異世界で商売はじめました。(〇豚は異世界に出荷よー(´・ω・`)そんなー! )

ヒロ三等兵

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61話.新年と誕生日

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 新施設のオープンまで1か月程ありますが――
 本日は新年初日という事で店舗従業員と建築スタッフの全員を休業日にしました。

 年が明けたから何かが変わることもなく、朝になったのでいつものように目が覚めた。
 しかし、寝室を出ても彼女達の「おはようございます」の挨拶がなかった。
 あれっ?  今日は、お休みなんだけど……二人とも何処に行ったんだ?
 
 二階の部屋を探すと彼女達はキッチンにいた。

 キッチンをコッソリと覗いてみていると、シェリーが料理を作っている。
 その横で料理の作り方をエミリーが教えていた。
 シェリーが一生懸命に料理を作っている姿が可愛いかった。
 それにしても、シェリーが料理って珍しいな。

 このまま、覗いてるのもあれなんで――俺は二人に挨拶する事にした。

「二人とも、おはよう」

「おはようございます。ハジメさん」
「おはよー!! お兄ちゃん」

「今日はシェリーが料理を作ってるのか?」

「うん、お兄ちゃんのお誕生日だから。
 料理作ってるの」

 俺の思考が一瞬固まった……
 お正月と誕生日が一緒に来て、年始のお祝いの片方しか祝ってもらえなかった。
 否、ついでみたいに誕生日とお正月をセットで祝われていた。

 それを、俺の誕生日をこんな可愛い少女に誕生日を祝ってもらっている事に感動すら覚えた。

「ありがとう……
 アレっ、涙が出て来たわ」

 誕生日を純粋に祝ってもらう事を今まで経験した事なかったので感極まって涙が出てしまった。

「ハジメさん。誕生日を祝ってもらった事ないんですか?」

「うん、無い!!
 新年おめでとうのついでに祝われてた。
 想像してなかったから不意打ち過ぎて涙が出ちゃったよ。
 ありがとうな、シェリー」と言って、俺はシェリーの頭を撫でた。

「お姉ちゃんもプレゼントを用意してたよ」

「ちょっと、シェリー。ソレを言わないで!!」

「素直に嬉しいです。エミリーさん」

 あっ、駄目だ…‥
 普通に泣けてきた――俯いて涙を拭いていたら、エミリーが俺をそっと抱き寄せてくれて頭を撫でてくれた。
 あっ、俺。今非常に情けない図だ。

 17歳の俺が16歳の少女に慰められてる。

「ハジメさんは、いつも頑張ってるんですから。
 今日は私に甘えてくださいね」

「ありがとう」

「お兄ちゃん、私にも甘えたい?」と、シェリーが聞いてきた。

「それは、流石に難しいような?」と、新境地が開いてしまいそうな少女の提案を回避した。

「うーん、残念」と、少女が言ってきた。

「もう少しで、お弁当出来上がるから。
 お兄ちゃん待っててね」

「わかった」

「シェリーの料理が終わったら、朝ごはん作りますんで、ハジメさんはテーブルで待っててください」

「はい、待ってます」と言って、俺はテーブルで大人しく待っていた。

 しばらくすると、彼女達が朝ご飯を持ってやってきた。

「「お待たせー」」

「待ってました。お腹がペコペコです」と、俺は冗談を言った。

 それから、朝ごはんを済ませて昼前までのんびりと家で過ごした後に、オープン前の新施設に三人で移動した。

「灯りをつけてくるから、二人ともちょっと待っててね」

 ……と言って、俺は鍵を使い施設に入った。
 灯りの無い施設の中は非常に暗い、俺は暗がりの中を進みカウンターの中に作った電源のスイッチを全て入れる。
 電源が入ると施設の中が一気に明るくなった。

「二人とも、入っておいで」

 彼女達が建物内に入って来た。

「建物の中なのに、こんなに明るいのは不思議ですね。
 だけど、この明るさってお店の二階と同じモノですか?」と、エミリーが聞いてきた。

「正解。お店の二階と同じ物を使ってます」と、彼女の質問に答えた。

「じゃあ、せっかくシェリーが料理を用意してくれたみたいだし。
 みんなで食べようか、コッチに飲食スペースがあるからついて来て」

「「はーい」」

 俺は二人を飲食スペースに案内した。

「広いですね……
 それに、複数の飲食店のお店が入ってるみたい」と、エミリーが聞いてきた。

「そうだね。今の所は7店舗ほど出店予定かな。
 ここから、あと3店舗は募集をかける予定です」

「ウチのお店は出店しないんですか?」

「うーん、ここの商圏ってさ。
 意外とウチの店に近いんであまりメリットないし、せっかく入ってくれたテナントの飲食店とやりあう気は無いからね。
 勝負をするなら、施設内のテナント同士で切磋琢磨してもらうよ」

「色々あるんですねぇ……」

「色々あるんですよ。
 それじゃ、この辺りのテーブル使いましょう」と、俺は二人に提案した。

「はい」

 ……と言って、シェリーがバケットに入ったサンドイッチをテーブルに皿を置いて並べていった。

「あ、サンドイッチだ。
 シェリーは、よくコレを作れたね」

「厨房のおじちゃんに、パンを焼いてもらったの」

「それで、具材はエミリーに聞いて挟んでいったと……」

「食べてもいいかい?」「食べて、食べて!! お兄ちゃん」

 俺は言われるがままにサンドイッチにかぶりついた。
 あ、定番タマゴサンドか――うむ、美味い。
 次は葉野菜にマヨをかけて、挟んだサラダサンド。
 アイスバードの身を油で揚げてソースをかけたチキンサンドと色々なサンドイッチを作ってくれていた。

「凄く美味しいよシェリー。よく作り方がわかったね」

 彼女達には男の料理と銘打ってサンドイッチや、日本風の料理を作ったことがあったが……
 それをエミリーもシェリーも覚えていたのだろう。

「調味料は二階のキッチンに色々あるから、お姉ちゃんが作れるって言ってたの」

「流石だね、エミリー」

「本当はケーキを作ってあげたかったの、お姉ちゃんも作り方を知らなかったの……」

「あらまぁ……
 確かにエミリーでも作り方が解らなければ仕方ないよな」

「お兄ちゃん。今度ケーキの作り方を教えてください」「私にも教えてください」

「ハイ、喜んでお教えしますよ。
 お互いに時間ができたら三人で作ろう」

「「はーい」」と、彼女達が嬉しそうに返事を返してくれた。

 その後は、雑談を楽しみながらシェリーお手製のサンドイッチを三人で食べた。
 料理を食べ終えたので、次はお風呂の準備をすることにした。

「それじゃ、お湯を入れてくるから二人とも少し待っててね」

「わかりました」「待ってるー」と、彼女達が言った。

 俺は屋上へ上がり――お湯を入れる準備を行い、次に配管室に移動して作ったお湯を大浴場に流した。
 よし、コレで男湯と女湯どちらも入れる状態になったが……?
 どっちに入るかは、エミリーに聞こう。
 風呂の準備が済み二人の元へ移動した。

「お待たせー。二人ともお風呂入れるよ」

「それで、男湯と女湯もどっちも入れるけど……
 どちらにします?」

「女湯で」と、エミリーに即答された。

「お風呂は一緒にですよね?」

「「はい」」

 グフっ、二人掛かりで肯定されたら逃げれない……
 彼女達の意志に任せて、三人は女湯の脱衣所に入った。

「服をココのカゴに入れて、タオルを持って浴場の洗い場に来てくださいね」 
 ……と俺は言って、二人の着替えを見ないように、そそくさと着替えて浴場へ移動した。

 しばらくすると、二人が浴場へ入ってきた。

「お姉ちゃん、広いねー」

「湯気が凄いわね……
 洗い場はドコかしら?」

 音が反響して彼女達の声がよく聞こえる。

「こっちだよ、二人とも」と言って、二人を洗い場に呼び出した。

 タオルで身体を隠す二人――俺は、この状態でも何かエロスを感じてしまっていた。
 落ち着け、平常心だ平常心――俺は精一杯の平常心で彼女達にお風呂について説明を始める。

「二人とも、お風呂に入る前に身体を洗ってね。
 ココのお湯を桶に入れて身体を洗うのに使ってください」
 ……と、俺は洗い場のお湯を指差して言った。

「コレが身体を洗う為の[石鹸]ね。
 それで、コッチの桶が頭を洗うシャンプーで……
 もう片方の桶には、頭を洗った後の仕上げに使うコンデショナーが入ってるよ」

「この真っ白なモノが石鹸ですか? 高級品ですよねコレ」

「材料さえあれば、自作できたりもしますよ。
 身体を洗う時はタオルをお湯で濡らして、石鹸をタオルに擦り付けてください。
 シャンプーは頭を洗うときに使います。
 コンデショナーは頭を洗ったままだと髪に違和感でるので、それを無くす為の調整ですね。
 シャンプーとコンディショナーの両方とも最後は綺麗に洗い流してください」

 シェリーが洗い場の椅子にちょこんと座り……
「お兄ちゃん、洗ってー!!」と言って、俺に頼んできた。

 そんな役得?  いや、けしからん事をやっていいのかな?

「エミリーさん。いいんですかね?」

「どうぞ」

 シェリーの身体に巻いていたタオルを借りて、タオルを桶に入れた湯につけ石鹸を塗る。
 まずは、背中からお尻までを洗う……
 タオル越しでもシェリーの体温を感じてしまいそうだ!!
 身体の前面も俺が洗うのか? 嫁の身体を洗うのに何をためらう必要がある。
 
 行け、行くんだ!! 俺の両手!!

※【異世界取引】スキル枠の追加分

LV28[プリンター」
LV29[配管]
LV30[水温計]
LV31[石鹸]
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