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19話.開店準備

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 セカンタの町に開店する新店舗のオープンが2日前になり、孤児院から子供達が総動員され大掃除が始った。
 大掃除が始まると二階にあるベッドも【アイテムボックス】に入れて、一階と二階共に完全に大広間にしている。

 掃除している子供達がバタバタと騒がしい……。

 掃除は件は子供達に任せて、食器の洗い場をどうするか考えていた。
 庭で食器洗いを子供達にやらせるとすると雨が降ると作業できないので、屋根のある室内でやらせるしかない。
 それなら、返却用のカウンターを室内に作って子供達に食器の回収をさせて、室内で洗い物をさせる事にしようと考えた。

 私が洗い物していた時は、水を[ウォーター]の魔法で出しまくってたので問題なかったが――
 建物の前にある屋台から水を室内に送る場合はどうすればいいだろうか?

 水を流すならパイプか?
 さすがに、異世界で塩ビ管を堂々と使うのはマズイだろう。
 金属製で水を流すものの言えば水道管か?  この世界にその加工技術はないだろう。

 [雨どい]位なら行けるかな?
 まず、[ウォーター]の魔法でタンクに水を貯める。
 そして、水を溢れさせる溢れた分の水が雨どいを流れて、その水を室内のタンクに貯める。
 室内にあるタンクに水を入れ用の蓋を作り、蓋の開閉で洗い場に水の取り込みを行えるようにする。

 子供達の身長を考えると、洗い場は高くなりすぎるとダメなので少し低めに作るとしよう。
 あとで金物屋に行く必要があるな。

 水の排水は雨どいを繋げて一度濾過槽を通して小川に流すとしよう。
 そうなると、定期的な濾過槽の交換が必要になる。
 [雨どい]と[濾過材]は、水問題をクリアするために必要だな。

 だいたい月1位で濾過材の交換しないとな。
 そんなことを考えてたら、お昼になった。

「よーし、皆おつかれー。
 お昼ご飯配るよー、取りにおいで」と言って、皆にハンバーガーとコーラを配った。

「今日は、食事が終わったら帰っていいよ。
 明日もよろしくね」と、食事中の子供達に言った。

 子供達の食事が終わり、皆が帰るのを見届けてから金物屋と家具屋に向かった。

 まず、金物屋を探して既に商品としてあった、洗い場用の広めの桶の底に指定したサイズで排水用に丸く穴を開けてもらいそれを購入した。

 それと、蓋がわりに桶に入るサイズで、排水用の穴を塞ぐための板に取手とってをつけて作ってもらった。
 濾過用に使う地面に埋める桶も購入し、それにも排水用に丸く穴を開けてもらった。

 次に家具屋に向かい、家具屋からテーブルと椅子の生産状況を確認した。
 順調に生産が進んでいて、予定日には間に合うらしい。
 それと、洗い場との区切りに使えそうな長机をいくつか購入した。

 それで本題の教会だ。
 エミリーさんに、どうやってあえばいいんだろう。
 家具屋と教会は近いから寄らないのも失礼になるし、子供達の働いた分の代金も払わなきゃいけないからな。
 ぐぬぬ……考えてても埒があかないから、行ってしまおう。

 家具屋を後にして、教会へ向かった。
 家具やと教会の距離はものすごく近く、考え事をする間もなく教会へ着いた。

 ホント近いな。
 教会に入ると、スミス神父とエミリーがいた。
 エミリーが、こちらに近寄ってきて、「最近、見かけませんでしたけど何かされてたんですか?」と、聞いてきた。

「あぁ、オープンの準備に手間取っていたのと――
 新しい事を勉強していて一週間以上部屋にこもってました」

「まるで、研究者みたいですね」

「あはは……」

「それで、今日は何の用でしょう」

「今日から、教会にはお世話になるんで顔を出しておこうと思ったのと、一ヶ月分の代金を払っておこうと思いまして」と言って、1500ゴールドをエミリーに渡した。

「1500ゴールドって毎日働く気なんですか?
 ハジメさん」

「いえ、休みはとりますよ。
 週に一度は……あと、1500ゴールドなのは少し色付けてます」

「ありがとうございます。
 あと、無茶して体を壊さないようにしてくださいね」

「気をつけます」と言って、教会を後にした。

 教会から、そのまま【転送魔法】で自宅(お店)へ帰り、【異世界取引】のスキルで[雨どい]と[濾過材]を取引した。
 建物と屋台の距離を測って、雨どいを設置して水が流せるようになった。
 水の発生源は[ウォーター]の魔法だ。

 次に、洗い場を設置してアースウォールの土を集める特性を利用して穴掘り作業をした。
 洗い場から、パイプ状になっている雨どいを地面に埋め濾過槽(金属タライ)に繋げる、その後に濾過材を詰めた濾過槽から、雨どい製のパイプを地面に埋めて小川まで繋げた。
 付属で付いて来た穴埋め材で各所の隙間を埋めて完成した。
 それと、穴埋めに[アースウォール]に魔力を込めて土壁を強化をして強度を出した。

 何度か試しに動かして見て無事機能したので、これで大丈夫そうだ。
 これで、水周りは問題ないはず……。
 濾過槽に子供達に入られると困るので、明日は柵でも作っておくか。

 あっ、カーテン買ってくるの忘れてた。
 まぁいいや、明日エミリーさんに聞いてみるかな。

 魔道具で灯りをつけて参考書を読みふけた。
 区切りの良いところまで、[参考書]での勉強を終わらせて寝ることにした。
 座学はそろそろ終わりで、次は実技用のアイテムを買わないとなと考え、寝る前に【異世界取引】で[工具]を指定した。

 そして眠りについた。

 ……
 …………

 ちゅんちゅんと小鳥のさえずりが朝であることを知らせてくれている。
 朝か、起きないとな。

 今日は、昼までは子供達にお店の掃除をしてもらって、水道(自力)施設を試してもらって終了かな。
 子供達が来る前に濾過槽周りに柵を作って、子供達が入れないようにしておいた。

 今日は子供達の付き添いでエミリーさんも来た。
「今日はエミリーさんも、付き添いですか?」

「はい。
 子供達の仕事ぶりとお店の様子を見たかったので」

 最初の作業は、子供達には昨日と同様に掃除をしてもらうことにした。

 今日は、お昼を食べた分のお皿は自分で洗ってもらう予定だ。
 子供達による洗い場のテスト運用である。

 子供達が騒がしく掃除をしている姿をエミリーさんは様子を見ていた。

「あの、エミリーさん。
 ちょっと聞いていいかな?」

「はい?  なんでしょう?」

「部屋の窓にカーテンをつけたいのだけど? 
 どこで買えばいいのかな?」

「それだったら私が作りましょうか?
 孤児院のカーテンは、私が作ったものなんですよ」

「お願いしていいかな?  掛かった費用はすべて請求していいから」

「いえ、この前の服のお礼させてください」

「それじゃ、お願いします」と言って、エミリーさんにカーテン作ってもらうことになった。

 掃除もある程度片付いて、お昼ご飯の時間になった。

「それじゃ、みんな食事をとりにきてね」と、子供達とエミリーさんに食事を配った。

 皆の食事が終わり、子供達に洗い場の説明を始めた。

「今日は、自分で食べた分のお皿を自分で洗ってもらいます。
 はい、みんな奥の洗い場に来てください」

 ……と言って、子供達に洗い場に来てもらった。

「皆、見ててね。
 ここに水を貯めるタンクがあります。
 ここを開くと水が出るので、洗い物をする時はココを開いて、この水桶に水をためて洗い物をしてください。
 水を抜くときは、水桶の底の板があります。ソレに取手が付いてるので、取手を持って板を斜めに立ててやると水が抜けます。
 洗い物の終わった水は捨てるようにしてくださいね。
 それじゃ、皆やってみようか」と言って、子供達に洗い物を体験させました。。

 一通りの作業が終わって、今日も子供たちのお仕事が終わりだなという所で、「ご注文の商品をお届けに来ました」と、家具屋さんがテーブルと椅子と長机を運んで来た。

 私は設置位置の指示を出し設置完了を見届けた後に、家具屋さんにテーブル等の代金を支払った。
 予定より1日早いが、テーブルと椅子がお店に設置された。

 掃除も済んでるし準備も済んでるし、明日から営業開始するか……。
 エミリーさんに、明日から営業開始の旨を伝えて今日は子供達を帰らせた。
 1~2週間程は、エミリーさんが子供達の付き添いしてくれるとの事なんで、仕事の指導に対しての部分は一安心できた。
 この後はギルドへ行って、マルコさんにお店のオープンの報告だ。

 さぁ、明日はお店のオープンだ!!
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