幸せのDOLCINI

紗衣羅

文字の大きさ
上 下
11 / 26

DIECI

しおりを挟む
※最後だけ第三者目線になります。


***********************



代表者挨拶、学園長挨拶(どの世界でも話が無駄に長いのねぇ。 長けりゃいいってもんでもないでしょうに。 話の要点が分かりにくいのよ!)が終わるとクラス分けの発表よ。 講堂の外にでると大きく張り出されていたわ。 クラスはSABCの4クラスあって、1クラスは15名ほどよ。 


「....... 俺..... もうダメかもしれない....」

「アイオス何言ってるんだい? 当然の結果だろう?」


テストの結果が散々だったアイオスはもちろん最底辺のCクラス。 それでも発表を見るまでは望みを捨ててなかったらしいわ。 ふっ‥‥甘いわねぇ。 ちなみにリズとワタシはSクラスよ。 

ヒロインちゃん‥‥はBクラスね。 あ、あら‥‥ ジェラルドもBね‥‥ 前代未聞だわ‥‥。 国王陛下に怒られるんじゃないかしら…。 あれ? でもおかしい... ゲームでは確かアイオス以外はSだったわよね?  ん~~~~、まあ‥‥ いっか。ゲームはゲームよ。 今、この世界ではちゃあんとワタシが生きている現実の世界だもの。 違ってたっていいわよね。 例えジェラルド王太子に「俺様」の称号に加え「お馬鹿」の称号が追加されたとしても。


「まあ、そんなに落ち込むなよ。 後で入学祝いも兼ねてお茶会でもどうだい? 勿論新作スイーツも出すよ?」 

「行く」


さすがアイオス。 即答したわね... 立ち直りがほんと早いわ。 って感心してたら後ろから肩を叩かれた。 振り返るとそこには生徒会長のリオンが立っていたわ。

「失礼、 オルベール卿。 話があるのだが少しいいだろうか?」

「えっ? え、ええ。 サルーシュ先輩。 何でしょうか?」

「ここではちょっと....な。 私についてきてくれ」


リオンは周りを見渡し、少し言いにくそうに小声で話すと歩き始めた。 ワタシはその後をおいかけたわ。 移動中は話しかけられることもなくお互い無言。 そろそろ気まずいかしら~と思ったところでリオンが立ち止まった。 


「入ってくれ」

そう言われてリオンが示したドアを見ると『生徒会室』と書いてあった。 

ゲーム画面では見たことあったけど、実際の生徒会室の中は20畳くらいの広さで、大きめの窓からはたっぷりと採光が取れ、とっても明るいわね。 窓際には執務用の重厚な机が3台あって、1台はリオンの机でもう2台は書記用と会計用かしら。 手前には応接セットがあって、ここでミーティングしたりするのかしらね。

リオンに促されてその応接セットに座ると、リオンもワタシの正面に座り、長い脚と指を優雅に組むと話し始めた。 さすが攻略対象のクーデレ担当ね‥‥その姿がすごく絵になっているわ‥‥。 

「わざわざ移動させてすまない。 話と言うのは‥‥ オルベール卿は生徒会に興味はないだろうか?」

「どうぞ、エドナーシュとお呼びください。 サルーシュ先輩」

「では、私の事もリオンと。 エドナーシュ君はプレイスメントテストの首席だと聞いた。 将来は御父上の後を継いでこの国の宰相職を考えているのだろう? ならば国ではないが学園と言う小さな社会の、政治の中枢である生徒会で勉強してみる気はないか?」 

「生徒会‥‥ ですか。  ご存じかもしれませんが僕は自分の商会ペルフェーナをもっているし、ジェラルド殿下の側近候補でもあるので、あまり時間が取れるとは思えません。 興味がないとは言いませんが中途半端に関わるのは失礼になるかと。」

「‥‥そうか、残念だが無理強いはできないしな。 だがもし、気が変わったなら来てくれ。 こちらはいつでも歓迎する。」

「お役に立てず、申訳ありません。リオン先輩」


生徒会も面白そうとは思うけど(裏方とか何気に好きだし)物理的に時間が取れないのよねー。 席を立ってリオンに挨拶すると、ワタシは入学式も終わったことだしと、お茶会の準備(主にスイーツ作り)をしに寮へ戻ろうと歩き出した。

中庭を見渡す長い廊下に差し掛かった時、向こうから最近よく見かけるピンク頭がキョロキョロしながら歩いてきたのが見えたわ。 ‥‥あっ。 これ、エド様のイベントじゃない‥‥。 えーっ! アンタジェラルドルートでしょう?! ワタシに関わらなくていいわよーーっ と言う心の中の叫びも虚しく、ヒロインちゃんはワタシを見つけると満面の笑みを浮かべながら駆け寄ってきた。

「あ、あの! 私迷ってしまったらしくて‥‥ それで‥‥寮に戻りたいんです。 できたら連れて行ってもらえませんか‥‥?」

両手を胸のあたりで組んで、うるうると潤んだ上目使いで可愛く見せようとするあざとさ‥‥ 女子だけじゃなく、オネエにも普通にいる、こういうあざとかわいい私♡ って子、実はワタシ大嫌いなの。 

関わりたくない+嫌いなタイプでワタシの気持ちは急降下よ。 ほんともう、ほっといてほしいのに! 一応嫌なタイプでも女性だし、もしかしたらお客様ペルフェーナ利用者かもしれないし、ここは前世から培った営業スマイルで乗り切るしかないわね。 はぁ~っと気が付かれない程度に息を吐き出し、にっこりと笑顔を作るとヒロインちゃんに向き合った。

「申し訳ありませんが、少し急いでいるので…。 この道をまっすぐ進んで、突き当りを右に曲がると正面に寮がみえてきますよ。 それじゃ気を付けて。」 

そう言うと中庭を突っ切り、大分遠回りして寮に戻る事になったわ。 これでフラグが折れたかしら?



・・・・・・・・・



置いて行かれたヒロイン‥‥アンジェリカはエドナーシュが立ち去った方を見て「やっぱり‥‥」と呟いた。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫婦戦争勃発5秒前! ~借金返済の代わりに女嫌いなオネエと政略結婚させられました!~

麻竹
恋愛
※タイトル変更しました。 夫「おブスは消えなさい。」 妻「ああそうですか、ならば戦争ですわね!!」 借金返済の肩代わりをする代わりに政略結婚の条件を出してきた侯爵家。いざ嫁いでみると夫になる人から「おブスは消えなさい!」と言われたので、夫婦戦争勃発させてみました。

あなたを忘れる魔法があれば

美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。 ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。 私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――? これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような?? R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

【二部開始】所詮脇役の悪役令嬢は華麗に舞台から去るとしましょう

蓮実 アラタ
恋愛
アルメニア国王子の婚約者だった私は学園の創立記念パーティで突然王子から婚約破棄を告げられる。 王子の隣には銀髪の綺麗な女の子、周りには取り巻き。かのイベント、断罪シーン。 味方はおらず圧倒的不利、絶体絶命。 しかしそんな場面でも私は余裕の笑みで返す。 「承知しました殿下。その話、謹んでお受け致しますわ!」 あくまで笑みを崩さずにそのまま華麗に断罪の舞台から去る私に、唖然とする王子たち。 ここは前世で私がハマっていた乙女ゲームの世界。その中で私は悪役令嬢。 だからなんだ!?婚約破棄?追放?喜んでお受け致しますとも!! 私は王妃なんていう狭苦しいだけの脇役、真っ平御免です! さっさとこんなやられ役の舞台退場して自分だけの快適な生活を送るんだ! って張り切って追放されたのに何故か前世の私の推しキャラがお供に着いてきて……!? ※本作は小説家になろうにも掲載しています 二部更新開始しました。不定期更新です

オネエな幼馴染と男嫌いな私

麻竹
恋愛
男嫌いな侯爵家の御令嬢にはオネエの幼馴染がいました。しかし実は侯爵令嬢が男嫌いになったのは、この幼馴染のせいでした。物心つく頃から一緒にいた幼馴染は事ある毎に侯爵令嬢に嫌がらせをしてきます。その悪戯も洒落にならないような悪戯ばかりで毎日命がけ。そのせいで男嫌いになってしまった侯爵令嬢。「あいつのせいで男が苦手になったのに、なんであいつはオカマになってるのよ!!」と大人になって、あっさりオカマになってしまった幼馴染に憤慨する侯爵令嬢。そんな侯爵令嬢に今日も幼馴染はちょっかいをかけに来るのでした。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

新婚早々、愛人紹介って何事ですか?

ネコ
恋愛
貴方の妻は私なのに、初夜の場で見知らぬ美女を伴い「彼女も大事な人だ」と堂々宣言する夫。 家名のため黙って耐えてきたけれど、嘲笑う彼らを見て気がついた。 「結婚を続ける価値、どこにもないわ」 一瞬にしてすべてがどうでもよくなる。 はいはい、どうぞご自由に。私は出て行きますから。 けれど捨てられたはずの私が、誰よりも高い地位の殿方たちから注目を集めることになるなんて。 笑顔で見返してあげますわ、卑劣な夫も愛人も、私を踏みつけたすべての者たちを。

処理中です...