異世界で商売はじめました。(〇豚は異世界に出荷よー(´・ω・`)そんなー! )

ヒロ三等兵

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42話.リニューアルオープン

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 新しい従業員も集まり、お店のリニューアルの改築も終了した。

 お店のリニューアルで具体的に何が変わるのかと言うと、私が魔法やスキルでやっていた作業を全て魔道具と他の従業員に任せる。

 簡単に説明すると、店内で調理スタッフがハンバーガーやポテトを作るようになる。
 ボリュームも増えて味も向上して、お値段据え置きの3ゴールドのままで販売。
 それでも、仕入れ原価は今までの半額以下に落ちる――
 商売で手っ取り早く利益を出すには、経費を削った方が利益につながるのだ。

 コーラや食材は、冷蔵庫に保存しておいて必要な分を従業員が取って来る。
 コーラは今までと同じように、冷凍庫で作った氷を使って冷やす。
 洗い物は[ウォーター]の魔法代わりに、水の出る魔道具を代用する。
 これは、お店の二階にあるキッチンと同じ仕様である。

 あとは石窯を使ってバンズを作る等の工程を行い、今まで私がやってきた作業を従業員への丸投げする。

 従業員のコッペを二号店の店長として、お店を回すようにした。
 私は店長から社長になり、主に仕事はPCを使っての経理や企画開発を行い、それと【転送魔法】と【アイテムボックス】を利用した流通担当が主な仕事だ。
 要するに、私は自由に動けるようになったのだ。

 飲食班はコッペの管轄。
 建築班(ドワルド達)は、私の管轄に入ることになる。
 この家に引っ越してきてから、エミリーとシェリーはお店のピーク時の飲食班の手伝いや、私の仕事の手伝いをしてもらったりしている。
 商品受け渡しのカウンターを複数用意して受付するようにしたので、人権費は増えたがお店の回転率は向上していた。
 お店は新店長のコッペに任せて様子を見ていると、カウンター業務と調理も問題なし、清掃と食器洗い担当の子供達もバッチリ仕事ができている。

 だが、問題が一つ出てきたのである。
 お店の回転率があがり早く回せるようになった分、飲食スペースが足りなくなってしまった。

「店長。
 ちょっと来てください」

 私は売り場に出ている、コッペを呼び出した。

「店、いえ社長。
 どうされました?」

「店長として、コッペ君なんか気づかないかい?」

「カウンターも調理も客数もバッチリ動いてるので、これといって何も……」

「コッペ君。
 お客さんをよく見てみな、特にカウンターで商品を受け取った後ね」

「あっ、席が埋まり切っていて席に座るときに待ち時間ができてます」

「地下の倉庫に予備のテーブルと椅子があるから。
 二階の改築してる建築班に協力してもらって、お店の前にテーブルを配置してきな。
 今日は、いい天気だから外で食べたい人もいるだろうさ」と、私は新店長に提案した。

「わかりました。
 今すぐ対応します」と言って、コッペはこの場を離れていった。

 けど、これは苦し紛れなんだよなあ。
 二階をお店として解放するのが正解か? そうなると、家賃が増えて余計な経費ふえるしなぁ。
 裏庭は畑があったり冷蔵庫があるので使えないし……

 そういえば、隣のお店ってなんの店だ?
 お店が忙しすぎて近隣の挨拶回りとかしてなかったな。
 私は、お店を出て右隣のお店を見てみる。
 お店の外観では、なんのお店かわからない、【マップ】を見てみるがお店に入ったことがないので非表示状態だ。

 隣のお店に入ってみるか?
 そう考えて、お店に入ると威勢の良さそうなオッチャンが私に向けて言葉を吐いてきた。

「いらっしゃい、げっ!!
 なんで、隣の店のアンタが来てるんだ?」

 そんな、露骨に嫌がらなくても……

「あー、すいません。
 お店が忙しすぎて挨拶に来るのが遅れたんです。
 申し訳ないです」

「嫌味かい……」と、店主に皮肉を言われた。

「すいません。
 ココって、なんのお店なんです?」

「ココは飲食店さ――
 アンタの店が出来てから閑古鳥が鳴いてるがね」

「いや、それだったら何かしら言ってくれれば、コチラも対処できたんですけど」

「ギルドと教会がバックについてる店に文句を言おうもんなら。
 こんな店は潰れちまうよ」

「いえ、別にバックについてるとかはないですよ。
 お店の常連さんと従業員です」

 それに、この店が飲食店と知ってたら、間違いなく使ってたと思うし……

「流石に看板もなしで客商売は拙いと思いますよ。
 そうだ、店長。何か料理を作ってくださいよ」

「人気店の店長に出せるもんなんてないだろ」

「いやいや[ハンバーガー]も、毎日食ってりゃ飽きますから。
 そんなこと言わずに作ってくださいよ」

「仕方ねーな、何が食いたい?
 メニューはソレだぞ」

 メニューをパッと見で選んだ。

「店長のオススメで」

「あいよ、店長のオススメな」

 料理が出来上がるのを待つこと15分……

「おまたせしました。
 店長のオススメです」

 彩り鮮やかに纏められた食材が皿に盛りつけられてテーブルに配膳された。

「お、美味しそうじゃないですか。
 価格は幾らなんです?」

「7ゴールドだ」

 料理を完食した感想は、店長のオススメは普通に美味しかった。
 これだけの味があるのなら、価格も7ゴールドと手軽な価格で高くないし、お客も入りそうなのに……
 あっ!! 低価格のウチの店が屋台を出して半強制な (パフォーマンスみたいな)呼び込みしてたから、ココの店が空気になった訳だ。
 むしろ、半年間よく潰れなかったな。

 ……と、全てを察してしまった。

「ああ、ウチの店がなんか。
 すいません」

「いや、謝られてもコッチが困るから。
 なぁ、ウチの店の味どうだった?」

「美味しかったですよ。
 価格も高くないですし、普通に俺は通いますよ」

 ……と言って、食事代金の7ゴールドを支払った。

「じゃあ、なんで客がこんなに来ないんだ?
 アンタの店には、あれだけ入ってるのに!!」

 えっ、だから看板もないと客商売として拙いよと、さっき言ったのに……

「お客さんに、どれだけ見てもらえたかの差ですよ。
 うちも本来は看板をつける予定だったんですけど――
 そこの部分の経費を抑えて前の村で使っていた屋台を使い、お客さんにアピールするようにして商品を売りました」

「この差は看板の有無の差と?」

「そこまでは言い切りませんが、少なくとも店を選ぶ選択肢に入ったかもしれませんね」

「なぁ、看板を付けたら。
 この状態から売れるようなるかな?」

「すいません。
 その程度じゃ、ウチの店が強くなりすぎてて、インパクトに欠けます」

「やっぱり、お店を締めるしかないのか」

「ちょっと待ってください。
 味も、価格も良かったんで手はありますよ。
 そうだ、ウチのお店と提携しましょう」

「いやいや、アンタの店とウチじゃ差がありすぎるよ」

「失礼だとは思いますが差があるのはわかってますんで、飲食スペースをお借りできないかなと思いまして……
 ウチのお店の一階と、このお店の一階を繋げちゃうんですよ。
 飲食スペースを借りる分、その分の利用料を毎月お支払いをしますし」

「それだと、ハンバーガーを食いに来た客がウチで食べていくだけじゃ?」

「さっき言ったでしょ。
 ハンバーガーだけじゃ飽きるって……
 ウチの主力はもう一つあって、それは飲料なんで飽きない人はずっと飽きないんです」

「ハンバーガーに飽きた人を、コッチで捕まえろと?」

「そうです。
 [ファービレジの村]の飲食店で成功例があるんで大丈夫だと思いますよ。
 まぁ提携するんなら、看板の新調費用はコチラで出しますから。
 店を畳むよりは立地を利用できる、いい案だと思いますけど?  どうでしょう?」

 店主はカウンターを叩いて「その案に乗った!!」 と、提携の件を了承してくれた。

「それじゃ。
 工事は夕方以降に、工事をやる形でやりましょう。
 お店の営業時間外でね……」

「暗くなると、作業できないだろ?」

「灯りの魔道具もありますし、余裕ですよ。
 この件はギルドに工事の依頼かけときますんで、経費はウチで持ちますからご安心下さい」

「トントン拍子で話を進められてて……
 なんか、こえーなぁ」

「損はさせませんから、ご安心下さい。
 商人は信用第一ですから」
 ……と言って、私は右手の人差し指を立てるポーズを取った。

「こうなったら、アンタに任せたよ」

「今後とも、いい関係作っていきましょう。
 では……」と言って、この場を離れすぐに工事の件をギルド依頼を行った。

 作業時間は、夕方17:00から24:00迄の7時間で募集をかけた。
 この時間帯は、私は基本的に狩りに出かけているので、工事でうるさくても、大丈夫……あっ!!
 その時間の二階には、エミリーとシェリーいるんだった。

 急遽、エミリーとシェリーを呼び出し、事情を説明した。

「お店が終わった後の12時までは工事で煩いのね」

「うるさいのいやー」

 ……と、呼び出された二人が反応をみせた。

「ハジメさんは、その間は何処にいくのかな?」

「多分、狩りに行ってると思います」

「お嫁さん二人を煩い思いさせて、私の旦那様は狩りに行くのね。
 悲しいね、シェリー」

「かなしいねぇ、お姉ちゃん」

 二人とも演技入ってません? 二人のコンビネーションに完全に敗北した。

「わかったよ。
 二人とも狩りに連れてくから、その間はお店を休んでね」

「「やったね」」

 はぁ、押しに弱いなぁ……

 成り行きで嫁の二人が狩りに同伴する流れになった。
 工事が終わる一か月間は狩りに連れていく事になるし、二人をギルドに連れて行くとしよう。
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