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DUE
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リズと出会ってから4年後、王太子であるジェラルド王子の10歳の誕生日に、国中の貴族で、王子と年の近い子供達が集められてパーティーが行われた。
まだ社交界に出るには早すぎる子供たちのお披露目と、男の子はジェラルド王子の側近候補の見極めってのもあったわ。子供が多く集まるからガーデンパーティーの形式だった。 ワタシとアイオスも当然呼ばれたし、リズは生まれた時からの婚約者だから、もちろん招待されている。
確か…『星君』の回想でこのパーティーのシーンもあったような…? えーと、確かジェラルドルートとエドナーシュルートだったかな。このパーティーは伯爵家に引き取られたばかりのヒロインが、初めて貴族社会にでるイベントで、ジェラルドルートでは、ぼっちで壁の花をしているところを、悪役令嬢のエリザベスが取り巻きの令嬢達を引き連れて、ヒロインに因縁をつけるってとこからだったわね。 そしてワタシの今世であるエドナーシュのルートでは、慣れないパーティーに疲れて庭園のベンチで休んで居るところを、エドナーシュが通りかかって話しかけるのよね。
ヒロインか… 実際はどんな子なのか楽しみね。
広い王宮の庭園に設えられた会場はビュッフェ形式で、軽食と色とりどりのお菓子が並んでいた。本当にどれにしようか迷うわぁ! だけど…食べれそうもないわね… 会場に入った途端に令嬢達の視線が飛んでくるし、令息達も公爵令息であるワタシの知遇を得ようと狙ってるし… ああ、これ囲まれるかしらね…
「ごきげんようエドナーシュさま。 あの、あちらでわたくしたちとお話しませんか?」
「いやいや、ここは私たちと――― 」
「エドナーシュさま―――――」
うん、まあ…ね? 多少は貴族だししょうがない。 え、しょうがないわよね?
なんて事を考えていたら入り口の方が騒がしくなってきた。きっとあれね、王子が来たのね。
「失礼皆様、王子殿下がいらしたようなので僕はこれで。」
さて、王子王子~~っと。 と王子の居る方に向かうと、アイオスや他の側近候補になりそうな子と、リズがいた。 ん~~…でもちょっと何か…?
「エド、やっと来たか」
そんなに遅れてないと思うけど? どんだけ気が短いのよ王子はっ。 と、心の声はおくびにも出さず殊勝な態度をするワタシ。まあね?心はオトナですしね?
「申し訳ございません殿下。何か御用がありましたか?」
「ああ、悪いがエリザベスを連れていってくれ。」
は?リズをここから連れていけって? 一体どういう事よ。 少し離れた場所に佇んでいるリズを見ると、やっぱり何か様子がおかしいわね… なんだか青い顔して泣きそうな…
「エリザベス嬢がいかがされました?」
「いや、具合が悪そうなのでな。無理して参加する必要はないとそう伝えたのだ。」
ああ、そういう…
「‥‥‥かしこまりました。 ではエリザベス嬢、参りましょうか。」
「‥‥‥ッ はい…」
しばらく無言でリズと庭園を歩く。 相変わらず見事な庭園ねぇ…さっすが王宮! っとそんなことより…
「…とりあえず、そこに座ろうか。」
「ええ…」
ベンチにリズを座らせて、とりあえず話を聞くことにしたわ。 まーまたあのばか王子がやらかしたに違いないけど。 初めてリズと王子が顔合わせしたのは今から5年前で、その頃はまだよかったらしい。らしいと言うのは実際見たわけじゃないからねぇ。それにまだワタシもリズと出会ってなかったし。 出会った当時のリズは、丁度あの環境で自分に自信が持てないでいる頃だったから、王子にとっては庇護すべきモノ…ううん、違うわね… 精神的に上に立てるモノだったのよ。 だけどワタシと出会ってからだんだんと自信を持てる様になったリズは、それまでとは逆に疎ましいモノに変わってしまったのね。 こんな年から俺様何様王子様なんだから困るわよねーほんと。
「…‥‥」
「それで… どうしたの? 話してすっきりするなら聞くよ?」
すると、リズは黙って首を横に振った。 ま、言いたくないのを無理に聞く必要はないしね。 それならワタシのしてあげれる事は一つかな。
「そっか… じゃあ落ち着くまでここで休むといい」
そう言ってにっこり笑って彼女が落ち着くまで黙って一緒に居てあげる。 多分それが正解。 会話がなくっても一緒にいてくれる人がいると安心するのよね。 ワタシも前世でよく落ち込んだ時(フラレ時とか… )仲のいい子がそばにいてくれたっけ… 懐かしいわね。
「‥‥あの…エド?」
「ん? なに?」
「‥‥ありがとう…」
「ふふっ、どういたしまして。」
それにしてもこのシュチエーション…どこかで見たような…? ん~~~~~? あっ! あれだ、ヒロインとのエドナーシュのイベントだわ。 相手がリズに変わったけど… まあいいわね。別にヒロインちゃんとどうにかなろうとか思わないし。 どんなの子なのか気になるけど、それだけね。 あ、そう言えばゲーム通りにシナリオが進んでればヒロインちゃんも来てるはずなんだけど、見なかったわねぇ。 ま、学園もあるし、いずれ会う機会もあるでしょ。 いずれね。
――――――――― この時、私もリズも気が付いてなかった。 少し離れた樹の影からこっちをじっと見つめてる人影がある事を。
まだ社交界に出るには早すぎる子供たちのお披露目と、男の子はジェラルド王子の側近候補の見極めってのもあったわ。子供が多く集まるからガーデンパーティーの形式だった。 ワタシとアイオスも当然呼ばれたし、リズは生まれた時からの婚約者だから、もちろん招待されている。
確か…『星君』の回想でこのパーティーのシーンもあったような…? えーと、確かジェラルドルートとエドナーシュルートだったかな。このパーティーは伯爵家に引き取られたばかりのヒロインが、初めて貴族社会にでるイベントで、ジェラルドルートでは、ぼっちで壁の花をしているところを、悪役令嬢のエリザベスが取り巻きの令嬢達を引き連れて、ヒロインに因縁をつけるってとこからだったわね。 そしてワタシの今世であるエドナーシュのルートでは、慣れないパーティーに疲れて庭園のベンチで休んで居るところを、エドナーシュが通りかかって話しかけるのよね。
ヒロインか… 実際はどんな子なのか楽しみね。
広い王宮の庭園に設えられた会場はビュッフェ形式で、軽食と色とりどりのお菓子が並んでいた。本当にどれにしようか迷うわぁ! だけど…食べれそうもないわね… 会場に入った途端に令嬢達の視線が飛んでくるし、令息達も公爵令息であるワタシの知遇を得ようと狙ってるし… ああ、これ囲まれるかしらね…
「ごきげんようエドナーシュさま。 あの、あちらでわたくしたちとお話しませんか?」
「いやいや、ここは私たちと――― 」
「エドナーシュさま―――――」
うん、まあ…ね? 多少は貴族だししょうがない。 え、しょうがないわよね?
なんて事を考えていたら入り口の方が騒がしくなってきた。きっとあれね、王子が来たのね。
「失礼皆様、王子殿下がいらしたようなので僕はこれで。」
さて、王子王子~~っと。 と王子の居る方に向かうと、アイオスや他の側近候補になりそうな子と、リズがいた。 ん~~…でもちょっと何か…?
「エド、やっと来たか」
そんなに遅れてないと思うけど? どんだけ気が短いのよ王子はっ。 と、心の声はおくびにも出さず殊勝な態度をするワタシ。まあね?心はオトナですしね?
「申し訳ございません殿下。何か御用がありましたか?」
「ああ、悪いがエリザベスを連れていってくれ。」
は?リズをここから連れていけって? 一体どういう事よ。 少し離れた場所に佇んでいるリズを見ると、やっぱり何か様子がおかしいわね… なんだか青い顔して泣きそうな…
「エリザベス嬢がいかがされました?」
「いや、具合が悪そうなのでな。無理して参加する必要はないとそう伝えたのだ。」
ああ、そういう…
「‥‥‥かしこまりました。 ではエリザベス嬢、参りましょうか。」
「‥‥‥ッ はい…」
しばらく無言でリズと庭園を歩く。 相変わらず見事な庭園ねぇ…さっすが王宮! っとそんなことより…
「…とりあえず、そこに座ろうか。」
「ええ…」
ベンチにリズを座らせて、とりあえず話を聞くことにしたわ。 まーまたあのばか王子がやらかしたに違いないけど。 初めてリズと王子が顔合わせしたのは今から5年前で、その頃はまだよかったらしい。らしいと言うのは実際見たわけじゃないからねぇ。それにまだワタシもリズと出会ってなかったし。 出会った当時のリズは、丁度あの環境で自分に自信が持てないでいる頃だったから、王子にとっては庇護すべきモノ…ううん、違うわね… 精神的に上に立てるモノだったのよ。 だけどワタシと出会ってからだんだんと自信を持てる様になったリズは、それまでとは逆に疎ましいモノに変わってしまったのね。 こんな年から俺様何様王子様なんだから困るわよねーほんと。
「…‥‥」
「それで… どうしたの? 話してすっきりするなら聞くよ?」
すると、リズは黙って首を横に振った。 ま、言いたくないのを無理に聞く必要はないしね。 それならワタシのしてあげれる事は一つかな。
「そっか… じゃあ落ち着くまでここで休むといい」
そう言ってにっこり笑って彼女が落ち着くまで黙って一緒に居てあげる。 多分それが正解。 会話がなくっても一緒にいてくれる人がいると安心するのよね。 ワタシも前世でよく落ち込んだ時(フラレ時とか… )仲のいい子がそばにいてくれたっけ… 懐かしいわね。
「‥‥あの…エド?」
「ん? なに?」
「‥‥ありがとう…」
「ふふっ、どういたしまして。」
それにしてもこのシュチエーション…どこかで見たような…? ん~~~~~? あっ! あれだ、ヒロインとのエドナーシュのイベントだわ。 相手がリズに変わったけど… まあいいわね。別にヒロインちゃんとどうにかなろうとか思わないし。 どんなの子なのか気になるけど、それだけね。 あ、そう言えばゲーム通りにシナリオが進んでればヒロインちゃんも来てるはずなんだけど、見なかったわねぇ。 ま、学園もあるし、いずれ会う機会もあるでしょ。 いずれね。
――――――――― この時、私もリズも気が付いてなかった。 少し離れた樹の影からこっちをじっと見つめてる人影がある事を。
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