異世界で商売はじめました。(〇豚は異世界に出荷よー(´・ω・`)そんなー! )

ヒロ三等兵

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56話-2.ギルドからの依頼

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 いつものように、ギルドの買取倉庫へ直接移動して、ギルド長を探す。
 そして、いつもの定位置に彼で仕事していた。

「レクターさん。
 氷の大陸で討伐したモンスターを持ってきました。
 解体と買取をお願いします」

「おっ、にーちゃん来てくれたか!!」

「アイスウルフ、アイスタートル、アイスバードの魔石20個と、アイスドラゴンの魔石10個は使用しますので、私に返却をお願いします。
 それ以外は、そちらで買取お願いします」

 氷の大陸で討伐したモンスターをマジックバッグ(仮)から次々に出していく。

「あいかわらず、すごい数だな。
 なぁ、にーちゃん。必要分の魔石と売却金額だけ先に渡しておこうか?
 これだけの量だし、時間がかかるからな」

「アイスバードを20匹ほど、ウチらで使うから下げさせてもらうね」

「それは構わん、これだけ大量にあるんだ」

 アイスバード20匹をマジックバッグ(仮)に入れていった。

 魔石の抜き取りと、買取金額の査定を待つためにしばらく待った。

 ……
 …………

「待たせたな、これが魔石と今回の買取金額になる」

「どうも」

 レクターから魔石とゴールドを受け取った。

「なぁ、にーちゃん。
 魔石も集まって氷の大陸に行く理由もないだろうが、今週だけでもいいんで引き続き氷の大陸に狩りに行ってくれないか」

「えっと? どういうことです?」

「これだけの量を討伐できるのは、すでに狩りが安定している証拠だし。
 氷の大陸を狩していた連中が、[フォース城の城下町]のギルドに移籍したんだよ。
 それもあって、氷の大陸のアイテムが街に供給できないんだ」

「もしかして……
 砂漠のラッキーインセクトが、いなくなった件が尾を引いてます?」

「ああ、一攫千金目指すような連中が、それで居なくなってな。
 今だと砂漠で夜中狩りしてるのは、にーちゃん位なんじゃないのか?」

「たしかに、砂漠で人を見かけなくなりましたね。
 レクターさん。氷の大陸の件は引き受けましたよ、どうせ昼間は砂漠で狩りできませんし」

「そうか、無理を言ってスマン」

 こうして、俺は自分の知らぬ間にギルドからの評価を上げていた。

「あっ、砂漠で思い出した。
 砂漠のモンスターも買取してもらわなきゃ」

「にーちゃん、すまない。
 それは後日にしてくれ……」

「あはは、そうですよね。
 それじゃ失礼しますね」と言って、ギルドを後にした。

 まだ夕方になってないし、魔石持って魔道具屋にでも行こうかな。

 【転送魔法】で[セカンタの町]に戻り魔道具屋へ移動した。

 相変わらず不気味な店だなぁ……屋根にはカラスが止まっていて、コチラを見ている。
 まぁ、エミリーも言ってたし魔道具屋はこんな佇まいなんだろうな。
 
 そんなことを考えながら、お店に入ると――
「いらっしゃい」と、店主に声をかけられた。

「冷蔵庫と冷凍庫の魔道具の生産依頼に来ました」

「魔石がないと作るのは無理だ!!」

「あぁ、魔石はすでに集めて来てますんで、作ってもらうだけですよ」

「そうか、いくつ作ればいいんじゃ?」

「冷蔵庫10個と冷凍庫10個で、お願いします」

「はっ? 何を言ってるんじゃ、お主。
 そんな、大量にアイスドラゴンの魔石が手に入る訳なかろう」

「いや四日で手に入りましたよ?」と言って、店主の前にアイスドラゴンの魔石10個を出した。

「この魔石をどうやって手に入れた?  買ったのか?」

「いえ、在庫がなかったんで、狩りに行きました」

「狩りにいったと簡単に言うのぉ、主よ」

「まぁ、事実なんで……」と言って、その他の魔石を店主に渡した。

「材料代は私持ちなので、制作費の分を請求という形でいいですか?」

「ああ、それでいい」

「あと、今度この町に結構大きめな施設を作るんで、その時に魔道具が色々と必要になるので、ウチの建築担当のドワルドと会って話をしてもらえませんか?」

「今、大きい建物ができてる場所だな。
 解った。後日にでも話をしてくるよ」

「冷蔵の魔道具とかも、完成したらドワルドに渡しといて下さい。
 請求書を出して貰えば代金の支払いに来ます。
 それじゃ、よろしくお願いしますね」

「ああ、依頼の件は引き受けたよ」と、店主と話をして魔道具屋を離れた。

 まだまだ時間があるし。そうだ、服屋へ行こう……

 俺は服屋へ行き――
 いつものように店員のおばちゃんに相談をして、エミリーとシェリーの服を店員に選んでもらい一着ずつ購入した。
 きっと二人なら喜んでくれるはず。

 服屋に来たし、近くに教会があるので教会にもついでに寄ってみるかな……

 いつものように教会に入ってみると、スミス神父とセレスさんがいた。
 しかし、キャリーの姿は見えなかった。

 スミス神父が、俺に気づき近づいてきた。

「やぁ、ハジメ君。
 教会に何かようかい?」

「アイスバードを討伐したんで、お裾分けしようと思いまして……」

「アイスバードの肉は、結構な値段するモノなんだが?
 本当に良いのかい?」

「別に良いですよ。みんなに食べてもらえるんなら……
 ただ、捌いてないのでソチラでお願いしますね」

「よし、わかった。
 セレスさん捌くの頼んだね」

 あっ神父、セレスさんに仕事をぶん投げたな。

「わかりました」
 ……と、セレスさんが神父に対して返事をした。

「そういえば、今日はキャリーを見かけませんね?」

「どこに行ってるんです?」

「今日は、君のお店で働いてるよ」

「あの子はシスターをやってませんでしたっけ?」

「あの子のシスター修行は仮みたいなものさ、働きたい仕事についてくれるのが一番だよ」

「もしかして、あの貴族さんの対策ですか?」

「まぁ、彼女位の歳の子を好んで、あの貴族は連れて行くからな」

 タチ悪いなぁ……某貴族様。

「すいません。
 この教会から、あの貴族の元へ行った人っているんですか?」

 神父が表情を曇らせながら話し始めた。

「あぁ、二人かな。
 エミリーが8歳と9歳の頃に毎年一人ずつ、リストア様に迎えられてな。
 当時は喜んだが……二人とも一年も経たずに何も言わぬ亡骸となって、私の元へ帰ってきたよ。
 それから、私はあの貴族に娘達を奪われる事を拒んで来た」

 涙ながらにスミス神父は話をしてくれた。

「何故?  その貴族を誰も止めないんです?」

「貴族に表立って歯向かうとか。
 死にに行くようなものさ」

「…………」

 セレスは黙って俯いていた。

 あの街も大きい街だが色々と歪んでるな……
 貴族を俺がどうこうできるとは思わない。だけど、は俺が守り抜こうと胸に誓った。
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