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覚醒編
The disaster comes
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〈System start-up. All functions are all green. Start of fusion to conformers.〉
「っ!がっああぁぁああああぁあ!!」
デバイスを装着した右腕に尋常ではない痛みが走る。起動時に流れた音声からして融合によるものであろう。しかしそれを確認するのが限度なまでに右腕が痛む。
「(適合失敗か?いや、そんなはずは…)」
徐々に右腕の痛みが収まってくる。
「はぁ…はぁ…」
右腕を見ると、見慣れた利き腕はそこに無かった。デバイスを装着した右腕は機械化し様々な機器が取り付いている。
「これ…」
絞り出した声で少女に問いかける。
「それが人間を越える代償だ。そのデバイスを使用した人間の身体は機械化し、スレーターとの戦闘に適したものとなる。」
「身体がロボットになった、と言えば分かりやすいか?」
「機械の…身体…」
「(衝撃、この状態では戦闘は無理…)」
そう思ったが竜一は予想と違う答えを放つ。
「良いじゃねえか…!」
〈The fusion ends. Codename,BUSTER.
Subsequently, the development of a cyber space for subduing shreater started.〉
「行くぜ化け物…!」
深く踏み込み一気に跳躍する。人間が跳べる限界など優に超える高さから、右腕を大きく振りかぶり殴りつける。
「おるぁ!」
脳天に直撃したその攻撃によりスレーターは怯み、同時に敵を感知する。
「グルル…」
「えぇ…効いてないっぽくねこれ」
「大丈夫だ効いている。ただ少し火力不足だな…デバイス右側の赤いスイッチを押してくれ」
「赤い…これか」
指示された通りにスイッチを押すと、右腕が更に変化する。装着当初の機械化よりも大きく、攻撃的なフォルムへと。
「それが対脅威者用特攻兵器の戦闘形態だ。命名は君の自由にするといい。」
「名前…」
話の流れで考え込んでしまうがスレーターはその間に衝撃から回復しこちらへ攻撃を仕掛けてくる。
「おわっ!」
反射的に跳び退いてその攻撃を躱す。軽く跳んだはずだったがその距離は先程の踏み込みよりも高かった。
「これが、戦闘形態か…」
「(…いいね)」
眼前にスレーターを捉え、走り出す。A.-T.W.により戦闘に特化したその姿から発せられる力により爆発的な速度のまま、拳を叩きつける。
「これで、どうだあ!」
全力の加速から繰り出された一撃は完璧にスレーターの頬を捉えた。
しかし、そのダメージなど無いかのように即座に右腕で反撃する。
「がっ…!」
鋭利な爪により機械化した装甲が抉られ、血が飛び出る。
「ぐっ…うぅ…」
「竜一!」
とっさに呼びかけるが返事はない。かなり効いたのだろう。意識が朦朧としているようだ。
「ちっ…」
すぐさま「拠点」で控える仲間に支援の連絡を送る。
「頼んだぞ…」
「あとは、竜一か…」
竜一は依然として呼吸により身体が上下するだけだ。
「くっそ…こんな、ところでっ…!」
倒れている竜一にスレーターが歩み寄りトドメを刺そうと腕を高く掲げる。その攻撃が竜一に当たる瞬間、
―空が、割れた。
「っ!?今は電脳空間を展開して…っ!」
「(まさか…)」
それと時を同じくして援護のBURSTERSが到着する。
「おい!どうなってる!」
「コアだ…」
「あぁ?おいおい…」
BURSTERの一員、御剣 切継は少女の様子からその異常さを把握する。
「今来るのか?しかもあの光の色は…」
「あぁ、彼のギアは、この世界に破壊をもたらす災禍のギア…」
「BREAKERだ。」
空から飛来した赤い光は竜一にトドメを刺そうとしたスレーターを吹き飛ばした。そしてその勢いのまま竜一のデバイスへ入り込む。
「竜一だめだ!今すぐデバイスを外せ!!」
少女が直ぐに叫ぶが意識がはっきりしていない竜一には届かない。そのままコアは竜一と融合を開始し、その姿を変貌させていく。その頃竜一の意識はコアと邂逅していた。
「…お前は?」
「私は、この世界を救うもの…」
「世界を…?」
「あなた達は、BREAKERと呼びますね。」
「…あぁ」
「あなたに選択肢を与えます。私と融合しあの化け物を倒すか、このまま殺されるか。」
「はぁ?」
「さぁ、選びなさい」
もちろんあったことも無い何者かも分からないのに何故か彼女は信頼出来る。そう思える何かがある。
「…分かった。お前と融合する。」
「分かりました。」
―――あなたに、コアの加護があらん事を…
「うっ…あぁ…」
致命傷とも言える傷を負ったはずの竜一の身体は瞬く間に回復し意識が覚醒する。
「そん、な…」
「いや…」
御剣は違和感を感じる。
「彼を見ろ。彼自身の意思で、あのコアを抑えている。」
「…なんだと?」
「まあ、見ていろ。」
融合が終了し竜一を取り巻く赤い光が消える。そこから現れた身体は、禍々しく、だが美しい神のような姿だった。
〈Core, approval. upgrade. The BREAKER.〉
「行くぜ」
軽く踏み込んだように見える一歩でスレーターに一気に詰め寄りその拳をぶつける。
「ブレイカー!!」
威勢と共に放たれた一撃はスレーターを吹き飛ばすまでの間にも進化するデバイスにより最適化される追撃を食らう。
「グ、オオ…」
竜一による攻撃をもろに食らったスレーターは大きく吹き飛びその身体は爆発する。
この瞬間、竜一は人間に戻る術を無くした。
「っ!がっああぁぁああああぁあ!!」
デバイスを装着した右腕に尋常ではない痛みが走る。起動時に流れた音声からして融合によるものであろう。しかしそれを確認するのが限度なまでに右腕が痛む。
「(適合失敗か?いや、そんなはずは…)」
徐々に右腕の痛みが収まってくる。
「はぁ…はぁ…」
右腕を見ると、見慣れた利き腕はそこに無かった。デバイスを装着した右腕は機械化し様々な機器が取り付いている。
「これ…」
絞り出した声で少女に問いかける。
「それが人間を越える代償だ。そのデバイスを使用した人間の身体は機械化し、スレーターとの戦闘に適したものとなる。」
「身体がロボットになった、と言えば分かりやすいか?」
「機械の…身体…」
「(衝撃、この状態では戦闘は無理…)」
そう思ったが竜一は予想と違う答えを放つ。
「良いじゃねえか…!」
〈The fusion ends. Codename,BUSTER.
Subsequently, the development of a cyber space for subduing shreater started.〉
「行くぜ化け物…!」
深く踏み込み一気に跳躍する。人間が跳べる限界など優に超える高さから、右腕を大きく振りかぶり殴りつける。
「おるぁ!」
脳天に直撃したその攻撃によりスレーターは怯み、同時に敵を感知する。
「グルル…」
「えぇ…効いてないっぽくねこれ」
「大丈夫だ効いている。ただ少し火力不足だな…デバイス右側の赤いスイッチを押してくれ」
「赤い…これか」
指示された通りにスイッチを押すと、右腕が更に変化する。装着当初の機械化よりも大きく、攻撃的なフォルムへと。
「それが対脅威者用特攻兵器の戦闘形態だ。命名は君の自由にするといい。」
「名前…」
話の流れで考え込んでしまうがスレーターはその間に衝撃から回復しこちらへ攻撃を仕掛けてくる。
「おわっ!」
反射的に跳び退いてその攻撃を躱す。軽く跳んだはずだったがその距離は先程の踏み込みよりも高かった。
「これが、戦闘形態か…」
「(…いいね)」
眼前にスレーターを捉え、走り出す。A.-T.W.により戦闘に特化したその姿から発せられる力により爆発的な速度のまま、拳を叩きつける。
「これで、どうだあ!」
全力の加速から繰り出された一撃は完璧にスレーターの頬を捉えた。
しかし、そのダメージなど無いかのように即座に右腕で反撃する。
「がっ…!」
鋭利な爪により機械化した装甲が抉られ、血が飛び出る。
「ぐっ…うぅ…」
「竜一!」
とっさに呼びかけるが返事はない。かなり効いたのだろう。意識が朦朧としているようだ。
「ちっ…」
すぐさま「拠点」で控える仲間に支援の連絡を送る。
「頼んだぞ…」
「あとは、竜一か…」
竜一は依然として呼吸により身体が上下するだけだ。
「くっそ…こんな、ところでっ…!」
倒れている竜一にスレーターが歩み寄りトドメを刺そうと腕を高く掲げる。その攻撃が竜一に当たる瞬間、
―空が、割れた。
「っ!?今は電脳空間を展開して…っ!」
「(まさか…)」
それと時を同じくして援護のBURSTERSが到着する。
「おい!どうなってる!」
「コアだ…」
「あぁ?おいおい…」
BURSTERの一員、御剣 切継は少女の様子からその異常さを把握する。
「今来るのか?しかもあの光の色は…」
「あぁ、彼のギアは、この世界に破壊をもたらす災禍のギア…」
「BREAKERだ。」
空から飛来した赤い光は竜一にトドメを刺そうとしたスレーターを吹き飛ばした。そしてその勢いのまま竜一のデバイスへ入り込む。
「竜一だめだ!今すぐデバイスを外せ!!」
少女が直ぐに叫ぶが意識がはっきりしていない竜一には届かない。そのままコアは竜一と融合を開始し、その姿を変貌させていく。その頃竜一の意識はコアと邂逅していた。
「…お前は?」
「私は、この世界を救うもの…」
「世界を…?」
「あなた達は、BREAKERと呼びますね。」
「…あぁ」
「あなたに選択肢を与えます。私と融合しあの化け物を倒すか、このまま殺されるか。」
「はぁ?」
「さぁ、選びなさい」
もちろんあったことも無い何者かも分からないのに何故か彼女は信頼出来る。そう思える何かがある。
「…分かった。お前と融合する。」
「分かりました。」
―――あなたに、コアの加護があらん事を…
「うっ…あぁ…」
致命傷とも言える傷を負ったはずの竜一の身体は瞬く間に回復し意識が覚醒する。
「そん、な…」
「いや…」
御剣は違和感を感じる。
「彼を見ろ。彼自身の意思で、あのコアを抑えている。」
「…なんだと?」
「まあ、見ていろ。」
融合が終了し竜一を取り巻く赤い光が消える。そこから現れた身体は、禍々しく、だが美しい神のような姿だった。
〈Core, approval. upgrade. The BREAKER.〉
「行くぜ」
軽く踏み込んだように見える一歩でスレーターに一気に詰め寄りその拳をぶつける。
「ブレイカー!!」
威勢と共に放たれた一撃はスレーターを吹き飛ばすまでの間にも進化するデバイスにより最適化される追撃を食らう。
「グ、オオ…」
竜一による攻撃をもろに食らったスレーターは大きく吹き飛びその身体は爆発する。
この瞬間、竜一は人間に戻る術を無くした。
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