)」



「へぇ、福永さんは買い物上手ですなぁ。

今日のコーディネートも、自分のキャラっちゅうもんをよく理解しとぉ格好ですよ！」



将吾くんは相変わらず人をよく誉める。



「俺にそんな誉めても何も返ってきませんよ？(笑)」


すると、将吾くんは突然よそ見して『きたきた♪』と小声でつぶやいた。


「ん？」


「お待たせしましたぁ♪」


と、目の前に現れたのは

将吾くんイチ押しのランチ"パニーニセット"。



そして運んできた店員さんをみると…


『かわいいっ!!』



「ごゆっくりどうぞ～♪」

と軽く会釈をした後、店員さんはキッチンへと戻っていった。



「どうでっか？」


自慢気に出来たてのパニーニをほうばる将吾くん。



「これはヤバいですね(笑)

中毒性がありますよ(笑)」