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184話.それから……【終】
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勇者を嫁にしたり魔王を討伐した等の逸話を残して時の人となったが、私がやっている事はいつもと変わらない。
私は、いつものように仕事をしていた。
魔王討伐を行ったのは、あくまでもシズクを助ける為と人の建物を勝手に不法占拠した馬鹿を叩き出す為だ。
魔王討伐の実績を買われて[勇者]になって欲しいという話を、国王陛下から話を頂いたが――私は全力でソレを拒否した。
それこそ嫁のマーガレットに助けを求め嫁の口から陛下に断りを入れたりと様々な方法でソレを拒否した。
今回の件が決め手となり――
私がブチ上げた冒険者の終活を変える為の提案は、この国全体で実行される事となった。
[セカンタの街]の発展の立役者である事、元勇者の旦那、王女の旦那の提案だから間違いないという動きが、ギルドのみではなく住民中心に伝播していったからだ。
こうやって、私が望んでいた冒険者の終活という無駄死にが大幅に減る事となった。
……
…………
月日は過ぎて行き私は47歳になった。
46歳、最期の日に貴族の職と街の運営から私は身を引き、私は自らの終活を始める事になった。
私の息子や娘は既に働いていて、貴族の爵位を私から継いだ者、私の店を引き継ぎ店長クラスの人間や社長クラスの人間も既にいる。
この子達が物心ついた頃には学校を完成させた。
ある意味この子達の為に、私が学校を作ったと言っても過言ではない。
嫁達には息子や娘達を残せているので一安心している。
私がやれる事は……全部やったよな?
街は私が知っている頃より別物のように発展しており、街は私の手から離れ発展を続けている。
今まで誰も入れなかった、趣味の部屋の物を【アイテムボックス】にしまいカラにした。
私の武器と、友人の画家に何枚も書いてもらいった家族の団欒の絵だけは私の寝室に残しておこう。
お金関係は既に移しているので問題ない。
金銭関係の分配は既に書類に書いている。
意外と、しぶとく生き延びている元貴族のリストア様を正気に戻してやった。
自らが、オークレディに襲われる立場になり全てを理解したらしく、彼の第一声が「申し訳ない事をした」だった。
既に月日が経ち過ぎているので私もとやかく言うつもりはないし……彼が反省しているのならそれでいい。
最後に――家族の皆に一通だけ手紙を残した。
『私が死んだ場合。
私が強引に持ってきたアウラの元に埋めて欲しい。
ソレが私がアウラにできる最期の事だ』と、私は手紙に書いた。
色々な終活が終わり……
ノルニルさんが私の元へやってきた。
「ごめんね、ノルニルさん。
そんな見た目になるまで付き合わせて、貴女は若い見た目のままでも良かったんでしょう?」
「いいえ。この個体は貴方と一緒に亡くなるようにできてるんですよ」
「そっか……。
先に逝ったシズクには、一緒の場所に行けなくて申し訳ないな」
彼女は転生者のレベルの制約の35歳の若さで亡くなった。
レベルの制約を件を伝えても――「これでいいの」と、彼女は言っていた。
彼女が頑張った結果がレベル35なのだ。
彼女は私と子供に全てを託してくれたのだ。
シズク……俺は頑張ったよな? 許してくれよな。
「それじゃ、二階堂さん。
おやすみなさい、また会いましょうね」と、ノルニルが言って私は寝室の布団に眠るような形で死んでいった。
……
…………
あぁ、明るいな……
いつものように、ノルン様が迎えにきてくれた。
「おつかれさまです、二階堂さん」
「おつかれさま……ですか。
私は死んだんですね?」
自分なりに終活はしてみたけど……
これで良かったのかな? と、私が考えていたら女神に考えを読まれた。
「いいんですよ、あれで!!
100人以上子供を残していて貴方の人生は納得できなかったんですか?」
「まさか……40過ぎても、お見合い話を持って来られるとは思ってなくてさ。
断れなかったりしてたら、そんな事になってたんだねぇ……」
「私、辛かったんですからね」
「あぁ……なんかスイマセン」
「今日からは、私の隣にいて下さいね」
「約束でしたからね……
それより、私はどんな扱いになるんですか?」
「私の旦那ですけど?
そんな役職は無いんで、私の仮名のノルニルを名乗っていいですよ」
「私がノルニルさんになるんですか?」
「仮名ですよ……
二人の時は二階堂さんって呼びますから。
これからどうしますか? 皆さんの生きる姿を見守り続けますか?」
「みんなの事は、気にはなるけどソレをみたからと言っても、みんなを助ける事もできないし。
違う事をしましょう」
「それじゃ、二人で冒険とかしてみませんか?
お互いに仮の体ですけどね」
「楽しそうですね、それも」と、言ってはみたが私は二人という言葉を理解してしまい眼から涙がこぼれ落ちていた。
「今まで皆と一緒でしたものね。
二階堂さんも、みんなと離れるのは寂しいよね」
「ん? どういうこと?」
「実は、貴方のお嫁さん10人と植物一つまでね。
亡くなった時に聞いてみようと思っているの。
転生せずに、二階堂さんとココにとどまりませんか? ってね。
ちなみに……シズクさんは即答だったよ」
シズクが、大分若くなって私の前に歩いてきた彼女が18歳位の頃の姿だ。
「シズク、ここにいたんだ」
「ここでみてたよ。ノルン様も辛抱強いなって感心してた」
「え!?」
「私が亡くなって悲しいのに、エミリーさんにソレで甘えてたし。
正直な話、ココでみてる分には、リア充爆発しろって思ってたよ!!」
「なんだ、そんなところまで見られてたのか……
ノルン様、それはそうと植物って?」
「貴方が亡くなった日、貴方の指示に従って貴方の遺体をアウラちゃんの元に埋めたのね。
彼女はソレを見て泣きじゃくるようにして、あの子は枯れてしまったのよ……」
小さい少女が、コチラに向かってきた。
「パパー!!」
「えっ? もしかしてアウラか?」
「うん」と、小さな少女が話してきた。
「この世界で植物のやらせておくのも可哀想でしょ」
「そっか、ありがとう。ノルン様」
「ダメですよ。ノルンって呼んでくださいね」
「そっか、いつかはみんなと会えるんだね」
「相手が希望すればですけど……」と、ノルンが爆弾発言を落とす。
「え!?」っと言って、私は彼女の発言に動揺していた。
エミリーには特に迷惑かけてたから私の元に来てくれるだろうか?
「大丈夫ですよ。
みんな貴方の事が好きですから」と、シズクが私をフォローしてくれた。
「そんな、解りきってる事を教えてあげたくていいのに」と、ノルンが言った。
「それに、二階堂さんは子供は作れないけど……
いずれ嫁10人と娘を養うんですよ、お金を稼いで来てもらわないとね」
「そっか、それなら頑張らないとね」
「その前に……本当は来て欲しくない人が来る頃ね」
「お兄ちゃん!!」
「えっ、リリス。
なんで? まだ若いハズの君が?」
「お兄ちゃん以外無理って食事できなかったら、死んじゃった。
こうなるから、お姉さんは短命の男に尽くすのは良くないわって、私に注意したんだね」
あっ……
お姉さんに子供ができて、私に素っ気なくなった理由ってソレか?
「リリス、悪魔なのにこんな場所に来ても辛くないか?」
「問題ないよー!!」
「リリスは悪魔というより、既に二階堂さんに染まってるので結界とか聖域系統は効きにくいんですよね。
ここで貴方が悪さしたら、また吊るしてやるからね!!」
「女神様こわーい。 助けて、お兄ちゃん!!」
彼女達はバチバチと視線をぶつけている。
「煽るな、煽るな」
それから、私はノルニル(男)として、仮の身体を使い再び異世界の知らない土地へ降りる事になった。
力は以前のまま使えるらしく、【アイテムボックス】に残していたミスリルの剣と防具を装備して、街の近辺で狩りを行った。
それが終わったら女神の元へ帰るを繰り返して生活を続けていた。
次に、この世界に来たのは、シェリーだった。
彼女は若いので寿命が来るのは先の話だろうと思ってたのに……
「えへへ、お兄ちゃん。来ちゃった」
「そっか、それで何故? そんなに若くなってるんだ?」
ココに来た女性陣は皆そうだ。
私が初めてあった時くらいの年齢に戻っている。
「お兄ちゃんが一番優しかったの、この頃が……」
「ぬぐっ!!
いやいや、旦那としてシェリーが成長しても優しくしてたよな?」
「だけど、この頃が一番記憶に残ってるの」
「そっか、確かにこの頃のシェリーには頭を撫でてあげてたなぁ」
……と言って、私は彼女の頭を撫でてやった。
「えへへへ……嬉しい。
あっ、そうだ!!
話しは変わるけど、お姉ちゃんがね病気で寝込んじゃってるの」
「エミリーが?」
「お兄ちゃん。お姉ちゃんのお見舞いに行ってあげて」
「異世界の仮の姿は私の16歳の時の姿だ。
知人にはバレるかもしれないし……
ノルン、どうしたらいいの?」
「せっかくだから、エミリーさんのお見舞いしてきて、貴方の相棒を迎えに行ってあげたらどうなんですか?
運命剣の名前からノルニルの剣に名前を変えて貴方の相棒が待ってますよ。
エミリーさんが、あの武器を引き継いでるんでしょ?」
要するに見舞い行ってこいって事だ。
見舞いに行くことが決まり、私は[セカンタの街]の地に降りた。
何年振りに、この街に降りるんだろうか?
この場所は、ギルドとお店があるという事もあり人が多い。
彼女達は相変わらず、お店の二階に住んでるんだな。
二階の扉をノックして、エミリーの知り合いなのでお見舞いさせてくれと伝えた。
二人の女性が、この部屋にいて二人で相談した後、私に名前を聞いてきた。
「ノルニルです」と、彼女達の問いに答えておいた。
二人は私の名前を聞いて、エミリーのお見舞いを認めてくれる事になった。
心当たりは、ノルニルの剣って部分だろうか?
それにノルニルさんが、私が死ぬまでいた訳だし、この名前を覚えている人もいるだろう。
私は二人に連れられて、エミリーの部屋にやってきた。
「お母様は病気で寝たきりになってますので、無理はさせないであげて下さいね」
娘達に注意されたので「ハイ」と、だけ答えておいた。
「失礼しますね。エミリーさん」
しばらく見ないうちに、エミリーも歳をとっていたんだね。
彼女は病気で寝たきりになっていた。
「あぁ、お客さんかい?
こんな調子で、相手してあげれないと思うけど話し相手になってくれないかな。
お客さん、名前はなんて言うのかい?」
「ノルニルですよ。エミリーさん」
「えっ!! ノルニルさん? ハジメさんが亡くなった時に一緒にいなくなった?
けど、貴方の声は男性の声よね。
すまないけど……私に顔を見せてくれないかい」
エミリーに顔を見せてあげたら、彼女は私が誰なのか気付いた。
「は、ハジメさん。
私をお迎えに来てくれたんですね」
「違うよ。
シェリーがさ、エミリーが病気で苦しんでるからお見舞いに行って欲しいって言ってきたんだよ」
「シェリーは死んだはずじゃ」
「そういう意味では私も死んでるんだよ。
ノルン様の隣にいるって条件でノルニルって名前を貰ったんだ。
私が寂しそうにしてるから、ノルン様が正式に認めてくれる嫁限定で一緒に暮らしてるんだよ」
「私も早くそこに行きたいです」
「ダメだよ、精一杯生きてねエミリー。
頑張りやさんな君の事が好きなんだからね。
キミは確実にソコに行けるから……」 と言って、私はエミリーにキスした。
「こんな、おばあちゃんになっても……
ハジメさんは優しくしてくれるんですね」
「私のお嫁さんなんだから、当然だよ」
「ハジメさん。
クローゼットの奥に貴方の武器置いてありますんで持っていってください。
武器の名前が変わってたらしくて、そういう意味だったんですね。
嬉しいな、また皆と会えるんだ……」
クローゼットから私の相棒を見つけた。
「久しぶりだな、相棒」
……と言って、何年振りかに私の剣が手元に戻ってきた。
「エミリー、頑張って生きてな」と言って、彼女に[ヒール]と[ヒーリング]の魔法をかけて女神がいる世界へと戻った。
回復魔法の効果虚しく……
エミリーは三日後に、こちらの世界に来たのだった。
「ハジメさん、応援してもらったけど。ダメでした」
「ダメじゃないよ、おかえり。
私の元へ帰ってきてくれたんだから」と言って、私は彼女を力いっぱいに抱きしめた。
「ねぇ、ノルン。
なんで? 嫁の皆は若い姿なのに、この世界では私が死んだ時の年齢なの?
仮の姿は若いのに……」
「神様として、それくらいの年齢の方が貫禄ありますよね?
女性達はみんな、貴方に好かれている年齢を自ら選択しているだけですよ」
その後は、アリア、リーネ、フローラ、キャリー、マーガレットの順番でコチラの世界に来た。
私が愛した嫁達全員と、この世界で暮らす事となりました。
この世界でも、いつもの日常が続いていくのは、また別のお話……
【完】
【後書き】
女神とその旦那、そしてその嫁さん達の異世界での物語って感じで考えてみました。
本当は、売り豚貴族が本物の貴族だったスゲエ的な展開で強制エンドも考えたんですけど。
物足りなく感じたので、ハッピーエンドで終わりました。
ちなみに嫁達が、若返った年齢はこうなってます。
エミリー16歳、キャリー16歳、シェリー10歳、アリア20歳、フローラ21歳、リリス12歳、リーネ17歳、シズク18歳、マーガレット15歳、アウラ8歳、ノルン17歳です。
私は、いつものように仕事をしていた。
魔王討伐を行ったのは、あくまでもシズクを助ける為と人の建物を勝手に不法占拠した馬鹿を叩き出す為だ。
魔王討伐の実績を買われて[勇者]になって欲しいという話を、国王陛下から話を頂いたが――私は全力でソレを拒否した。
それこそ嫁のマーガレットに助けを求め嫁の口から陛下に断りを入れたりと様々な方法でソレを拒否した。
今回の件が決め手となり――
私がブチ上げた冒険者の終活を変える為の提案は、この国全体で実行される事となった。
[セカンタの街]の発展の立役者である事、元勇者の旦那、王女の旦那の提案だから間違いないという動きが、ギルドのみではなく住民中心に伝播していったからだ。
こうやって、私が望んでいた冒険者の終活という無駄死にが大幅に減る事となった。
……
…………
月日は過ぎて行き私は47歳になった。
46歳、最期の日に貴族の職と街の運営から私は身を引き、私は自らの終活を始める事になった。
私の息子や娘は既に働いていて、貴族の爵位を私から継いだ者、私の店を引き継ぎ店長クラスの人間や社長クラスの人間も既にいる。
この子達が物心ついた頃には学校を完成させた。
ある意味この子達の為に、私が学校を作ったと言っても過言ではない。
嫁達には息子や娘達を残せているので一安心している。
私がやれる事は……全部やったよな?
街は私が知っている頃より別物のように発展しており、街は私の手から離れ発展を続けている。
今まで誰も入れなかった、趣味の部屋の物を【アイテムボックス】にしまいカラにした。
私の武器と、友人の画家に何枚も書いてもらいった家族の団欒の絵だけは私の寝室に残しておこう。
お金関係は既に移しているので問題ない。
金銭関係の分配は既に書類に書いている。
意外と、しぶとく生き延びている元貴族のリストア様を正気に戻してやった。
自らが、オークレディに襲われる立場になり全てを理解したらしく、彼の第一声が「申し訳ない事をした」だった。
既に月日が経ち過ぎているので私もとやかく言うつもりはないし……彼が反省しているのならそれでいい。
最後に――家族の皆に一通だけ手紙を残した。
『私が死んだ場合。
私が強引に持ってきたアウラの元に埋めて欲しい。
ソレが私がアウラにできる最期の事だ』と、私は手紙に書いた。
色々な終活が終わり……
ノルニルさんが私の元へやってきた。
「ごめんね、ノルニルさん。
そんな見た目になるまで付き合わせて、貴女は若い見た目のままでも良かったんでしょう?」
「いいえ。この個体は貴方と一緒に亡くなるようにできてるんですよ」
「そっか……。
先に逝ったシズクには、一緒の場所に行けなくて申し訳ないな」
彼女は転生者のレベルの制約の35歳の若さで亡くなった。
レベルの制約を件を伝えても――「これでいいの」と、彼女は言っていた。
彼女が頑張った結果がレベル35なのだ。
彼女は私と子供に全てを託してくれたのだ。
シズク……俺は頑張ったよな? 許してくれよな。
「それじゃ、二階堂さん。
おやすみなさい、また会いましょうね」と、ノルニルが言って私は寝室の布団に眠るような形で死んでいった。
……
…………
あぁ、明るいな……
いつものように、ノルン様が迎えにきてくれた。
「おつかれさまです、二階堂さん」
「おつかれさま……ですか。
私は死んだんですね?」
自分なりに終活はしてみたけど……
これで良かったのかな? と、私が考えていたら女神に考えを読まれた。
「いいんですよ、あれで!!
100人以上子供を残していて貴方の人生は納得できなかったんですか?」
「まさか……40過ぎても、お見合い話を持って来られるとは思ってなくてさ。
断れなかったりしてたら、そんな事になってたんだねぇ……」
「私、辛かったんですからね」
「あぁ……なんかスイマセン」
「今日からは、私の隣にいて下さいね」
「約束でしたからね……
それより、私はどんな扱いになるんですか?」
「私の旦那ですけど?
そんな役職は無いんで、私の仮名のノルニルを名乗っていいですよ」
「私がノルニルさんになるんですか?」
「仮名ですよ……
二人の時は二階堂さんって呼びますから。
これからどうしますか? 皆さんの生きる姿を見守り続けますか?」
「みんなの事は、気にはなるけどソレをみたからと言っても、みんなを助ける事もできないし。
違う事をしましょう」
「それじゃ、二人で冒険とかしてみませんか?
お互いに仮の体ですけどね」
「楽しそうですね、それも」と、言ってはみたが私は二人という言葉を理解してしまい眼から涙がこぼれ落ちていた。
「今まで皆と一緒でしたものね。
二階堂さんも、みんなと離れるのは寂しいよね」
「ん? どういうこと?」
「実は、貴方のお嫁さん10人と植物一つまでね。
亡くなった時に聞いてみようと思っているの。
転生せずに、二階堂さんとココにとどまりませんか? ってね。
ちなみに……シズクさんは即答だったよ」
シズクが、大分若くなって私の前に歩いてきた彼女が18歳位の頃の姿だ。
「シズク、ここにいたんだ」
「ここでみてたよ。ノルン様も辛抱強いなって感心してた」
「え!?」
「私が亡くなって悲しいのに、エミリーさんにソレで甘えてたし。
正直な話、ココでみてる分には、リア充爆発しろって思ってたよ!!」
「なんだ、そんなところまで見られてたのか……
ノルン様、それはそうと植物って?」
「貴方が亡くなった日、貴方の指示に従って貴方の遺体をアウラちゃんの元に埋めたのね。
彼女はソレを見て泣きじゃくるようにして、あの子は枯れてしまったのよ……」
小さい少女が、コチラに向かってきた。
「パパー!!」
「えっ? もしかしてアウラか?」
「うん」と、小さな少女が話してきた。
「この世界で植物のやらせておくのも可哀想でしょ」
「そっか、ありがとう。ノルン様」
「ダメですよ。ノルンって呼んでくださいね」
「そっか、いつかはみんなと会えるんだね」
「相手が希望すればですけど……」と、ノルンが爆弾発言を落とす。
「え!?」っと言って、私は彼女の発言に動揺していた。
エミリーには特に迷惑かけてたから私の元に来てくれるだろうか?
「大丈夫ですよ。
みんな貴方の事が好きですから」と、シズクが私をフォローしてくれた。
「そんな、解りきってる事を教えてあげたくていいのに」と、ノルンが言った。
「それに、二階堂さんは子供は作れないけど……
いずれ嫁10人と娘を養うんですよ、お金を稼いで来てもらわないとね」
「そっか、それなら頑張らないとね」
「その前に……本当は来て欲しくない人が来る頃ね」
「お兄ちゃん!!」
「えっ、リリス。
なんで? まだ若いハズの君が?」
「お兄ちゃん以外無理って食事できなかったら、死んじゃった。
こうなるから、お姉さんは短命の男に尽くすのは良くないわって、私に注意したんだね」
あっ……
お姉さんに子供ができて、私に素っ気なくなった理由ってソレか?
「リリス、悪魔なのにこんな場所に来ても辛くないか?」
「問題ないよー!!」
「リリスは悪魔というより、既に二階堂さんに染まってるので結界とか聖域系統は効きにくいんですよね。
ここで貴方が悪さしたら、また吊るしてやるからね!!」
「女神様こわーい。 助けて、お兄ちゃん!!」
彼女達はバチバチと視線をぶつけている。
「煽るな、煽るな」
それから、私はノルニル(男)として、仮の身体を使い再び異世界の知らない土地へ降りる事になった。
力は以前のまま使えるらしく、【アイテムボックス】に残していたミスリルの剣と防具を装備して、街の近辺で狩りを行った。
それが終わったら女神の元へ帰るを繰り返して生活を続けていた。
次に、この世界に来たのは、シェリーだった。
彼女は若いので寿命が来るのは先の話だろうと思ってたのに……
「えへへ、お兄ちゃん。来ちゃった」
「そっか、それで何故? そんなに若くなってるんだ?」
ココに来た女性陣は皆そうだ。
私が初めてあった時くらいの年齢に戻っている。
「お兄ちゃんが一番優しかったの、この頃が……」
「ぬぐっ!!
いやいや、旦那としてシェリーが成長しても優しくしてたよな?」
「だけど、この頃が一番記憶に残ってるの」
「そっか、確かにこの頃のシェリーには頭を撫でてあげてたなぁ」
……と言って、私は彼女の頭を撫でてやった。
「えへへへ……嬉しい。
あっ、そうだ!!
話しは変わるけど、お姉ちゃんがね病気で寝込んじゃってるの」
「エミリーが?」
「お兄ちゃん。お姉ちゃんのお見舞いに行ってあげて」
「異世界の仮の姿は私の16歳の時の姿だ。
知人にはバレるかもしれないし……
ノルン、どうしたらいいの?」
「せっかくだから、エミリーさんのお見舞いしてきて、貴方の相棒を迎えに行ってあげたらどうなんですか?
運命剣の名前からノルニルの剣に名前を変えて貴方の相棒が待ってますよ。
エミリーさんが、あの武器を引き継いでるんでしょ?」
要するに見舞い行ってこいって事だ。
見舞いに行くことが決まり、私は[セカンタの街]の地に降りた。
何年振りに、この街に降りるんだろうか?
この場所は、ギルドとお店があるという事もあり人が多い。
彼女達は相変わらず、お店の二階に住んでるんだな。
二階の扉をノックして、エミリーの知り合いなのでお見舞いさせてくれと伝えた。
二人の女性が、この部屋にいて二人で相談した後、私に名前を聞いてきた。
「ノルニルです」と、彼女達の問いに答えておいた。
二人は私の名前を聞いて、エミリーのお見舞いを認めてくれる事になった。
心当たりは、ノルニルの剣って部分だろうか?
それにノルニルさんが、私が死ぬまでいた訳だし、この名前を覚えている人もいるだろう。
私は二人に連れられて、エミリーの部屋にやってきた。
「お母様は病気で寝たきりになってますので、無理はさせないであげて下さいね」
娘達に注意されたので「ハイ」と、だけ答えておいた。
「失礼しますね。エミリーさん」
しばらく見ないうちに、エミリーも歳をとっていたんだね。
彼女は病気で寝たきりになっていた。
「あぁ、お客さんかい?
こんな調子で、相手してあげれないと思うけど話し相手になってくれないかな。
お客さん、名前はなんて言うのかい?」
「ノルニルですよ。エミリーさん」
「えっ!! ノルニルさん? ハジメさんが亡くなった時に一緒にいなくなった?
けど、貴方の声は男性の声よね。
すまないけど……私に顔を見せてくれないかい」
エミリーに顔を見せてあげたら、彼女は私が誰なのか気付いた。
「は、ハジメさん。
私をお迎えに来てくれたんですね」
「違うよ。
シェリーがさ、エミリーが病気で苦しんでるからお見舞いに行って欲しいって言ってきたんだよ」
「シェリーは死んだはずじゃ」
「そういう意味では私も死んでるんだよ。
ノルン様の隣にいるって条件でノルニルって名前を貰ったんだ。
私が寂しそうにしてるから、ノルン様が正式に認めてくれる嫁限定で一緒に暮らしてるんだよ」
「私も早くそこに行きたいです」
「ダメだよ、精一杯生きてねエミリー。
頑張りやさんな君の事が好きなんだからね。
キミは確実にソコに行けるから……」 と言って、私はエミリーにキスした。
「こんな、おばあちゃんになっても……
ハジメさんは優しくしてくれるんですね」
「私のお嫁さんなんだから、当然だよ」
「ハジメさん。
クローゼットの奥に貴方の武器置いてありますんで持っていってください。
武器の名前が変わってたらしくて、そういう意味だったんですね。
嬉しいな、また皆と会えるんだ……」
クローゼットから私の相棒を見つけた。
「久しぶりだな、相棒」
……と言って、何年振りかに私の剣が手元に戻ってきた。
「エミリー、頑張って生きてな」と言って、彼女に[ヒール]と[ヒーリング]の魔法をかけて女神がいる世界へと戻った。
回復魔法の効果虚しく……
エミリーは三日後に、こちらの世界に来たのだった。
「ハジメさん、応援してもらったけど。ダメでした」
「ダメじゃないよ、おかえり。
私の元へ帰ってきてくれたんだから」と言って、私は彼女を力いっぱいに抱きしめた。
「ねぇ、ノルン。
なんで? 嫁の皆は若い姿なのに、この世界では私が死んだ時の年齢なの?
仮の姿は若いのに……」
「神様として、それくらいの年齢の方が貫禄ありますよね?
女性達はみんな、貴方に好かれている年齢を自ら選択しているだけですよ」
その後は、アリア、リーネ、フローラ、キャリー、マーガレットの順番でコチラの世界に来た。
私が愛した嫁達全員と、この世界で暮らす事となりました。
この世界でも、いつもの日常が続いていくのは、また別のお話……
【完】
【後書き】
女神とその旦那、そしてその嫁さん達の異世界での物語って感じで考えてみました。
本当は、売り豚貴族が本物の貴族だったスゲエ的な展開で強制エンドも考えたんですけど。
物足りなく感じたので、ハッピーエンドで終わりました。
ちなみに嫁達が、若返った年齢はこうなってます。
エミリー16歳、キャリー16歳、シェリー10歳、アリア20歳、フローラ21歳、リリス12歳、リーネ17歳、シズク18歳、マーガレット15歳、アウラ8歳、ノルン17歳です。
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転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
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