上 下
133 / 198

120話.ギルド依頼を受ける。

しおりを挟む
 先日から、ライアン神父が[サドタの街]の教会建設の為に向こうで過ごしている事を、神父を待つシスターと子供達に伝えた後、私は通常業務を行った。

 その際、三号店でアイスクリームを用意してもらい。
 王女様のオヤツ用に、【アイテムボックス】に器に入ったアイスクリームを複数個入れた。
 オヤツを【アイテムボックス】に入れている最中、レイモンドとマカロンが一生懸命働いている姿が目に入った。
 この二人は、私の期待通りにスイーツを作りまくってるみたいだ。
 今度、この二人を主役にしたスイーツイベントでも、開催してやろうかなと考えていた。

「なぁ、二人とも。
 今までのスイーツの研鑽を皆に披露したいと思わないか?」と、二人に聞いてみた。

「ど、どういう事ですかい? 社長」と、レイモンドが聞いてきた。

「いやな、[フォースの城]の王女様と知り合いになったんだよ。
 そこで、王女様にプリンを食べてもらったら高評価でな。
 もしかすると……あの街はスイーツが当たるカモと思ってるんだよ」

「えっ!! それって、スイーツのお店を出店するって事ですか?」と言って、マカロンが食いついてきた。

「まぁ、それも視野に入れてるが……
 君達の作品を王女様にお披露目して、太客を作るのはアリだと思わないか?」

「それだと、このお店で作業できる人間が居なくなるような?」

「今、この町からフォースの城への魔道具を利用した転送装置を作る計画をしてるんだよ。
 もし、それがうまくいけば五号店として[フォースの城下街]に店を出そうかと考えてる。
 正直な話、ここのアイスとドリンク作りは一人で回せるだろ?」

「二人いるから片方をお店の店長に回すんですか?」と、マカロンが問うた。

「惜しいな、私がみたところ。
 焼き菓子はマカロンさんに軍配があって、トータル的な実力だとレイモンドさんに軍配があるだろ。
 アッチの店は週末のみ営業の週2日の営業でもいいんだ。
 このお店を一人で回すようにして、片方はスイーツショップで交替で働くようにする」

「城下街を私達のスイーツが相手にするんですね!!」

「だから、得意分野が違う俺達が交互に店長をやると!!」

「その通り!! 一点突破じゃ飽きられたら、それで終わりだ。
 箔をつけて君達のお菓子に希少価値も出せれば、君達ならやれると思っているがどうだろう?」

「「是非、やらせてください!!」」

「わかった!! 折をみて連絡するから楽しみにして待ってなさい」

「アンタにゃ、負けないからね……」「フン、一通り作れるようになってから言うんだな」

 この二人は相変わらずだ。

「両名の活躍に期待してるよ」

「「ハイ!!」」と、二人から元気よく返事が帰ってきた。

 いつもの通常業務も終わったので、昼食を食べた後ドワルドさんを連れて[サドタの街]へ連れて行く時だった。

 そういえば、ドワルドさんにドワーフの鍛冶屋を紹介してもらわないとな。
 【転送魔法】で[サドタの街]のギルド前に着いた後、ドワルドに鍛冶屋について聞いてみた。

「なぁ、ドワルドさん。
 腕のいい鍛冶屋さんに知り合いにいないかな?」

「なんじゃ、社長?
 新しい武器でも欲しいのか?」

「今使ってる武器がこの剣なんだけどさ、いい武器なんだけど……
 自分の戦闘スタイルが原因で、店売り装備だと武器を強くする事ができないんだよね」

「戦闘スタイル?」

「私は商人だから、杖を使って魔法が使えない。
 だけど、私の戦闘スタイルは魔法が主力で剣も使うスタイルなんだよね。
 だから、魔力適性のあるミスリルの剣が最終装備ってなってね。
 昨日、[フォースの城下街]の武器屋で聞いたら、ドワーフの鍛冶屋ならこの剣以上のモノを作れるカモって情報を貰ったんだよ」

「そうか、社長。その件はワシに任せてみないか?」

「えっ? ドワルドさんに?」

「窯作りから、武器作りまで全部やれるぞワシわ!!
 それに城下街の実家の鍛冶屋は、ワシの息子がやっとるわい。
 ワシが一から、技術を叩き込んだからな。
 まだまだ息子にゃ負けんぞ!! ガハハハハ」

「え!?  いや、何故? そんな人がウチで従業員やってるんだよ」

「ん? 美味い酒を探してワシが旅をしてただけじゃが?
[焼酎]に、ハマって妻と娘を[セカンタの町]に呼び寄せたんだよ」

「あぁ、ドワルドさんらしいな」

「それに社長は、ワシと会えない時でも二号店の地下室の倉庫に[焼酎]を定期的に補充してくれるしな。
 ワシも安心して働けるわけだ!!」

「よし、そうなれば――
 今日はこっちの仕事はお休みじゃな。
 ワシがいなくても、一週間はこっちのスタッフで勝手に作業できるだろ」

「そうなると、レクターさんに伝えておかないとね」「そうじゃな」

 ギルドに入りレクターにドワルドを、一週間ほど鍛冶作業させる旨を伝えて、建築は引き続き作業を続けるように伝えた。
 ギルドの建物から出てきた時にドワルドが「社長。一度現場によってもいいか?」と、聞いてきた。

「ああ、大丈夫だよ」と答えを返して、二人は4号店の建築現場へ移動した。

 建築スタッフはすでに集まっており、ドワルドの姿が見えたら皆集合した形になった。

「社長。コイツ達になんか一言かけてやってくれ」

「えっ!?  あぁ、わかったよ。
 この施設の社長の二階堂ハジメです。
 この施設はこの街に大きな発展を見せてくれる施設になると思うので、皆さんのお力を存分に奮って下さいね」

 おー、アレがあの有名なとか、すごい本物だとか、そんな感じの尊敬の目を私に向けられていた。
 私が話をした事でザワついていたが、そこはドワルドがしっかりと緩んだ空気を切った。

「それでだ!!
 今日から一週間ほど社長の頼みで、ワシはこの現場を離れる事になるが今後の工程はみんなわかってるな」

「ハイ。大丈夫です!!」と、一同が声をあげた。

「よし、一週間お前達で仕事をして見せてみろ!!
 ぬるい仕事をしてワシに恥をかかせるなよ」

「ハイ」と、一斉に声があがった。

「それじゃ、仕事を始めろ!!」と、ドワルドが指示を出したら各自動き出した。

「よく、スタッフの指導できてるじゃない……」

「まぁな、伊達に長く生きてはいないさ。
 待たせたな、それじゃ実家へ行こうか」

 【転送魔法】を使い、お屋敷の前へ移動した。

「おー、懐かしいな。
 このお屋敷は国王様の持ち物だろ?
 何度か納品した事があるぞ」

「この屋敷、国王様から貰っちゃった」

「ははは、本当に桁違いだのぉ。社長は……」と、二人で話していると門の前で待っていたノルニルが話しかけてきた。

「こんにちは、二階堂さん。
 そちらの方はお知り合いの方ですか?」

「こんにちは、ノルニルさん。
 うん、割と初期からのウチのお店のメンバーで一番信頼できる建築スタッフのドワルドさんだよ」

「一番か、ワシはそこまで……
 社長に評価されとったんか?」

「そりゃ、そうでしょう。
 私とドワルドさんで、かなり仕事こなしてきたでしょうに……」

「そんな、凄い方をどうして城下街へ連れてこられたんですか?」

「あー、武器屋でドワーフの鍛冶屋の話を聞いたじゃない。
 その凄腕の鍛冶屋がウチのドワルドさんだったってワケ。
 この街に実家の鍛冶屋があるらしくて、それで武器を作ってもらうために来てもらったんだよ」

「へぇー、そうなんですね。
 私はノルニルと言います。
 二階堂さんの案内役のお仕事につかせてもらってます。
 よろしくお願いしますね、ドワルドさん」

「おう、よろしくな嬢ちゃん。
 それにしても、社長の周りには女性ばっかりじゃのう」

「ノルニルさんに関しては、教会とギルドが気を回してくれたみたい」

「二階堂さん。今日はドコを案内しましょうか?」

「嬢ちゃん待ってくれ!! 武器を作る前に社長の戦いぶりが見てみたい。
 社長の力を見せれる狩場へ行ってくれ」

「そうかぁ……
 それなら今日はギルドで魔道具屋の仕事を引き受けて、そこから狩場に行こうかな」

「ノルニルさん。
 狩りに関しては危ないから今日は案内なしでいいですよ。代金は払いますから」

「あのぉ、二階堂さん。
 私も見学させてもらっていいですか?
 ランドドラゴンを倒す人の戦い方を見てみたいです」

 うーん、女性を狩場に連れて行くのは危険だと思うが彼女も冒険者だし。
 変な興味の持たれ方されて、危険な目に遭われるよりは良いよな。

「わかりました。
 二人を守りながら戦闘を行いますんで、私の指示には二人とも従って下さいね」

「「はい」」

「経験値の設定は?」

「そんなん社長一人でとっとけ。
 ワシら二人はあくまでも見学じゃ……」

「それじゃ、ギルドに行って仕事を引き受けに行こう」

 三人でパーティを組みギルドへ向かった。

 受付の列に並び――
 しばらく待ったら順番が来たので開口一番に、「魔道具屋が発注している依頼を全て引き受ける」と、受付さんに言った。

 ギルド証とギルド長の証書を出して、有無言わさず受付を納得をさせた。

「一番難易度が高い依頼は、ランドドラゴンの討伐ですが……
 その人数で大丈夫ですか?」と、受付さんが聞いてきた。

「大丈夫、ランドドラゴンは先日一人で倒したばかりだ」と、言ったら。
 再びギルド証をみて買い取り履歴を探して、驚愕の表情を私に見せてくれた。

「あっ、はい。全て受注されて結構です」

「ランドドラゴンの魔石の獲得が、一番古い依頼なので新しい依頼も重複してますので、2匹までは依頼の範囲になります」

「わかりました」と言って、私は受付を離れた。

 よし、ロックバレーへ移動してランドドラゴン2匹を討伐しよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す

名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

処理中です...