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13話-1.ゴブリンハンター

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 ビッグフロッグ狩りが出来ないだと!?

 これは緊急事態だ――よし、受付に並ぼう。
 そして、ギルドの人に状況を聞こう。
 しばらく、受付の順番を待つと自分の順番が回ってきた。
 
 この前の受付さんだ……。

「貴方ですか!! 
 ビッグフロッグの討伐は受け付けてませんよ」

 120匹と記入した時も驚いてたので、今回も俺がナニカをやらかすのか警戒しているようだ。

「ビッグフロッグ狩りができない以上、この近辺で良さげな依頼はないかい」

「それでしたら――北の森で薬草の採取とかは、どうですか?
 回復薬の原料になるんで、いつも20ゴールドで買い取ってますよ。
 注意点は森にはゴブリンというモンスターが徘徊してるので気をつけてください」

「ゴブリンって強いんですか?」

「いえ、それほど強くはありませんが――
 ゴブリン特有の武器を持ってるので、その分苦戦するくらいでしょうか」

「ゴブリンを討伐した際に買取出来る部分は?」

「ゴブリン自体には価値ありませんね。
 強いて言うなら、ゴブリンの持つ武器と魔石でしょうか」

「魔石?」

「魔石は、全てのモンスターにも存在します。
 魔石には魔力が含まれているので魔道具の燃料に使われます。
 ゴブリンの武器は2ゴールド、魔石の価値はゴブリンで1ゴールド。
 ビッグフロッグ・スライムの魔石は無価値ですね」

「ゴブリンを討伐して、魔石を抜いた後の処理はどうすれば?」

「放っておいて大丈夫ですよ。
 他のモンスターや動物達が処理してくれますから」

「薬草というのは、どんな見た目してるんだ?」

 ギルドの受付は棚から薬草を取り出し渡して来た。

「コレが薬草です。
 コレに似た毒草もあるので一度、[鑑定]スキルを使って、識別してから買取を行います」

 手に取った薬草を見てみると鑑定スキルが働き。

[薬草]の文字と効果表示される。

 薬草:
 回復薬の元となる薬草。
 一つの薬草から5つの回復剤が作れる。

 上級回復薬は、一つの薬草から1つの上級回復薬が作れる。
 超級回復薬は、二つの薬草から1つの超級回復薬が作れる。
 ただし、専門の技術が必要になる。

 鑑定の結果が出て、薬草の知識が表示された。
 薬草の確認ができたので、借りた薬草を受付さんへ返却した。

「それじゃ、北の森に行ってみるとするよ」

 冒険はしたくないのに何故?  ギルドの依頼を受けるのか?
 そんなのは決まっている。
 商人なのに、【魔法使い】の半分チート状態。
 ステータス面でも、【魔法使い】の弱点である[体力]が、商人のステータス仕様と二倍効果でよく伸びるし。

 お金も稼いで、【異世界取引】のスキル枠拡張も出来る訳だ。
 そんなのやらないワケがない。
 身の危険さえなければ(冒険しなければ)、別に問題はないのだ。
 コレは、ある種の先行投資みたいなものなのだ。
 流石に異世界でまで、俺は【魔法使い】を続けようとは思っていないのだから。

 そんな事を考えていたら。

 受付さんから追加で注意事項を告げられた。 

「最後にもう一つ注意です。
 北の森へ行くのなら、奥の方に洞窟があるのですが、そこはゴブリンの巣になってます。
 ゴブリンの巣の奥には、ボスゴブリンがいますので注意してください。
 ゴブリン達に獲物として捕まった場合は、まずボスゴブリンの所に献上されるようですね」

「ああ、そんな所に行く予定は無いので大丈夫ですよ」と、言ってギルドを後にした。

 北の森……か。

 ビッグフロッグ倒してた時に、見かけてはいたがスルーしてた場所だ。
 森だと木が多くて、槍を振り回すにはちとキツいかな……

 残念ながら武器を変えないといけない、森で使う武器のイメージは弓だが扱えないし。
 まず、魔法のランス系が弓と変わらない。
 それなら、ナイフ系だが得物が短くなると事故の原因になるし妥当な所で剣だな。

 新たな武器候補を考えながら、武器屋に移動した。
 そして、武器屋で新しい武器を探すことにした。

「この間、鉄の槍を買った。
 にーちゃん じゃないか!」と、武器屋の主人に声をかけられた。

「この店で、一番高い剣を見せてもらえないか?」

「にーちゃん、何と戦う気なんだ?
 ウチで最高級はコイツだね……」 と、主人は1500ゴールドの鋼鉄の剣を提示して来た。

「あぁ、それくらいなら安いもんだ」と言った。

 俺の発言に主人が困惑した表情をする。

「ちょっと待ちな……にーちゃん。
 いや、お客さん。 コレが安いと言い切ったな?」

「まぁ、この前の一日分の稼ぎ以下だったしな」

「ちょっと、待ってろ!!
 この店のとっておきを持ってきてやる」

 武器屋の主人は、そう言葉を残して奥の方のショーケースから武器を取ってきた。

「なら、コイツはどうだ?
 ウチの店の目玉のミスリルの剣だ!!」

 ミスリルの剣と鋼鉄の剣の両方が僕の目の前のショーケースの上に置かれた。
 鋼鉄の剣とミスリルの剣を見比べると、[鑑定]スキルが発動し武器の性能が表示された。

 鋼鉄の剣 :攻撃力50 
 特殊効果無し

 ミスリルの剣:攻撃力60  
 特殊効果 :魔法伝達率が高いため魔法攻撃に使用できる。

「いくらだ?」

「お客さん。
 聞いて驚くなよ4000ゴールドだ!!」

「よし、買おう(即決)」

 先日の2400ゴールドと、ファービレジの村で、稼いだお金があれば余裕で払えるからだ。
 1600ゴールド位なら、2~3日狩りをすれば届くだろうし。
 最終手段は、ファービレジのギルドにカエル肉を卸せばいけるだろ……と、算段を立てていた。

「お……おう。
 そうか、 まいどあり」と、主人が驚いていた。

 4000ゴールドを店主に渡し、ミスリルの剣を受け取った。
 想像していたより、この武器は軽い気がする……。

「にーちゃん。
 何を倒すつもりで、その武器を買うんだ?」

「ゴブリンだ!!」

「へぇ!?  こんな一級品をゴブリン相手に使うっていうのかい!!
 てっきり、ドラゴンでも相手にするのかと思ってたよ」

「まさか、俺は商人だからな。
 そんな冒険はしないさ……」と言って、武器屋をあとにした。

 その後に、道具屋によって回復薬の補充を済ませた。

 よし、行こう!!  北の森へ!!
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