気付くのはいつも遅すぎて

横田碧翔

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 次の日からは、学校では特に話すことなく一週間が経った。先週同様に教室を早く出て、一本早い電車に乗る。改札を出ると後ろから彼女が追いかけてきた。
「行こっか!」
「何食べたいの?」
「スタバ!いい?」
「もちろんいいよ」
先週行ったマックを通り過ぎて駅ビルに入る。3階にスタバはあった。注文を済ませて席に着くと
「1週間ぶりだね、話すの!」
「なんで学校では話しかけてこなかったの?」
「だって、先週話しかけたときすごい嫌そうな顔してたから迷惑かなって」
「あのときはまぁ、びっくりしたし嫌な顔してたかも。ごめんね」
「大丈夫大丈夫!私ちょっと浮いてるし仕方ないよ!」
浮いてる自覚はあったのか。返す言葉につまっていると
「それでさ、聞きたいんだけどいい?」
「なに?」
「今日誘ってくれたってことはさ、私と付き合ってくれる可能性ある?」
いきなりの度直球すぎる質問に一瞬思考が停止した。付き合うってあれだよな。恋人同士の。
「いや、ちょっとまだよく分からないよ。俺先週別れたばっかりだし。」
「そっかー、私は裕也くんのこと大好きだからさ、いつでもウェルカムだよ!」
綺麗な黒髪を揺らしながら彼女は顔を近づけてにっこり笑う。ドキッとして何も言えないでいると
「とりあえずさ、参考までに元カノのこと話して欲しいな。どんな人でなんで別れちゃったの?」
1週間経ってだいぶ心の傷は癒えていた。たまに美紀のことを考えてしまう時もあるけれど、今は目の前の真美ちゃんのことを考えることが多くなっていた。
「中学3年のときに付き合って、高校に入ってなかなか会えなくてさ、それですれ違いが増えていった感じかな。別れた日も、部活でデート行けないって言ったところから喧嘩になってそのままって感じだったし。」
「なるほどねー、部活忙しそうだもんねー。私は何かに全力で取り組んでる人は素敵だと思うけどなぁ」
「まぁ俺も悪かったところはあるけどさ、向こうもね、、高校違うとやっぱ無理なのかなーって思った。」
「たしかに会えないのはねー。学校で毎日会えればいいけど、そうじゃないと厳しいね」
「うん。真美ちゃんは彼氏とかは?」
「私?中学時代はいたけど今はいないよ!体育祭くらいから裕也くんがいいなって思ってるからね!」
学校での様子から考えると、彼氏がいたことは意外だった。こんな感じで、自ら話しかけて付き合ったのだろうか。いろいろ分からないことはあるが、自分に好意を向けてくれていることは嬉しかった。このとき、美紀のことはもう頭にはよぎらなかった。それからは学校でも話すようになり、2週間後に付き合うことになった。それが地獄の始まりだったのだ。
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