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144話.サキュバスの試験
しおりを挟む[セカンタの町]と[サドタの街]を繋ぐ転送小屋が完成して、一週間ほど経った。
この一週間は、これといって代わり映えもなく、仕事して狩りに行ってを繰り返した。
レベルは一切上がる事なくレベル39をキープしていた。
日々、成長を見せてくれる為にリリスを注意する事が出来ないのが私の悲しい所である。
特に成長著しいのは技術とかそういった部分である。
好き嫌いの克服は、彼女に無理をさせてしまうので言えないでいた。
今日は週末の為、2号店がお休みなので私の仕事もほぼない為、朝から自由時間だ。
朝イチからリリスを連れてサキュバスのお姉さんのいるお店へ向かった。
今日は、リリスの成長の成果をサキュバスのお姉さんに見せる時が来たのだ。
リリスは、私の体に引っ付くようにして歩いている。
ふむ、かわいい……。リリスの頭をなでなでしながらお店まで移動した。
さすがに、こういうお店だし朝方は開いてないかもと思ったが……
前回来た時も開いていたので開店しているのだろう。
リリスと一緒に、お店に入った。
「いらっしゃいませ。
……って、お兄さんとリリスじゃない。
一緒に仲良くお散歩か何かかしら?」
「今日はね、お姉ちゃんにリリスの試験をしてもらいに来たの!!」
「そうなの? それよりリリス。
アナタ凄く成長したんじゃない?」と言って、お姉さんはリリスの匂いを嗅いだ。
「うん、予想通りね。
一人のご主人様から食事を定期的にもらえてるから、完全にお兄さんの好みのサキュバスとして育とうとしてるわね」
「そ、そうなんですか?」
「技術は二の次としても……
上質の食事を定期的に与えられてるのが見てわかるわ。
夢の中での食事は二日に一度みたいだけど、夢の中以外だとソッチの技術を伸ばしているのも見て取れるわね」
「その道のプロと言いますか……
そういう人が嫁さんに来たので、その人から技術指導されてるみたいですね」
「それじゃリリス。
この場所で、お兄さんに魅了をかけなさい」
「お姉ちゃん、ソレは無理だよ~。
お兄ちゃんの魔法抵抗が強すぎて、普通の場所じゃ魅了が効かないよ。
お兄ちゃんが魅了を受け入れてくれたら大丈夫だけど……」
「それじゃ、特別室へ移動しましょう」と、サキュバスのお姉さんに言われて前回も案内された部屋に連れていかれた。
部屋に入ると、リリスの部屋に近い空気を感じる。
「ここで魅了をかけなさい、リリス。
眠らせる必要はないわ」
「この部屋なら余裕かなぁ……
ハイッ!! お兄ちゃんに魅了かかったよ。
でも、お兄ちゃんに警戒されてたらこの部屋でも魅了をかけるのは難しいかも?
それでも、私の部屋なら確実にかかるよ!!」
「なんで、この人はリリスの貧相……
いや、未熟な体に魅了されるの?」
……と、あっさりとリリスの魅了に堕ちた私に対しての皮肉をお姉さんが言ってきた。
「お姉ちゃん。ヒドイ……」
「あー、ごめんなさいね。
私の魅了が、この人に効かないから悔しいのよ。
この人は、お金持ちで有名なんでしょ?」
「この前、お小遣いもらったよ!!」
「いくら貰ったの?」「5万ゴールド!!」
「はぁ? 冗談でしょ?」
「本当だよー!!」
「なんで、こんなちんちくりんに、そんな大金を払うのこの男は?」
「むー!! お姉ちゃんひどいー!!
お兄ちゃん何か言ってやって!!」
「そうですよ、リリスはこんなに頑張り屋なのでその姿に癒されてるんですよ。
凄く魅力的じゃないですか……この無垢な表情に、そして頑張ってる姿。
あぁ、一日中彼女をナデナデしてあげたい」
「ああ、この人がそういう趣味の人なのは理解できたわ。
そしたらリリス、あなたの魅了に私の魅了も紛れさせてね」
「はーい」
「この人を、夢の中に堕としなさい。
姿はそのままでいいわよ。この人はアナタの為の相手といっても過言ではないから。
あなたの食事の仕方を注意するから、それで試験は合格をあげるわ」
「合格もらったら毎日夢の中で、食事していいの?」
「いいわよ。
ソレが原因で、この男が早死にする事はなくなるからね」
サキュバスのお姉さんは、リリスに現状の食事方法についての説明を受けた。
「なるほど、あなたの急成長の理由がよくわかったわ。
それにしてもこの男。何故、リリスの下僕にならないのかしら?
毎日リリスの因子を埋め込まれているようなモノなのに……」
「えっとね、お兄ちゃんは女神様の旦那さんなんだよ」
「何言ってるのリリス?」
「それでね。下限を破るように食事すると女神様からメッって注意が来るから。
それ以上の食事出来ないの、食べようとすると吊るされちゃうの」
……と、お姉さんの質問をリリスはスルーして発言した。
そしてリリスは、食事した後に魅了で埋める方法をお姉さんに説明していた。
「なるほどね、食べた部分に魅了で埋めておけば、この人は体調不良を起こさない訳ね。
その方法はこの人にしか通用しないけど。
この人だけには通用するわね、よく思いついたじゃない」
「えっへん」と、言いながらリリスは無い胸を張っている。
「それなら、リリスはこのお兄さんにどうなってもらいたいのかな?」
「ナデナデしてもらいたいのと、ずっとご飯貰いたい」
「それじゃ、リリス。あなたが残してる悪い部分も食べましょうね。
そこの部分にもちゃんと栄養があるから、こうやって食べなさい」
リリスが美味しいモノと言ってる部分を、美味しく無いモノを付けてお姉さんは食べてみせた。
「うーん、私が食べるの?
美味しくないのを……?」
「あなたが悪い部分を食べてあげれば、お兄さんは凄く元気になって喜んでくれるわよ」
「うーん、お姉ちゃんがそう言うなら。
お兄ちゃんの為に少しは悪い部分も食べるね。
悪い部分は食べたら魅了で埋めなくていいの?」
「そこは、放置して大丈夫よ」「はーい!!」
……と、元気よく答えたリリスを見てお姉さんが、結果発表を行なった。
「リリスは、このお兄さん限定で合格とします。
お兄さんと仲良くね、それとお兄さんがリリスにお金をくれる場合、一部分でいいからお店に入金してもらえないかしら?」
「うん、わかったー!!」
「そしたら、お兄さんを起こしなさい。
そろそろ、いい頃合いでしょ……」
「まだダメー!! リリスがお兄さんにイタズラしてない」
リリスのイタズラといっても可愛いモノであった。
キスしたりとか頭を撫でたりとか、そういったレベルだった……
だが、服はしっかりと脱がして眠りから覚ますという彼女の悪女振りをお姉さんに見せつけた。
「お兄ちゃん。時間だよー!!」
「はっ、ココは!!
あぁ、サキュバスのお姉さんのお店か……」
「お兄ちゃん、おはよー!!」と、言ってきたのでリリスの頭を撫でてやった。
「それで、リリスの試験どうなりました?」
「合格ですよ!! お兄さんは、夢の中でリリスに食事を与えても大丈夫になりました。
私が保証します……」
「経験値減少の件は?」
「少しは悪い部分を食べるように指導しましたので、少しは減少は治ると思いますよ」
「そうなんですか、ありがとうございます。
リリスもありがとうな……」と言って、リリスの頭を撫でてあげた。
アレッ? 結局は毎日食事させるのは変わらないんだな。
リリスが成長すれば次第にレベルも上がり始めるだろうし、それまでの辛抱かな?
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