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77話-2.貴族の任務依頼

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【転送魔法】で一気に、氷の大陸のど真ん中に到着した。
 辺り一面は吹雪模様だ……
 急激な温度変化の為、警護兵の顔色が一気に悪くなっていった。

 俺は話を聞かない警護の兵達に悪態をついた。

「今から、防寒具を取り出してても死んじゃうよね~。
 あれだけ注意したのに……」

 警護の兵と共に貴族様も震えてた。

「ハァ……? もしかして、氷の大陸を舐めてた口ですか?」

 『全員!! 使えねぇ』と、内心で考えたが口に出すことはできず俺は頭を抱えた。
 コイツラ全員が使えないということが把握できたので、それなりの対応をすることにした。

「ボルグ様。お腰の武器はミスリル製ですか?」

「さ、さようだが……」

「武器を手に持ってて下さい」

 ボルグの持つ武器に火属性を付与した。
 ボルグの周りに多少の耐寒性能が付いた。
 俺も武器にも火属性を付与した。

「火属性の付与が入って、少しは動けるようになったでしょ?
 今のうちに、防寒具を付け直したらどうですか?
 あと、足手まといはココに置いていきますよ!!」と、俺は笑顔のまま発言した。

「「ヒィ……」」
 警護の何名かは、事情を理解できたみたく悲鳴をあげた。

「何してるんです。
 早くしてくださいね!! 商人の時間は限られてるんですから……
 あと5分で狩りを始めますよ……!! 付いてこれます?」

 まずは、アイスバードから相手するとしようかな。
 南東の方に三十匹ほどモンスターの反応あるな……

「それじゃ、5分経ったので狩りを始めます」

 いつものように狩りを再開した。
 手始めに[スピードアップ]の魔法を使い。
 次に、[ブレッシング」とモンスタ―に向けて[ビッグボイス]による挑発を戦闘準備を行った。

 しばらくすると、30羽のアイスバードの群れが一斉に俺達に襲いかかる!!

 警護の兵は現状を把握できず慌てるだけだった。
 おいおい、警護なら警護らしく……しっかり貴族様を守れよなぁ。

 アイスバードがいつものように……
 [アイスランス]の魔法にによる集中放火を俺に浴びせてくる!!

「わぁー、もう無理だ!!」とか叫び始める警護の兵ががいる始末だ。

 その兵士の絶望の声を無視して、[アイスウォール]の魔法でモンスターの魔法攻撃を全て塞ぎきった。
 そして、アイスバードのいる方向へ[サンダーストーム]の魔法を範囲広めに放ってモンスターに反撃した。
 範囲を広く放った為一匹も逃す事なく、三十匹のアイスバードの群れを1発の魔法で討伐した。

 俺は討伐したアイスバードへ近づき、マジックバッグ(仮)へ入れていく。
 ボルグを始め、警護の人間の全てが顔を青くしていた。

「まだ始まったばかりですよ」と、俺は笑顔で言ってあげた。

 次はアイスウルフの群れとか面白そうだな~!!
 二十匹位をわざとモンスターを集めようかな。
 十一匹の群れの方に移動して行き、離れた九匹の群れを[ビッグボイス]を使い、強制的に二十匹のモンスターの群れに囲まれる事に成功した。
 これには、ボルグも顔色を悪くしながらコチラを見ている。

「助かる方法教えましょうか?
 どなたかがアイツらの餌になれば、みんな助かりますよ!!」

「「「ヒィ……」」」

 モンスター達も警護の兵が弱いと見て兵士達に襲いかかってるので、俺が[エアカッター]の魔法で追い払っている。
 何度も追い払われて、アイスウルフ達は俺を警戒し始めた。

「グルルルル……」

「それじゃ、この状況を打開しましょうかね。
 俺が今から走りますんで、全力で俺についてきてくださいね」

 ……と言って、俺は全員に[スピードアップ]の魔法をかけた。

 一番囲みの薄い部分に[ビッグボイス]による威圧をかけ、アイスウルフの動きを止めた。
 そして、その部分に思いっきり走って行った。

「今です!! 走って付いてきて」

 全員がアイスウルフの輪を抜けたあと……
 [サンダーストーム]の魔法で、纏めてアイスウルフを討伐した。

 討伐したアイスウルフを回収した後に確認を取った。

「これでも、俺の意見が聞けない人が居ますか?」
 ……と聞いたら。皆が首を横に振っていた。

 ウーン? この先にアイスタートルがいるけど、あれはサンダーボルトで終わるんだよなぁ。
 モンスターの足も遅いし、面白くないよな。
 じゃあ、この大陸にいる本命にでも会いに行こうか……ニヤリ。

 俺は、アイスドラゴンのいる方角に進路を変えた。

「次が本命のアイスドラゴンになります。
 運が悪いと大変な目にあいますので覚悟してくださいね~」
 ……と言って、俺は貴族達を煽っておいた。

 しばらく移動すると、肉眼でアイスドラゴンの姿を捉えた。

「どうですか? ボルグ様、先手をやりたいとかありませんか?」

「冗談を言わないでくれ!!」

「そうですか……」

 アイスドラゴンを1撃で倒さないように威力を調整して、モンスターに状態異常がかからないようにして[サンダーボルト]を放った。
 そして、ドラゴンとの戦闘が始まった。

 遠距離から攻撃されたので、ドラゴンが俺達を睨みつけてきた。
 外野の皆様が煩いくらいにアイスドラゴンの圧にビビっている。
 ドラゴンがアイスブレスを吐いてきた。

 後ろで、「もうダメだー!!」とかふざけた事を言う奴が、いるがそれは無視する。
 [アイスウォール]で氷の息を防ぎ、ミスリルの剣に魔力多めで火属性を付与した。
 前回と同様に熱とアイスブレスで打ち消しあって、ドラゴンの首に剣を振り下ろしてアイスドラゴンを討伐した。
 そして、アイスドラゴンをマジックバック(仮)に突っ込んだ。

 本命のアイスドラゴンを倒したので「これで、氷の大陸ツアーを終了します」と、俺は言った。
 そして、【転送魔法】でサドタの街に戻った。

「ボルグ様……
 これでよろしかったでしょうか?」と、俺は貴族に対して確認を取った。

「あぁ、貴公の力をしかと覚えた。
 貴公と敵対するのは愚考であると理解できたよ」

「後ろの警護の人達も身の程は理解しましょうね!!」

「…………」

 警護の人間は、俺の言葉に何も言い返せず俯いていた。

「それじゃ、ギルドで任務終了を伝えてきますんで解散していただいて結構ですよ」

 ……と言って、ギルドの買取倉庫へ移動しギルド長のレクターに話しかけた。

「ボルグ様の任務終了しましたよ。
 依頼報酬をください」

「それなんだが……
 報酬はナシだ!!貴族からの強制任務だからな」

「ハァ? 報酬無し? ふざけないで下さい!!
 二度と貴族からの依頼を持ってこないで下さい!!
 勝手に人の情報を流したりギルドは喧嘩売ってるんですか?」

「その件は、すまなかった」

「今回は許しますけど、次に同じ事をやったら許しませんからね」
 ……と言って、レクターに釘を刺してこの場を離れた。

 今回の件は、[サドタの街]のギルドと商談用の切り札が一つ増えたと考え、この場は抑えておいた。
 そして、夕方まで時間がかなり残っていたので――引き続き、氷の大陸で再び狩りをしてから帰宅したのであった。
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