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VENTITRE *とある令嬢視点*
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初めまして皆さま。ご機嫌いかが?
さて、いきなりで申し訳ありませんが、少しばかりわたくしの自分語りにお付き合いくださいませ。
申し遅れましたわ。
わたくしの名前はマリアベーラ・カエターニ。
ここリスタリア王国のはるか西、海を渡った先にあるフォルテア王国のカエターニ侯爵家の長女で現在16歳ですわ。
フォルテアからリスタリアまでは馬車と船を使って約2ヶ月かかるのですが、なぜそんなにも遠くからこの国を目指したかと申しますと…
わたくしは逃げてきたのです。
家族や生まれ持った地位、友人、そして己の運命から。
運命などと何を大袈裟なと思われるでしょう。
ええ、ええ、そうでしょうとも。
でもね?
ここだけの話ですよ?
わたくし…実はこの先の自分の運命を知っていたんです。
わたくし…いえ、私は実は所謂『転生悪役令嬢』ってやつなんです。
口調が変わった?まあ細かい事はいいじゃないですか。
私の前世は日本人で、少々腐りかけのラノベ好き乙女ゲーム好きのごくごくふつーのアラサーOLでした。
日本のサブカル万歳!
そんな私が自分の前世を思い出したのは、学園の入学式での事。
壇上で在校生代表の挨拶をしているフォルテア王国の第二王子を見た時、彼が“わたくし”に対して糾弾しているシーンが頭の中に突然ながれ、そこから全てを思い出したんです。
ここが『月下香の花束を君に』の世界であると。
説明しよう。
『月下香の花束を君に』(通称:月君)とはいたる所でヒロインと攻略対象がいちゃいちゃしたり、ラッキースケベなどのエロハプニング満載の18禁乙女ゲームである。
そして、壇上で代表挨拶をしていた第二王子は“わたくし”マリアベーラ・カエターニ侯爵令嬢の婚約者(実際はまだ婚約者候補ですけど)で、もうお察しの通り彼はメインヒーローなのである。
他にも王子の護衛騎士や教師、教会の神官や“わたくし”の義兄などの攻略対象がいるのですけど、悪役令嬢であるマリアベーラはどのルートでも、もれなくバッドエンドが待っているんです。
国外追放?戒律の厳しい修道院行き? はっ! なにそのヌルゲーってなもんですよ!
待っているのは監禁陵辱、ハゲ散らかした成金メタボオヤジに性奴隷として売られる、場末の娼館で腹ボテ、盗賊に襲われて輪姦…
一番マシなのが断首刑ってほんともう何?! 私、前世でどれだけ悪行積んだのよ!?
でね?
その事に気がついた私は思ったんです。
「もう逃げるしかない」と。
そして娘に甘いお父様を上手いこと言いくるめて、入学早々他国に留学することに成功したんです。やったわ!これでバッドエンド回避よ!
留学先を探して世界地図を見ていた私はリスタリア王国という国名になにか引っかかるものを感じ、よくよく考えてみたら『月君』と同じ制作会社が出している、全年齢対象の乙女ゲーム『星君』の舞台であることを思い出したのです。
もしやと思い、調べてみたら現在の王太子の名前がジェラルド・ヘンリー・リスタリア。
現在わたくしと同じ16歳で『星君』のメインストーリーが同時期に開始されていることがわかったんです。
これはもう行くしかないわ!そうでしょう!?
リスタリア王国では出来るだけ目立たず、一介のモブとなり、『星君』のキャラクター達を愛でつつ、将来のダーリンを捕まえられたらいいなぁ、と。
そんな希望を胸に長い時間をかけ、ただ一人の侍女であるミーシャを連れ、このリスタリアにやってきたってわけです。
車窓を流れるリスタリアの王都を眺めていたら、ミーシャが心配そうに話しかけてきた。
「あと30分ほどで王立学園に到着だそうです。.....ですが、お嬢様お疲れじゃないですか? やはり編入試験は明日になさった方が...」
「大丈夫よミーシャ。わたくしね、疲れよりわくわくしているの」
絶望に満ちた運命から逃れて、リアル乙女ゲームを側から見れるなんてワクワクするじゃない?そう!未来は希望あるモノに変わるの!change the lifeよ!
「編入試験だって大丈夫よ。早く終わらせて学園寮でゆっくりしましょう?」
王立学園に到着した私は、学園の事務局に行き、事前に申請していた為、夏季休暇中だと言うのに待っていてくれた教師の監修の元、編入試験を受ける事になった。
全ての教科の試験を終え、合否は明日にでるとの事で、一旦街で宿を取り、結果発表を待つ事にした。
宿は奮発して街で一番の高級宿の貴賓室よ!
だってわたくし侯爵令嬢ですもの、この位当然でしてよ!ほーっほほほほ!
翌日、おいしいご飯と豪華な部屋のふかふかベットで英気を養った私は意気揚々と(ほんとはちょっとドキドキしながら)結果を聞きに行く。
全教科満点で合格でしたっ!
やったね!さすが私!うふふ、自画自賛しちゃうっ
あーー生ジェラルド楽しみーー!早く新学期始まらないかなーっ
さて、いきなりで申し訳ありませんが、少しばかりわたくしの自分語りにお付き合いくださいませ。
申し遅れましたわ。
わたくしの名前はマリアベーラ・カエターニ。
ここリスタリア王国のはるか西、海を渡った先にあるフォルテア王国のカエターニ侯爵家の長女で現在16歳ですわ。
フォルテアからリスタリアまでは馬車と船を使って約2ヶ月かかるのですが、なぜそんなにも遠くからこの国を目指したかと申しますと…
わたくしは逃げてきたのです。
家族や生まれ持った地位、友人、そして己の運命から。
運命などと何を大袈裟なと思われるでしょう。
ええ、ええ、そうでしょうとも。
でもね?
ここだけの話ですよ?
わたくし…実はこの先の自分の運命を知っていたんです。
わたくし…いえ、私は実は所謂『転生悪役令嬢』ってやつなんです。
口調が変わった?まあ細かい事はいいじゃないですか。
私の前世は日本人で、少々腐りかけのラノベ好き乙女ゲーム好きのごくごくふつーのアラサーOLでした。
日本のサブカル万歳!
そんな私が自分の前世を思い出したのは、学園の入学式での事。
壇上で在校生代表の挨拶をしているフォルテア王国の第二王子を見た時、彼が“わたくし”に対して糾弾しているシーンが頭の中に突然ながれ、そこから全てを思い出したんです。
ここが『月下香の花束を君に』の世界であると。
説明しよう。
『月下香の花束を君に』(通称:月君)とはいたる所でヒロインと攻略対象がいちゃいちゃしたり、ラッキースケベなどのエロハプニング満載の18禁乙女ゲームである。
そして、壇上で代表挨拶をしていた第二王子は“わたくし”マリアベーラ・カエターニ侯爵令嬢の婚約者(実際はまだ婚約者候補ですけど)で、もうお察しの通り彼はメインヒーローなのである。
他にも王子の護衛騎士や教師、教会の神官や“わたくし”の義兄などの攻略対象がいるのですけど、悪役令嬢であるマリアベーラはどのルートでも、もれなくバッドエンドが待っているんです。
国外追放?戒律の厳しい修道院行き? はっ! なにそのヌルゲーってなもんですよ!
待っているのは監禁陵辱、ハゲ散らかした成金メタボオヤジに性奴隷として売られる、場末の娼館で腹ボテ、盗賊に襲われて輪姦…
一番マシなのが断首刑ってほんともう何?! 私、前世でどれだけ悪行積んだのよ!?
でね?
その事に気がついた私は思ったんです。
「もう逃げるしかない」と。
そして娘に甘いお父様を上手いこと言いくるめて、入学早々他国に留学することに成功したんです。やったわ!これでバッドエンド回避よ!
留学先を探して世界地図を見ていた私はリスタリア王国という国名になにか引っかかるものを感じ、よくよく考えてみたら『月君』と同じ制作会社が出している、全年齢対象の乙女ゲーム『星君』の舞台であることを思い出したのです。
もしやと思い、調べてみたら現在の王太子の名前がジェラルド・ヘンリー・リスタリア。
現在わたくしと同じ16歳で『星君』のメインストーリーが同時期に開始されていることがわかったんです。
これはもう行くしかないわ!そうでしょう!?
リスタリア王国では出来るだけ目立たず、一介のモブとなり、『星君』のキャラクター達を愛でつつ、将来のダーリンを捕まえられたらいいなぁ、と。
そんな希望を胸に長い時間をかけ、ただ一人の侍女であるミーシャを連れ、このリスタリアにやってきたってわけです。
車窓を流れるリスタリアの王都を眺めていたら、ミーシャが心配そうに話しかけてきた。
「あと30分ほどで王立学園に到着だそうです。.....ですが、お嬢様お疲れじゃないですか? やはり編入試験は明日になさった方が...」
「大丈夫よミーシャ。わたくしね、疲れよりわくわくしているの」
絶望に満ちた運命から逃れて、リアル乙女ゲームを側から見れるなんてワクワクするじゃない?そう!未来は希望あるモノに変わるの!change the lifeよ!
「編入試験だって大丈夫よ。早く終わらせて学園寮でゆっくりしましょう?」
王立学園に到着した私は、学園の事務局に行き、事前に申請していた為、夏季休暇中だと言うのに待っていてくれた教師の監修の元、編入試験を受ける事になった。
全ての教科の試験を終え、合否は明日にでるとの事で、一旦街で宿を取り、結果発表を待つ事にした。
宿は奮発して街で一番の高級宿の貴賓室よ!
だってわたくし侯爵令嬢ですもの、この位当然でしてよ!ほーっほほほほ!
翌日、おいしいご飯と豪華な部屋のふかふかベットで英気を養った私は意気揚々と(ほんとはちょっとドキドキしながら)結果を聞きに行く。
全教科満点で合格でしたっ!
やったね!さすが私!うふふ、自画自賛しちゃうっ
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