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151話.300万ゴールドの使い道

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 先日の大商いにより160万ゴールドもの大金が手に入った。

 その報告をする為に屋敷に住む――
 アリア・ノルニル・リリス・リーナ・フローラの五名を再び引き連れて[セカンタの町]にある自宅へ集合した。

 再び大人数を引き連れて自宅に集まったので、エミリーが言ってきた。

何かやらかしたんですか?」

「いやいや……
 悪い事は一切してないって、仕事で大商いしちゃってね」

「ハジメさん。金額を聞いてよろしいでしょうか?」

「160万ゴールドです……」

「「「エーーー!!」」」っと、一同から驚きの声が上がった。

「160万って……
 ここのハンバーガーがいくつかえるっけ?」と、キャリーが混乱している。

「それで、このお金の使い道なんだけどさ、みんなに分配……」

 ……と、途中まで言おうとすると「「ダメです!!」」と、一同から拒否された。

「ハジメさん。この間、全員に5万ゴールドとかいう大金を配ったじゃないですか!!」

「私も、後から5万ゴールド貰ったよ……」と、リーネが答えた。

「協会に寄付するとかは?」

「やめて下さい!! 教会出身の私達3人が、この間の5万ゴールド中から寄付してますから。
 必要以上の金額を渡すと、ロクなことになりませんから」

「私もサキュバスのお姉ちゃんにお金を渡したよー!!」

 ぐぬぬぬ……
 皆の意志は固そうだ。

「どうしても受け取らない?」

「受け取りません」と、エミリーに拒否された。
 指差しで皆に確認取っていくが皆が首を横に振る。
 お金が好きそうなリーネさんなら、きっと縦に首を振ると思ったが横に首を振った。

 ぐぬぬぬ……

「じゃあ、なんで受け取ってくれないの?」

「私達は、ある程度のお金は自由に使わせて貰ってますし……
 食材なんかは自宅にも屋敷にも用意してあるじゃないですか!!」

「いや、それは君達が働いたお金であって……」

 フローラとリーネが口を開いた。

「社長(お兄さん)。一般市民レベルをなめないで下さい。
 ココでの暮らしは、貴族の暮らしより贅沢だと思いますよ」

「いやいや、それはないでしょう。
 貴族ってあのアレリストア候みたいなイメージだし」

「ご主人様。アレは例外です」

「ハジメさんは少し認識がズレてるみたいですね」

「そうなの? みんな欲しいモノとかないの?」

「ハジメさん。欲しいモノはあるけど普通に買えてますよ。
 どうせなら、この間お話をしていた施設を作る資金に充てたらどうですか?」

「農園とか警備とか学校の話かい?」

「そうです」

「そうだね……。
 君達がそういうなら、そうしようかな。
 とりあえず、お金は貯めてみるとするよ。
 ちなみに後140万は売り上げが立つ予定です」

「何を売ったんですか? 一体……」と言って、あまりの大商い振りに、エミリーは呆れていた。

「うーん。ボスモンスターの魔石を加工して作った特殊な鏡だよ。
 片方から見てもただの鏡なんだけど逆から見ると鏡の先が見える不思議な鏡なんだよ。
 その鏡を国王陛下に30枚、教皇様に10枚、ボルグ様に20枚売りました」

「あっ……ボスモンスターって爆発した。
 アレです?」と、ノルニルが言った。

「そう、臨時収入を皆に配ったアレ。
 50万の魔石を素材にした特殊な鏡が安い訳がないので一枚5万で売ったんですよ。
 最初は歓楽街に持って行って、建設の仕事とリーネさんを持って帰ってきた訳です。
 もう一つの用途として(防犯)は解っていたので、国の要職の三名にのみ売り込んだら見事に売れたんですよ」

「あの、エッチな眼鏡を作る位ですからね」

「需要はあるでしょうね……」と、女性陣がやや不満そうである。

「ん? ちょっと待って、ハジメさん。
 160万でも凄いのに300万の大商いだったんですか?」

「んー。60枚の五万ゴールドだからそうなるねぇ。
 残り140万は売掛にしてる。
 だから、少し位は私の顔を立てて贅沢しませんか?」

「そう言われると仕方ない気もしますね」と、エミリーが言って 周りの皆も私の意見を聞いてくれそうな流れになった。

「この町の服屋には皆のドレスの注文かけてるから、皆で城下街の服屋に行こう」

「まぁ、それくらいなら」と、エミリーも納得してくれた。

 転送の魔道具を使いお屋敷へそこから徒歩で、城下街の服屋の前まで移動してきた。
 お店の中に入ると相変わらず濃ゆいキャラの店長が挨拶してきた。

「あら~お客さん。
 いらっしゃい。また、きてくれたのね。
 嬉しいわぁ~♡」

「あっ、どうも。
 今日は嫁達の服を買いに来ましたよ」

「この前のお嬢さんも連れて来てくれたのね。
 嬉しいわぁー♡ ……って、嫁? って8人も?」

 エミリー、シェリー、キャリー、アリア、ノルニル、リリス、フローラ、リーネだから8名だなぁ。

「ハイ。8名で間違い無いですよ」

「そうなのね……
 それだけの資金力がある男性なのね。素晴らしいわぁー♡」

「ちなみにお兄ちゃん。
 9人目のお嫁さんも決まってるよー!!」と、シェリーがブッ込んで来た。

「ねぇ、お兄さん。
 そんなに娶ってお金は大丈夫なの? お姉さんは、ちょっとだけ心配だわ♡」

 うん、お姉さんじゃなく、お兄さんなんだけどなどう見ても……

「私は商人をやってまして、お金には余裕があるんですよ。
 嫁さん達があまりお金を使ってくれないんで、今回無理を言って全員連れて来ちゃいました」

 こんな見た目の店長だが、服のセンスと服の質は認めているのでリピート購入しに来たのだ。
 女性の買い物は割と長いが彼女達が買い物をしている姿を見ながら癒されていた。
 案の定、ノルニルとリーネがかなりの数の服を買い込んでいた。
 一人約4着ほど服を購入して、約2名が8着の服を購入して計40着の購入となった。

「40着で4800ゴールドだけど……
 沢山買ってくれたから800ゴールドはサービスするわね。
 4000ゴールドで良いわよ♡」

 店員の見てくれはこんなだが服の質はいいのである……
 そこは素直に評価して、その対価として4000ゴールドを店員に支払った。

「毎度ありがとうございます~♡」

 嫁達の買い物に付き合った後お屋敷へと帰宅した。

「ハジメさん。
 物凄い店員さんでしたね」

「物はいいと思うんだよ。
 アレさえなければ……」

「物に関しては、ものすごく丁寧で良い仕事されてますよ」と、エミリーから買った服の出来に対して太鼓判が押された。

「4000ゴールドを何事もなく現金で払っていく旦那……
 私、完全に玉の輿コースだわ」と、リーネが言った。

「リーネさん。
 正直過ぎてちょっと笑える」と、私は正直に言っておいた。

「まぁ、皆に服くらいは買ってあげれて良かったよ。
 これだけ稼いでいて君達に服さえも買ってやれないとか、私はどんな甲斐性ナシと思う所だったよ」

「そんなことないですよ。お兄さん」と、キャリーがフォローしてきた。

「それにしても、ノルニルさんとリーネさんかなり服を買い込みましたね」と、エミリーが言った。

「そりゃ、そうよねー」とリーネとノルニルが目を合わせて頷いていた。

「エミリー。アンタいい女なんだけどさぁ……
 男って見栄を張りたい生き物なのよ。
 自分の為に服を買って着飾ってくれると考えたら、この人なら平気でお金を出すでしょ。
 見栄を張らせてやるのも大事なんじゃないの?」と、リーネが言った。

「え?  そういうモノなんですか?」

「あー、言われてみれば。
 リーネの言う事は、一理あるかもしれないねぇ。
 私は皆の服を買っていくの好きだし、余裕のある時位は贅沢してもらいたいなぁとは思うかな。
 まぁ、質素にすることが悪いわけじゃ無いよ。
 ただ、特別な時位は甘えて欲しいかなぁ」

「そうなんですね……
 その考えは教会育ちの私達には解りにくいです」

「まぁ、色々考えがあるって事だよ。
 ……という事で、お金を受け取る気になりませんか?」

「「「なりません!!」」」と、一同から却下を食らった。

「そういう意味では……お兄さんは、まだ若いのに生き急いでるよねぇ。
 お金を私達に残したいって、まるでお兄さんが死ぬみたいじゃない」
 ……と、リーネが言った。

「そう思われちゃうのかぁ……。ソレは気をつけるよ」

 そんなこんなで、みんなと過ごし1日が終わっていった。

 それから……1日、2日、3日後も、いつもの日常を繰り返した。
 そして、2ヶ月の月日が過ぎた。

 2ヶ月の間に三号店に扇風機と洗濯機が配備された事。
 鏡の代金の売掛金の140万が支払われた事が主な出来事である。
 私は300万ゴールドという大金を手に入れた事で、冒険者の終活に対して待ったをかける施策を取る決意を決めた。
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