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122話.ドワーフの鍛冶屋
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ロックバレーの狩りを終えて城下街に着いたあと、私達は街のギルドへ移動した。
今回はモンスターの解体とギルドの依頼達成の確認を同時にお願いする必要があるので、案内のお姉さん経由からギルド長を呼び出すことにした。
応接室に案内され、私達三人は椅子に座りギルド長の到着を待っていた。
しばらくすると、ギルド長のルーカスが応接室へ入ってきた。
「やぁ、お待たせ!!
今日は何の用だい?」
「ギルド依頼の品の納品と、討伐したモンスターの解体をお願いします」
ロックバレーで、達成できるギルド依頼書を全て手渡した。
「ん? ランドドラゴンの魔石獲得の依頼が二つあるが?」
「2匹討伐して来てます。
とれたてですよ……」
「つまり、三人PTで討伐したという事か?」
「いや、ワシらはただの見学じゃぞ」「ギルド長!! ランドドラゴン戦は本当に凄かったですよー!!」
ドワルドとノルニルは思い思いの言葉をギルド長に話していた。
「あぁ、レクターさんが頭を抱える理由が解って来た気がするよ……
それじゃ、三人とも買取倉庫へ行こうか」
私達が買取倉庫に着くと同時に、ギルド長は他の買取作業を全て中止にして回っていた。
「よう、あんちゃん。
また、ランドドラゴンを持って来たってな?」
依頼分は、そっちに回して他は解体して売却かな。
「それなんだが、解体するんでランドドラゴン1匹はそちらで持って帰ってくれないか?
アイスドラゴンを代わりに卸してくれるんだろう?」
「はい、いいですよ。
卸しはしていいですけど代金は頂きますからね」
「ランドドラゴンの値段を崩さず貴重品が手に入るんだ。文句はないさ……」
そんな感じで、買取倉庫のライガスが言ってきた。
小走りでルーカスがこちらに寄ってくると、買取倉庫の職員がこの場に集まってきている。
「ふぅ……。ヨシ!!
買い取り倉庫の諸君!! 今日は大商いだ気合い入れていくぞ!!」
……と、ギルド長のルーカスは職員を鼓舞するように声をあげた。
「おー!!」と、鼓舞に応えるように職員一同の声が聞こえてた。
「ギルド依頼と解体でカナリの額の大商いだ!!」
それじゃ、ハジメ君。討伐したモンスターを出してくれ」
「1匹アイスドラゴン混ぜますんで、確認をお願いしますね」
まず、ランドドラゴンを2匹続いて地面に置き、次にアイスドラゴンを置いた。
更に、ロックタートルとロックウルフの流れで大量のモンスターを地面に置いていった。
想定外の量に、職員一同がゲンナリしているのが見て取れた。
ギルド長は大喜びだが、職員としてはたまったもんじゃない……
モンスターの量が多すぎる為、本日の残業が確定したのである。
「依頼達成の代金と、解体した分の商品代金はまとめて明日の支払いで大丈夫かい?」
……と、ルーカスは本日の大商いの為、笑顔を浮かべながら私に聞いてきた。
「はい。ランドドラゴン1匹はライガスさんから、こっちで引き取れと提案もらいましたんで代わりにアイスドラゴンを卸させて頂きました」
「そう言えば一つ未達成の依頼があったよ。
スパイクバードの魔石が足りないよ」
「あー、魔石だけ抜いてました」と言って、大量のスパイクバードの魔石をギルド長に渡した。
「コレ、ロックウルフといいスパイクバードといい……
君達は囲まれてるよね? なんで無事なんだ?」
「魔法を魔法で潰しました。まぁ、よくある事ですよ」
……と、私は真顔でギルド長の問に返答した。
「まぁいい……代金と解体した肉は明日引き取りに来てくれ」
「はい、そうします」と言って、私達3人はこの場を離れた。
きっと、コレからギルドの皆さんは忙しくなる事で間違いないしとっとと離れよう。
ギルドを出たあと、ノルニルに話しかけた。
「ノルニルさん今日はお疲れ様です。最終日手前に狩りに連れて行ってゴメンね。
今日は、コレからドワルドさんの実家に行く事になるから……今日の案内はここまででいいよ」
「はい、また明日」とノルニルが言って、彼女と別れた。
「よし、それじゃ――
次はワシの実家じゃな?」
「あぁ、案内頼むよ」と言って、ドワルドの道案内について行った。
歩いて移動すると見覚えのある場所に近づいてきた。
「アレっ? ここって教会の近く?」
「あぁ、実家は教会に割と近いところにあるぞ!!
ホレ、そこに大きな煙突あるじゃろ? あそこが実家の鍛冶屋じゃ」
「へぇ、そうなんだ。
何度か横を通ってたかも、看板がなかったから鍛冶屋だと気づいてなかったよ」
そんな話をしながら、ドワルドについて行った。
……
…………
ドワルドの実家という建物の前についた。
ノックもせずにドワルドは建物の扉を開けた。
そして、建物にはいると「今、家長が帰ったぞぉ!!」と、ドワルドが急に言い始めた。
鍛冶仕事をしている若いドワーフが、ギョッとした表情で入口付近にいる私達を見ている。
「ゲェッ!! 親父!!」
……と、その言葉を聞き、ドワルドはツカツカツカと若いドワーフの元に移動する。
「父親に向かって、ゲェとはなんだ!!」と、ドワルドのゲンコツが若いドワーフに食らわせられた。
「いやいや、おかしいだろ。
うまい酒を探しに行くって言って親父一人で旅にでて、手紙が来たかと思えば母さんと妹もどっかにいくし。
俺一人で、この店をやる羽目になってるじゃないか!! そのせいで俺は女もできず……ブツブツブツ」
「おいおい、男がそんな情けない泣き言を言うな!!
ワシがこの店を譲ったのは、お前の成長を望んでの事だぞ!!
一人が嫌で女が欲しければ、この社長のようになればいい幾らでも女が寄って来てるぞ」
「ド、ドワルドさん。
その説明は如何なモノかと……」と、私はドワルドの説明にツッコミを入れるしかなかった。
「セカンタの町で町長と商人をしている、二階堂ハジメです。
ドワルドさんには、かなり早い段階でからお店の建築を手伝ってもらってるよ」
「はあ? 鍛冶屋一筋の親父が建設? 冗談だろ」
「冗談なモノか、ここの社長にゃ毎回仕事をブン投げられとるわい。
今はサドタの街で建設してるぞ!!」
「へぇ、それで建築家になった親父が今更鍛冶屋に何しに来たんだ?」
「それはな、この社長の武器を作ってやろうとな」
「冗談だろ、親父?
そこの若造のにーちゃんは、腰に分不相応なミスリル製の剣を差してるじゃねーか」
「オイ、お前は何か勘違いしとらんか?
社長はな――お前が思っているより、何十倍にも強い人物じゃぞ?
現に、国王に評価されて離れの屋敷を授与される程の人物だぞ」
「オイオイ、嘘だろ?」
「そんな、鍛冶場にこもりっきりだから世情に疎くなるんじゃ。
若くして、それでどうする。現に社長の戦闘をこの目で見たが、一人でランドドラゴン2匹も倒しおったぞ」
「いやいや、親父。
いくら会社の社長だからって、そんな持ち上げなくていいだろ」
「信じぬのなら仕方ないな――お前は今日から一週間再修行じゃ!!
そんなぬるい考えのままじゃ店を潰しかねんしの……
社長。ワシは一週間ほどコッチに住んで、武器を鍛えるんで嫁とフローラにソレを伝えてくれんか?」
「はい、わかりました。
けど、ドワルドさんの住んでる家を知らないかも?」
「あぁ、それならエミリーの嬢ちゃんに聞けば解ると思うぞ!!
何度か焼酎を届けてもらったしな」
「えー、エミリーにそんな事させてたんですか?」
「結果的に見れば良かったじゃろ」
「エミリー以外も知ってたりしませんか?」
「あの店に住んでる四人全員が知ってると思うぞ……
差し入れみたいなモノをウチに持って来てくれたりしてるしな」
「そうなんですか……
私の知らないところでエミリー達も頑張ってくれてるんだなぁ」
……と感慨深く呟いていたら。
空気を切り替えるようにドワルドの発言がでてきた。
「社長にやってもらう事が、三つあるぞ!!
社長の持ってるミスリルの剣だがな、ソレはあくまでも既製品だ。
ミスリルの元になる魔鉄はな、魔力をひたすら溜め込む事ができる特殊な金属なんじゃ!!」
「うん。それで、私は何をすればいいのかな?」
「まず一つ目は、社長の武器を作る槌を作る為に、社長が魔鉄に魔力を全て込めてくれ」
「ふむふむ。
それだと、もし魔力を受けて魔鉄が硬化した場合、槌を打つための槌がもたないんじゃないのかい?」
「なぁに……
ここにある槌を全部潰すつもりで、やってやるさ!!」
「ちょっと!! 親父何言ってんだよ!!」
「うるさい!! 未熟者は黙って見ていろ!!
そして見て覚えろ、本物が出来る瞬間をな!! ワシの最高傑作になるぞ!!」
「ぐぬぬ……」
「二つ目は、武器を作るための魔鉄に魔力を込めてもらう」
「なるほど、魔力を込める時間とかは?」
「1日の間に好きな時間に、魔力を込めていってくれればいい。
歩いて屋敷に帰れる程度は魔力を残していいぞ。
自然回復で考えれば3回位は1日で魔力を込めれるだろう?」
「すっごくキツイねソレ……
一度、ソレに近いことして私は倒れかけたけど?」
「あくまでも自然回復でいい、道具を使ってまでの回復はしなくていい。
ただし、[栄養ドリンク]位は使ってもらうがな……ガハハハ。
普段、社長の無茶振りに付き合わされる側だから、気分がいいワイ!!」
「一生にあるかないかだからな、やるよ!!」と、私は答えた。
「4日間は、魔鉄の用意と槌の用意をするからいつも通り過ごしてくれ、
残り3日間は社長の作る武器の為に時間を作ってくれ!!
5日目と6日目に魔鉄に魔力付与してもらう」
「わかった、それで日程を組んでみるよ」
「最後は最終日だ。
社長の為の武器が完成する所を、一部始終見ておいてくれ。
ほぼ16時間位かかるものと、思ってもらって構わん」
「何か物凄いモノができる予感がしてきたよ」
「違うな……社長。
出来るんだよ確実にな」
「お酒はどうする?
一週間分を置いていこうか?」
「酒を飲む暇はないから、武器ができたら一週間分まとめて渡してくれ。
今回の話を肴に仲間内で飲むさ」
「わかった、ドワルドさん。
そしたら準備を頼むね。
お金はどれくらい用意しとこうか?」
「剣の出来上がりの際に社長が金額を決めてくれ」
「あぁ、わかった」と言って、私は鍛冶屋を離れた。
今回はモンスターの解体とギルドの依頼達成の確認を同時にお願いする必要があるので、案内のお姉さん経由からギルド長を呼び出すことにした。
応接室に案内され、私達三人は椅子に座りギルド長の到着を待っていた。
しばらくすると、ギルド長のルーカスが応接室へ入ってきた。
「やぁ、お待たせ!!
今日は何の用だい?」
「ギルド依頼の品の納品と、討伐したモンスターの解体をお願いします」
ロックバレーで、達成できるギルド依頼書を全て手渡した。
「ん? ランドドラゴンの魔石獲得の依頼が二つあるが?」
「2匹討伐して来てます。
とれたてですよ……」
「つまり、三人PTで討伐したという事か?」
「いや、ワシらはただの見学じゃぞ」「ギルド長!! ランドドラゴン戦は本当に凄かったですよー!!」
ドワルドとノルニルは思い思いの言葉をギルド長に話していた。
「あぁ、レクターさんが頭を抱える理由が解って来た気がするよ……
それじゃ、三人とも買取倉庫へ行こうか」
私達が買取倉庫に着くと同時に、ギルド長は他の買取作業を全て中止にして回っていた。
「よう、あんちゃん。
また、ランドドラゴンを持って来たってな?」
依頼分は、そっちに回して他は解体して売却かな。
「それなんだが、解体するんでランドドラゴン1匹はそちらで持って帰ってくれないか?
アイスドラゴンを代わりに卸してくれるんだろう?」
「はい、いいですよ。
卸しはしていいですけど代金は頂きますからね」
「ランドドラゴンの値段を崩さず貴重品が手に入るんだ。文句はないさ……」
そんな感じで、買取倉庫のライガスが言ってきた。
小走りでルーカスがこちらに寄ってくると、買取倉庫の職員がこの場に集まってきている。
「ふぅ……。ヨシ!!
買い取り倉庫の諸君!! 今日は大商いだ気合い入れていくぞ!!」
……と、ギルド長のルーカスは職員を鼓舞するように声をあげた。
「おー!!」と、鼓舞に応えるように職員一同の声が聞こえてた。
「ギルド依頼と解体でカナリの額の大商いだ!!」
それじゃ、ハジメ君。討伐したモンスターを出してくれ」
「1匹アイスドラゴン混ぜますんで、確認をお願いしますね」
まず、ランドドラゴンを2匹続いて地面に置き、次にアイスドラゴンを置いた。
更に、ロックタートルとロックウルフの流れで大量のモンスターを地面に置いていった。
想定外の量に、職員一同がゲンナリしているのが見て取れた。
ギルド長は大喜びだが、職員としてはたまったもんじゃない……
モンスターの量が多すぎる為、本日の残業が確定したのである。
「依頼達成の代金と、解体した分の商品代金はまとめて明日の支払いで大丈夫かい?」
……と、ルーカスは本日の大商いの為、笑顔を浮かべながら私に聞いてきた。
「はい。ランドドラゴン1匹はライガスさんから、こっちで引き取れと提案もらいましたんで代わりにアイスドラゴンを卸させて頂きました」
「そう言えば一つ未達成の依頼があったよ。
スパイクバードの魔石が足りないよ」
「あー、魔石だけ抜いてました」と言って、大量のスパイクバードの魔石をギルド長に渡した。
「コレ、ロックウルフといいスパイクバードといい……
君達は囲まれてるよね? なんで無事なんだ?」
「魔法を魔法で潰しました。まぁ、よくある事ですよ」
……と、私は真顔でギルド長の問に返答した。
「まぁいい……代金と解体した肉は明日引き取りに来てくれ」
「はい、そうします」と言って、私達3人はこの場を離れた。
きっと、コレからギルドの皆さんは忙しくなる事で間違いないしとっとと離れよう。
ギルドを出たあと、ノルニルに話しかけた。
「ノルニルさん今日はお疲れ様です。最終日手前に狩りに連れて行ってゴメンね。
今日は、コレからドワルドさんの実家に行く事になるから……今日の案内はここまででいいよ」
「はい、また明日」とノルニルが言って、彼女と別れた。
「よし、それじゃ――
次はワシの実家じゃな?」
「あぁ、案内頼むよ」と言って、ドワルドの道案内について行った。
歩いて移動すると見覚えのある場所に近づいてきた。
「アレっ? ここって教会の近く?」
「あぁ、実家は教会に割と近いところにあるぞ!!
ホレ、そこに大きな煙突あるじゃろ? あそこが実家の鍛冶屋じゃ」
「へぇ、そうなんだ。
何度か横を通ってたかも、看板がなかったから鍛冶屋だと気づいてなかったよ」
そんな話をしながら、ドワルドについて行った。
……
…………
ドワルドの実家という建物の前についた。
ノックもせずにドワルドは建物の扉を開けた。
そして、建物にはいると「今、家長が帰ったぞぉ!!」と、ドワルドが急に言い始めた。
鍛冶仕事をしている若いドワーフが、ギョッとした表情で入口付近にいる私達を見ている。
「ゲェッ!! 親父!!」
……と、その言葉を聞き、ドワルドはツカツカツカと若いドワーフの元に移動する。
「父親に向かって、ゲェとはなんだ!!」と、ドワルドのゲンコツが若いドワーフに食らわせられた。
「いやいや、おかしいだろ。
うまい酒を探しに行くって言って親父一人で旅にでて、手紙が来たかと思えば母さんと妹もどっかにいくし。
俺一人で、この店をやる羽目になってるじゃないか!! そのせいで俺は女もできず……ブツブツブツ」
「おいおい、男がそんな情けない泣き言を言うな!!
ワシがこの店を譲ったのは、お前の成長を望んでの事だぞ!!
一人が嫌で女が欲しければ、この社長のようになればいい幾らでも女が寄って来てるぞ」
「ド、ドワルドさん。
その説明は如何なモノかと……」と、私はドワルドの説明にツッコミを入れるしかなかった。
「セカンタの町で町長と商人をしている、二階堂ハジメです。
ドワルドさんには、かなり早い段階でからお店の建築を手伝ってもらってるよ」
「はあ? 鍛冶屋一筋の親父が建設? 冗談だろ」
「冗談なモノか、ここの社長にゃ毎回仕事をブン投げられとるわい。
今はサドタの街で建設してるぞ!!」
「へぇ、それで建築家になった親父が今更鍛冶屋に何しに来たんだ?」
「それはな、この社長の武器を作ってやろうとな」
「冗談だろ、親父?
そこの若造のにーちゃんは、腰に分不相応なミスリル製の剣を差してるじゃねーか」
「オイ、お前は何か勘違いしとらんか?
社長はな――お前が思っているより、何十倍にも強い人物じゃぞ?
現に、国王に評価されて離れの屋敷を授与される程の人物だぞ」
「オイオイ、嘘だろ?」
「そんな、鍛冶場にこもりっきりだから世情に疎くなるんじゃ。
若くして、それでどうする。現に社長の戦闘をこの目で見たが、一人でランドドラゴン2匹も倒しおったぞ」
「いやいや、親父。
いくら会社の社長だからって、そんな持ち上げなくていいだろ」
「信じぬのなら仕方ないな――お前は今日から一週間再修行じゃ!!
そんなぬるい考えのままじゃ店を潰しかねんしの……
社長。ワシは一週間ほどコッチに住んで、武器を鍛えるんで嫁とフローラにソレを伝えてくれんか?」
「はい、わかりました。
けど、ドワルドさんの住んでる家を知らないかも?」
「あぁ、それならエミリーの嬢ちゃんに聞けば解ると思うぞ!!
何度か焼酎を届けてもらったしな」
「えー、エミリーにそんな事させてたんですか?」
「結果的に見れば良かったじゃろ」
「エミリー以外も知ってたりしませんか?」
「あの店に住んでる四人全員が知ってると思うぞ……
差し入れみたいなモノをウチに持って来てくれたりしてるしな」
「そうなんですか……
私の知らないところでエミリー達も頑張ってくれてるんだなぁ」
……と感慨深く呟いていたら。
空気を切り替えるようにドワルドの発言がでてきた。
「社長にやってもらう事が、三つあるぞ!!
社長の持ってるミスリルの剣だがな、ソレはあくまでも既製品だ。
ミスリルの元になる魔鉄はな、魔力をひたすら溜め込む事ができる特殊な金属なんじゃ!!」
「うん。それで、私は何をすればいいのかな?」
「まず一つ目は、社長の武器を作る槌を作る為に、社長が魔鉄に魔力を全て込めてくれ」
「ふむふむ。
それだと、もし魔力を受けて魔鉄が硬化した場合、槌を打つための槌がもたないんじゃないのかい?」
「なぁに……
ここにある槌を全部潰すつもりで、やってやるさ!!」
「ちょっと!! 親父何言ってんだよ!!」
「うるさい!! 未熟者は黙って見ていろ!!
そして見て覚えろ、本物が出来る瞬間をな!! ワシの最高傑作になるぞ!!」
「ぐぬぬ……」
「二つ目は、武器を作るための魔鉄に魔力を込めてもらう」
「なるほど、魔力を込める時間とかは?」
「1日の間に好きな時間に、魔力を込めていってくれればいい。
歩いて屋敷に帰れる程度は魔力を残していいぞ。
自然回復で考えれば3回位は1日で魔力を込めれるだろう?」
「すっごくキツイねソレ……
一度、ソレに近いことして私は倒れかけたけど?」
「あくまでも自然回復でいい、道具を使ってまでの回復はしなくていい。
ただし、[栄養ドリンク]位は使ってもらうがな……ガハハハ。
普段、社長の無茶振りに付き合わされる側だから、気分がいいワイ!!」
「一生にあるかないかだからな、やるよ!!」と、私は答えた。
「4日間は、魔鉄の用意と槌の用意をするからいつも通り過ごしてくれ、
残り3日間は社長の作る武器の為に時間を作ってくれ!!
5日目と6日目に魔鉄に魔力付与してもらう」
「わかった、それで日程を組んでみるよ」
「最後は最終日だ。
社長の為の武器が完成する所を、一部始終見ておいてくれ。
ほぼ16時間位かかるものと、思ってもらって構わん」
「何か物凄いモノができる予感がしてきたよ」
「違うな……社長。
出来るんだよ確実にな」
「お酒はどうする?
一週間分を置いていこうか?」
「酒を飲む暇はないから、武器ができたら一週間分まとめて渡してくれ。
今回の話を肴に仲間内で飲むさ」
「わかった、ドワルドさん。
そしたら準備を頼むね。
お金はどれくらい用意しとこうか?」
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