気付くのはいつも遅すぎて

横田碧翔

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 裕也が真美と付き合ってすぐに夏休みになった。夏休みになると学校では会えなくなった。それに部活も忙しくなり、なかなか会えない日が続いた。それでも、真美は文句一つ言わずにLINEと電話をしてくれていた。部活以外の全ての時間で。部活が始まるまではLINEをし、部活が終わればLINEをし、家に帰れば電話をする。それが、真美が言う「私は会えなくても大丈夫」だったのだ。5分返信が送れれば半泣きで電話がかかってくる。10分遅れれば激怒のヒステリックな電話がかかってくる。裕也は恐怖でしかなかった。すぐに別れたいと思ったが、別れると言ったらどうなるのか?それが怖くて、すぐに別れることは躊躇った。そして、美紀がどれほど自分のためを思ってくれていたのかを実感した。今になって思い出せば、美紀はいつだって雄也のことを1番に考えてくれていた。裕也はそれに甘えていたのだと気付いた。それなのに、裕也は美紀の思いを汲み取ろうとしてなかった。振られて当然だった。美紀の笑顔が頭によぎる。表裏のない優しい笑顔だ。ただただ温かくて、それを見るだけで落ち着く笑顔だった。時間が戻せたら。あの時に戻れたら。そんなことばかり考えてしまう。連絡をしようと何度もトーク画面を開いた。それても、美紀は自分を許してはからないだろう。もう顔も見たくないだろう。新しい彼氏だっているかもしれない。真美とのことも片付いてない。そう思って、何も打たずに画面を消す。それを何度も繰り返した。
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