異世界で商売はじめました。(〇豚は異世界に出荷よー(´・ω・`)そんなー! )

ヒロ三等兵

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20話.二号店オープン

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 今日は新店舗になる二号店のオープンだ。

 朝の10時からオープンの予定だが、オープン前のプレッシャーにより少し気持ちが高揚している。
 ギルド前の好立地だが、お店にお客さんは来てくれるだろうか?
 二号店も立地は抜群に良いし、きっと大丈夫なはず――
 だから大丈夫だ、大丈夫……と同じような事を考えていた。

 コーラと、ハンバーガー等の在庫を【異世界取引】で作り【アイテムボックス】に入れている。
 初日はコーラを無料配布するので、多めに氷を作っている。
 ポテトを揚げるための油も既に準備を完了している。
 食器なども来客の増加を想定して、追加で購入して準備済みだ。

 これで、オープンを待つのみの状態だなと思っていたら。

 お店の開店の1時間位前に、孤児院から子供達が来てくれた。
 子供たちのお手伝い(引率)として、エミリーさんが来ている。
 それと、女の子二人(シェリーと、もう一人)、男の子二人の計4人の子供達が来てくれた。

「今日は、よろしくお願いしますね。
 君達にやってもらうのは、食器洗いと掃除です。
 洗った食器は、屋台の食器置き場(元食器の返却口)に置いて行ってください。
 君達が丁寧に洗ってくれたお皿に食事を盛り付けますので、タオルを準備してるので食器を拭きあげて下さいね。
 水に濡れたハンバーガーは、君達も食べたくないでしょ?」

「食べたくないー」と、男の子達が共感してくれたみたいだ。

「洗い場の近くの長机に食器が返却されるので、君達に使用済みの食器を洗ってもらいます。
 それが君達の主な仕事になります。
 お昼に一人ずつ30分遅れで、1時間の休憩して下さい。
 休憩室として、二階を使っていいので自由に使って下さいね。
 ただし、下の階にはお客さんがいますので大声や大きな物音を立てるのは厳禁ですよ」と、手伝いに来てくれた子供達に注意事項を伝えた。

「そんな所だけど、エミリーさん。
 子供達の指導お願いするね」

「はい、わかりました」と、あっさりと答えられた。
 仕事だからな、彼女も子供達の為に真剣なのだろう。

 オープン1時間前である。
 お店の前に、見知った顔がチラホラと集まり始めている。

 ……って、先頭オイ!!

 ギルド長のマルコさんと町長のミルコさん――
 子供達が働いてんだぞ、ア・ン・タ・ラ、大人は仕事しろ。(笑)

 町長とギルド長が、お店に先頭で並んでいる事もあり、お店の列が目立つようになって来た。

 あっ、列が長すぎる。
 しまった!!  ここまで並ぶとは想定外だった。
 こういう事も予想して、待機列を作っておくべきだった。

 準備万端のつもりが、このままだとギルドへ迷惑かけてしまう。
 ……と、そんな事を考えてたら。
 エミリーさんが待機列の誘導をしてくれて、トラブルを起こさずに済んだ。
 
 エミリーさんの対応に感謝だ。
 さあ、二号店のオープンだ!!

「いらっしゃいませ!!  ただ今より、お店の営業開始です。
 本日限定で、一人一杯ドリンクを無料でお配りしています。
 是非、ハンバーガーと一緒にお試しください」

 それで、ワレ先に来た――この町のトップ人材の二人組。

「このお店がオープンするのを心待ちににしていたよ」と、ギルド長が言ってきた。

「これだけの行列大したもんだ。
 一人で捌けるものかい?」と、町長が言ってきた。

「そこは、見ててくださいよ。
 この町のトップのお二人のご注文は?」

「それじゃ、お任せで」

「それじゃ、セット商品を作らせて頂きます。
 6ゴールドになります」

 2人からお金を受け取り。
 コーラをジョッキで2杯ずつ作りお皿にハンバーガーとポテトを盛る。
 そして、完成……。

「はい、お待たせしました」

「「はっ?」」と、二人は感嘆の声をだし商品の出来上がりの速さに驚いていた。
 ファービレジの村でも、最初はこんな感じだったなぁ。

「イヤイヤ、お金渡して1分も経ってないだろう」

「ファーストフードは速さが売りですから」と、言っておいた。

 そうは言っても自分の場合は盛り付けるだけだし、よその飲食店みたいにスプーンとかフォーク用意したりしないし。

 1.コーラを注ぐ
 2.盛り付け
 3.お客様に渡す

 この三工程で終わりなのだ。
 一番時間のかかる【商品作成】の工程がないのだ、早くて当然である。
 前のギルド長達の反応に、後続のお客さんもざわついていた。

 ギルド長達が最初にセットを購入してくれたおかげで、単品注文が少なく「オススメ」や、「さっきの」で注文する人が多かった。

 用意していたテーブルと椅子では追いつかなかった為。
 エミリーに家具屋に行ってもらい、壁際に長机と椅子を家具屋に急遽発注して配置した。
 洗い物に関しては問題なく作業が出来ているみたいで、お昼に一斉に子供達に昼食をとらせてから休憩を回しながらでも対応できていた。

 昼頃に長机に一時的に食器が溜まるが、子供達の食事も大事なので致し方ない。
 昼過ぎて、皆が休憩を回し終えた所で営業終了である。
 そこから、子供達は30分程お店の掃除をして、子供達のお仕事は終了だ。

 お仕事が終了してから、俺はエミリーと話をしていた。

「エミリーさん。
 休憩取ってなくないですか?」

「私は、食事時間頂きましたから」

「明日は、きちんと休憩取ってくださいね」

「はい、わかりました。
 けど、ハジメさんも。休憩と食事とられてませんよね?」

「屋台は厨房みたいなものなので――時々、つまみ食いしてるんで大丈夫ですよ。
 休憩に関しては現状だと、屋台を回せるのは自分しかいませんから難しいですね。
 いずれ、洗い場に隣接して調理場を作って、冷蔵庫を庭の地下に作りたいと考えてます。
 そうなると、自分の仕事なくなっちゃいますがね。
 最終的には、そこまで考えてます。この前、魔道具を見にいったでしょ」

「なるほど、それで冷蔵の魔道具を買いに行ったんですね」と、エミリーと話をしていたら。

 シェリーがくっついてきた。

「お兄ちゃん。
 シェリー、お仕事頑張ったよー!!」

「そうだね!! おかげで助かったよ」と言って、シェリーの頭を撫でた。

 あぁ癒される……。
 エミリーから、軽いジト目を食らった。

「あの、ハジメさん。
 他の子達も頑張っているので、シェリーだけを褒めるのはよろしくないかと」と、エミリーから厳しい一言が飛んできた。

「たしかに、そうだね」と言って、くっついてきたシェリーを引き剥がし、他の子供達にも労いの言葉をかけて言った。

「みんな、お疲れ様。それと、今日は頑張って働いてくれてありがとう。
 明日続けて来る子も、今度来てくれる子も今度もよろしくね。
 あと仕事をしてる時に気になった事とか、修正したりした方が良いことがあったら教えて下さいね。
 今日はおつかれ様、ゆっくり休んで疲れをとってね」

「ばいばーい」と言って、子供達が先に帰って行った。

 エミリーを手でチョイチョイと振ってと呼び出した。
 耳打ちで、「初日の売り上げ順調だったから、子供達にお小遣いあげて良いか?」と聞くいたら。

「ダメ」 って、エミリーに即答で言われてしまった。

 まぁ、色々と問題があるらしい。
 お小遣いをくれるような職場は少なく――もし、あった場合ソコに行きたがる子が増えてこのお店に行けない子達と、ケンカになったりと何かとややこしいらしい。

 お店のオープン初日は多少のトラブルや不備もあったが、無事に対処できて1日の営業を終えることが出来た。

 売り上げは、ファービレジの村で露店出していた時の三倍以上の売り上げが出ていた。
 この調子で稼げば月3万ゴールドは軽く稼げるだろう。

 今日の、反省点を生かして待機列の作成をする。
 ポールを立てて紐を繋げて、つづら折りにお客さんが並べるようにした。
 それと庭の冷蔵庫用の地下室か、どこに聞けばいいんだろう。
 とりあえず、ギルドの所有地だし。ギルドに聞くとしよう。

 お隣にあるギルドへ移動し、ギルドの案内のお姉さんに話しかけた。

「あのー、すいません」

「あぁ、貴方ですね。
 お店、繁盛してましたねー」

「ああ、どうも」

「ギルド長を呼びますんで――
 いつもの応接室に行って下さい」

「お願いします」と言って、言われるがまま応接室へ向かった。

 応接室の椅子に座って、ギルド長を待っていた。
 ギルド長と、町長が一緒に応接室へ入って来た。
 自分の対面の席に各々座った。

「いやぁ、あれにはビックリしたよ。
 どうやって調理してるかお客視点では見えないが、作りたての料理が1分も経たずにで出来て、これは何かの曲芸なのかと私は目を疑ったよ」と、町長が言ってきた。

「ははは、気に入ってもらえたのなら何よりです。」

「私としては、コーラが買えるようになった事が嬉しいね。
 何度もハジメ君に出店を急かしてやろうかと――考えてたよ」と、ギルド長が言ってきた。

「これでも、出店まで早かったと思いますよ」

「わかってる、わかってる。
 しかし、あれだけの行列を一人で捌ききってしまうのは恐ろしいな。
 まぁ、繁盛しているみたいで何よりだ」

「ギルドの協力と教会の皆さんの協力と来ていただいたお客様のおかげですよ。……ホントにね。
 ところで、マルコさんとミルコさんが一緒に応接室に来られてる理由は何かありましたか?」

「いや、それなんだが。
 来年の町長選に、ギルドとして君を候補としてあげようと思っていてね」

「それで、現町長の私としても――
 この調子でお店の売り上げを上げてもらって、この町の顔役になってくれればと期待している」

「いやいや、お店をオープンしたばかりですよ。町長とか荷が重いですって」

「まぁ、その件はおいおい考えてくれたまえ。
 今日はギルドに用事があって来たんだろ?」と、ギルド長が聞いてきた。

「そうでした」

「まず一つ目は、ギルドから借りている建物の庭の近くに、地下室を作って冷蔵施設を作りたいんですよね、それでその許可を頂きにました。
 そして、二つ目は裏庭に地下室を作れる人間をギルドに集めて頂きたいなと思ってます」

 続けて、ギルド長に勤務条件を伝えた。

「条件は出来れば、半年以内に地下室を完成させて貰いたい。
 金銭条件は、ギルドの裁量にお任せします。
 お店がお休みの日は、地下室作りもお休みで週に一日はお休みになります。
 それと昼の食事は、無料提供させて頂きます。
 人員は職人を一人と他は手伝いみたいな感じで、人員を集めてもらっていいですか?
 それと募集期間は一ヶ月、作業開始は一ヶ月後からですね」

「その条件だと、希望者が多くなりすぎる」と、ギルド長が言った。

「ですかね。
 そしたら、良さげな人材をギルド側でピックアップしてもらっていいですか?
 ギルドに謝礼は出しますんで」

「いかほどに……」

「一人紹介で、その人の給料の10%分をギルドに半年間毎月、別途支払います。
 なので……5名位に人数を絞って下さい」

「成人したばかりとは思えないくらいに、お金の使い方を理解しているな」と、町長が言った。

「いえいえ、まだまだ若輩者ですよ。
 それでは、お願いしますね」と言って、ギルドを後にした。

 募集一ヶ月と指定したが、一週間で面子が揃ったというのは――また別の話である。
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