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57話-2.重力は偉大です

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 それから、2ヶ月の月日が経った。
 朝方と昼間に仕事がない日は氷の大陸で狩りを行い、夜からは砂漠での狩りを繰り返した。
 2ヶ月後には、LVも32から34へ上がっていた。

 新施設を建設初めて4ヶ月目に入る頃には――ある程度、施設の外観や内装も整っていった。
 そして、今まで稼いだ資産で投資を行い、購入した空き地に[太陽光パネル]の設置を行うことにした。

 次に、【異世界取引】のLV29の枠を使い[配管]を取引して、お風呂の主軸となる[配管]を繋げる作業が必要になる。
 男湯と女湯の間に配管室を作る必要がある。

 配管室は二階にある部屋で温度調節して一階の風呂場にお湯を流す施設である。
 配管室の内部は、魔道具と電気による照明で明るい部屋を作る予定だ。
 配管についての設計書は2ヶ月間かけて作っていたので、設計書と[配管]をドワルドに渡せば問題はないハズだ。

 よし、明日はドワルド達に次の仕事を指示を出すとしよう。
 今日は狩りには行かず、設計書などの見直しをしようかな?

 そして、翌日――
 金物屋に依頼していた金樽の出来栄えの確認に向かった。

「いらっしゃい。
 あぁ、君か!! 依頼の品は出来ているよ」

「早かったですね」

「町長からも急げと言われていてね」

「なるほど、代金の支払いは月末でいいですか?」 

「あぁ、それでいい」

「商品はドコに?」

「物が大きいからね、裏庭に来てくれ」

「あー、はいはい」

 金物屋の店主の言うがままに、俺はお店の裏庭に移動した。

 うん、依頼しておいてなんだがデカイな。
 まぁ、持ち運べるんだけどね……

 依頼した三つの金樽をマジックバッグ(仮)に入れた。

「そのバッグに、何故? あのサイズのモノが入るんだ?」

 この人も同じ反応するんだな。

「あぁ、このマジックバッグが特別製でね」

「それは、マジッグバッグなのか? それなら納得だな」

「まぁ、店主。
 金樽の製作してくれてありがとう。
 代金は月末に支払いにくるよ」と、言ってこの場を離れ新施設の場所へ移動した。

 この施設の規模は、[サドタの街]のギルドの建物にも負けてないな。
 いや、むしろ勝ってるかもしれない。

 ふふり、俺がこの施設のオーナーなのか……
 皆の頑張りの成果もあって、希望通りに施設が完成してきている。
 外観を眺めながら施設の中に入ると、施設の中では皆が慌ただしく働いていた。

 ドワルドは何処だろう?
 ドワルドの娘のフローラを見かけたので聞いてみた。

「進捗はどうだい? フローラ」

「あ、社長! 順調に進んでますよ」

「そっか、それなら良かった。
 ドワルドさんが何処にいるかわかるかい?」

「今は、配管室にいると思いますよ。
 ここがこの施設の生命線になるんだと息巻いてましたから」

「流石、ドワルドさん。わかってるね」

「そうだ、フローラも建設メンバーじゃ。
 リーダーやってるんだよね?」

「あっ、ハイ。
 リーダーじゃなくアネゴって呼ばれてます」

「あはは、力の違いでも見せつけ過ぎたのかな?」

「いやぁ、そんなつもりなかったんですけどね。
 力勝負で、トリプルスコアの差を出しましたので」

「へぇ、フローラって力持ちなんだね。
 それなら、私の所の仕事も手伝ってもらおうかな」

「どんな仕事なんです?」

 [太陽光パネル]をマジックバッグ(仮)から取り出して地面に置いた。

「コレを空き地に野立てで、設置していく作業をこれから始めるんだよ。
 かなり重いから苦労するなぁと思っててね」

「どれどれ……」と言って、フローラが黒いパネルを軽々と持ち上げた。

「嘘!! ほんと、凄いなフローラ」

「アタイ、ドワーフだから力くらいしか取り柄ありませんし」

「いやいや、ホント凄いよ。
 君みたいな逸材がウチの従業員にいてくれて本当に嬉しいよ。
 それで、私の仕事を手伝ってもらえないかな?」

「社長の仕事を手伝わさせてください」

「こっちの仕事は大丈夫?」

「リーダー争いで、アタイに食ってかかった人いるじゃないですか。
 あの人も頑張り屋で現在サブリーダーなんですよ。だから、彼に仕事を引き継ぎます。
 あと、ウチのオヤジもいますし……」

「そしたら、フローラ。
 サブリーダーの男性を連れてから、ドワルドのいる配管室まで来てね」

「はい。わかりました」

 フローラとの会話終えて、俺はドワルドがいる配管室へ移動した。
 配管室は男湯と女湯の入り口の間にある部屋だ。配管室に入ると、ドワルドがこちらに気づいた。

「おっ、社長。
 久々にコッチに顔を出したな」

「あぁ、建設に関しては信じきっててな。魔道具の作成やらそっちに手間取ったよ。
 今日は、このお風呂のメイン施設になる配管室の設計書と、その為の[配管]を持ってきたよ。
 既に、魔道具の設置とかは済んでる?」

「ああ、既に魔道具設置は終わってるぞ」

「そうか、それなら……」

 配管室の二階に、金属樽(温度調整用)を配置した。

「ドワルドさん。
 この樽の下に空いてる二つの穴を土台の穴と重ねて貰っていいかい」

「おう、まかせろ」といって。ドワルドは、金樽を位置調整した。

「次に、この配管をさっきの穴に繋げてくれ、二階から一階の男湯と女湯のお湯を別ける[配管]だから」

 [配管]二つを地面に出して、ドワルドに指示を出す。

 ドワルドがホイッといった感じに、軽々と配管を持ち上げて配管を繋げる。
 これで配管が少し浮くので、配管の浮いた下の部分をこれで補強して……

「ココが、この配管室のキーになると思うお湯の開閉をするバルブ付きの配管ね。
 バルブの開け閉めで、お湯が先に進むか止まるかの操作を場所だから」

「あとは、配管はココに出しておくから――
 ドワルド達で完成させてもらっていいかな」

 マジックバッグ(仮)から複数の[配管]を取り出し地面に置いた。

「おう、まかせとけ」

「社長、お待たせしました」
 ……と声が聞こえ、フローラと男性がやって来た。

 配管室は一応の為に排水設備も持ってるから。
 水出しても大丈夫なんで、テストを兼ねて上から水を流そう。

「ドワルドさん? 屋上の施設作ってるよね?」と、指を天に向けドワルドに聞いた。

「当然じゃ……
 屋上と配管室が、この施設の要と思っておったわい」

「正解です」

「そしたら、3人とも屋上に移動するよ」

「おう」「はい」「わかりました」と、3人が返事をして自分の後をついて来た。

 全員で屋上へ到着して、二つの金樽置き場に金樽を設置した。

「魔道具の設置よし」と言って、指差し確認を行った。

 次に、金樽の底を確認したら大穴が開いた状態だった。

「みんな、ごめん。
 もう一度、配管室に戻ろう」

 そこで、お湯用と水用の配管を再度セットして再び屋上に上がった。
 それじゃ、まず水を魔道具で貯めて……

 あるぇ?たまらない?
 あぁ、配管の分の長さの流されているのかな?

「水が貯まらないのぉ」

「ちょっと待ってみて」

 1分程待つと、水が溜まり始めて来た。

「おい、社長。このままだと水が溢れるんじゃ?」

「水用の樽の形状をよく見てみて」

「溢れる分は、隣の樽に流れるのか……」

 水が隣の樽に流れ出す。

「もう一個くらいは、水の魔道具を追加して良さそうだね」

「あとで追加しておく」と、ドワルドが言ってくれた。

 それで二つの、火の魔道具を使うんだけど。

 ラッキーインセクト2匹を、マジックバッグ(仮)から取り出して。
 魔石を抜いて火の魔道具に入れる。

「なぁ、社長。
 さっきの魔石は?」

「ラッキーインセクトの魔石だよ」

「「「 !? 」」」

 一同が驚いていた。

「おい、社長。
 高額な魔石の事を、ワシらに教えて良かったのか?」

「え?  盗んだりしないでしょ?
 それに大事な事だから誰かに教えたりしないでしょ?
 自分達で、せっかく作った建物を無駄にするような事をする人は従業員にいないと思ってるけどな。
 それじゃ、こっちの樽も水が溜まったから、火の魔道具にスイッチ入れるよ。
 まぁ、この樽からお湯が溢れる場合は、排水溝に流れるようにしてるから」

 火の魔道具で金樽に火を当て水の温度を上げていった。
 金樽から湯気が出始めている――こうして、お湯が出来上がったのである。

 「よし、みんな。配管室へ行くぞ!!」
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