異世界で商売はじめました。(〇豚は異世界に出荷よー(´・ω・`)そんなー! )

ヒロ三等兵

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172話.変わり果てた腐れ貴族

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 シズク達と別れたあと……
[サドタの街]に移動して、オーク被害にあった男女を荷物のように持って街のギルドに入った。

 ギルド長クラスの人間でないと、この案件は片付けれないので案内の人に直接、ギルド長のレクターを呼び出してもらうことした。
 ボロボロになった男女を抱えるようにして、私が運んでいるので周りから奇異の目を向けられているが、今のところは無視しておこう。 

「よぉ、にーちゃん。いや、伯爵か……
 こんな所に呼び出さず買取倉庫に来てくれりゃいいのに」


「いつも通りに、にーちゃん呼びでいいですよ。
 あと、すいません。
 結構ヤバい案件なんで人のいない所で話できますか?」

「ん? そこの荷物のように持ってる男と女の件か?」

「ハイ」

「後、ボルグ様を呼んでもらっていいですか?」

「ああ、急ぎ呼び出しをかけるようにしよう。
 にーちゃんの名前は出していいのか?」

「はい、私の名前を出してください。
 ボルグ様には至急来てもらわないと拙いです」

 レクターは他のギルドスタッフに、貴族の呼び出しに行かせて私達はギルドの応接室へと移動した。

「人払いは大丈夫ですよね?」

「あぁ……
 少しばかりヤバそうな気配がしてるんで、その辺りはしっかりしてるぞ!!」

「事の経緯から話しますと……
 勇者と一緒にオークキングの討伐を果たしたんですよ」

「それは、いい話じゃないか?」

「そこからが問題で、そこのオークキングの巣に大量の人間の遺体らしきモノと、オーク達の繁殖の道具にされていたモノがこの二人です。
 今は魔法で強引に眠らせています」

「その繁殖の男と女を助けて来た所までは、なんとなく解るが……」

「この男性の身形ですが……
 ボロボロですけど服装に見覚えありませんか?」

「スマン、わからない」

「私は、この男が行方不明になったリストア様なんじゃないかと思ってるんです。
 なので、ボルグ様に来てもらおうと思って」

「貴族の地位を降りた男が街に戻って来ても大罪人として裁かれるだけだろ」

「既に、この男と女は精神が壊れています。
 罪を与えても理解さえできず、死にゆくだけです」

「たしかに、[セカンタの町]を襲撃した張本人を見つけたのはヤバい案件だよな。
 けど、他にもあるんじゃないのか?」

「これがもし、元貴族のリストアなら……
 オーク達に捕まってから月日が半年以上経っていて、大量に繁殖が済んでると思うんですが?
 私達が討伐した洞窟には思ったよりオークの数が少なかったんです」

「ちょっと、待て!!  それは、もっと大きいオークの巣があるかもしれないと言う事か?」

「その可能性を提示します。
 冒険者減少の原因が、オークの大繁殖に原因があるのかもしれません。
 これが私の考えている最悪のパターンです」

 次に【マップ】を指差しをして、レクターに伝える。

「今回、私が討伐したオーク達がいた洞窟はココです。
 ここのオークの住処以外のオークの巣の探索をギルドの依頼で出しませんか?
 あとオークとの戦闘はしなくていいです。場所だけ解れば対応できますから」

「つまり、オークの巣を探すだけの依頼をギルド側が出せって事か?」

「そうです。この依頼は私じゃなくギルドが出すべきです。
 それが嫌なら、この領地の貴族に協力を仰いでください」

 話を続けていると、貴族のボルグが応接室へ入ってきた。

「待たせたな!! 急な話とは何用だ?」

「あぁ、聞いてくれ……」

 先程レクターさんに話した事を、再び貴族の息子のボルグに伝えた。

「変わり果てたこの男が私の父であり。
 それと、オークの大量繁殖が行われたかもしれないと?」

「ハイ。大量繁殖に関してはあくまでも憶測ですけどね」

「ボロボロには、なってるが当家の服であるのは確かだ。
 それに、痩せてしまってるが父の面影がある」

「今、この男は完全に壊れています。
 治療せよと言うのなら死罪は免れないと思うが……
 正直な話、この状態なら私は手を下せない。十分な苦痛を受けてきたのだろうしな。
 普通の部屋で、かつ牢屋みたいになってる部屋があるだろう、貴方の家には……」

「すまない。
 あんな父ではあったが処罰となると躊躇ってしまってな」

「ん? にーちゃん。
 元貴族の、この壊れた状態を治す事ができるのか?」

「うん。多分できると思う。
 女性の方は、女性のスタッフに着替えの用意と彼女の身体を綺麗にしてあげてもらっていいかな。
 流石に、このまま正気に戻すのは可哀想だ」

 女性の着替え等が終了するまで、私達は部屋の外で待ち。
 ボルグの命例で、ボロボロの男を使いの者に綺麗な屋敷牢に入れとけと命令を出した。
 そして、兵士達が元貴族リストアを屋敷の牢屋に連れて行った。

 昔、奴隷を入れる為に作った牢屋に自分が入れられるのか……
 これも何かの因果なのだろうな。

 ギルドの女性が、彼女の着替え終わりましたと私達に伝えてきた。

 私達は、再び応接室へ入り、彼女に[ヒール]の魔法をかける前に【魔力視】のスキルを使用した。

 彼女の体内には、人の臓器とは別の器官的なモノが作られていた。
 そして、女性に[鑑定]のスキルをかける準備をする。
 彼女の姿がボロボロの状態じゃない為、同情とかを抜きに彼女の顔を見て事ができた。

 アレッ? この人と、どこかで会ったことがあるような?
 見知らぬ女性に[鑑定]のスキルをかけるのは、失礼と思うがかけるしかない。
 女性に対して[鑑定]をかけると、スリーサイズや秘密であろう細かい部分も出てくるので困りモノだ。

[鑑定]のスキルが発動した。
 この女性はレベル低め僧侶で、パーティリーダーの男性に好意を持っている。

 経験人数……1000以上

 はっ? 流石に盛りすぎだろオイ。
 子供が1000以上いる、全てオークだった。 これで全てを察することができた。

 状態異常: 錯乱、混乱、恐怖、オークの妻
 ※オークの妻:オーク御用達の道具。(別の器官的なモノ)

 あぁ、鑑定結果を見ると色々とヤバい。

 ほぼ、想定した最悪が全て的中しているのが解る。
 もういい、これ以上の詮索は必要ない。
 鑑定の結果を見るのを止め、彼女の治療してやることにした。

 まず状態異常を消す必要がある特にオークの妻の状態異常だ。
 もともとない、ステータス状態なので状態異常として取り除けるだろう。
 ボロボロになっていた彼女に[ディスペル]と[ヒーリング]の魔法をかけてやった。
 彼女の顔色が良くなり状態が回復したみたいだ。
 
 次に[ヒール]の魔法だ。
[ヒール]の魔法を順番を最後にした理由は……
 彼女の精神が壊れていたので、体力を回復させて現状を理解できず暴れられる事を回避したのだ。

[ヒール]が彼女にかかり、顔色が更に良くなって行くのが見て取れる。

 そして、彼女が目を覚ました。

「おはようございます。目を覚まされたんですね」

「なんでアンタが!! ココにいるのよ!!
 他の皆は何処よ?」

「ん?   私とは初対面じゃないですか?」

「アンタが私達のパーティを脅したから、狩場を移る事になったんじゃない!!」

 思い出した……この女性は砂漠であった事のあるパーティメンバーの一人だ。

「ん? 脅した? 
 シェリーが倒したモンスターに言い掛かりつけてきたクソ野郎どもか!!」

「あんなガキが倒せるわけないじゃない……!! 言い掛かりはそっちでしょうが!?」

「ホント、コイツらクズだな。
 助けるんじゃなかったよ」

 彼女の発言に、イラついたので彼女をツイ貶めてしまった。

「それで、あの洞窟で何があったよ?
 オークの嫁さんよ」

「あっ……」と言って、女は一気に表情を曇らせた。

「すまない……言いすぎた。
 状況を伝えるぞ。オークの住む洞窟にいた君達二人を私達のパーティが救出した。
 君に、何千匹とオークの子供がいる事までは確認済みだ。
 その状態異常を治す為の治療はおこなった。ここまでは解るか?」

「理解したわ!! アンタが助けてくれたのは感謝するわ。
 それなら、もっと早くきてくれれば、パーティのみんなも死ななかったのに」

「勘違いするなよ……
 冒険者なんてモノはモンスターの命を奪って生きている連中だ。
 殺される、いや、死ぬ覚悟もなくて冒険者なんてやるんじゃないよ。
 確か、パーティのリーダーさんには遠回しに注意したんだけどね?
(賢さが足りてないから)もっと考えろとね」

「アンタがあの時、脅さなきゃ私達はアソコで狩りを続けれたのに……」

「あのな、人のせいにする前に自分達のせいだと気づけよ。
 まぁいい、俺と会った後にオーク達に捕まったとすると1年以上か?
 それでも、君だけでも無事だったのは良かったと思うよ」

「そう……
 助けてくれて、ありがとう」

 そこから、洞窟内での生活の様子や、オーク達の習性などを生々しく聞くことができた。
 彼女はしばらくの間ギルドとボルグ様が支援をするという事で話がついた。

「ちなみに、悪い情報はココまでだ。
 次はいい情報を提供するよ。
 私がレベル40を超えたので、ラッキーインセクトとデスワームの出現の法則を教えるよ。
 俺と勇者様ともう一人の三人で9匹のラッキーインセクトを討伐したので、来月には1匹湧いて出てくるよ」

 レクターに、ラッキーインセクトが1ヶ月に1匹湧くという事と、ラッキーインセクトが12ヶ月放置されるとデスワームになるという旨を伝えた。
 今後、私がラッキーインセクトを狙う事はないと伝えた。

 これで来月から、砂漠に人が戻ってくるだろう。
 そうなれば、デザードブルの肉を私が狩る必要がなくなるという旨を伝えた。

「私が肉を買うとしたら、サービスしてくれるだろうな」と、笑顔浮かべてレクターに言っておいた。
 昨日の今日で私の言う事には反論出来ず、レクターは頷くだけだった。

 ギルドと貴族の共同でオークの巣の探索の依頼が発令され、挙式の2日前にこちらに報告を入れてくれるらしい。
 この件の報告に関しては、店の裏の転送の魔道具を使って良いとレクターに特例を出しておいた。
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