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第四章 中編 森の異変と修行の続きと【ヒルフェ】
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「いや、まぁ。…そうなんだが、…しかしなぁ、…お前らはリキッド殿がいない間、俺達や兵士達が預かっている形だから、守らにゃならねぇから。」
「守る、…ねぇ。…」
「それに、お前ら荒熊(ラーギング・ベア)と対峙しただろう。…Gやら下のランクの奴等は己よりも強敵に出くわすと、襲われた恐怖で心に傷を受けたり、弱い自分に打ちひしがれる場合もあるからな。…」
「弱い、…か。…」
「…あぁ、まぁ。…その、なんだ。…重ね重ね申し訳ない。」
しかしドンドは、未だに謝罪をする姿勢を崩さない。物腰の低さや言葉の端々に、真面目な責任感や優しい性格が伺い知れる。
そんな彼の言葉が、俺には耐え難かった。ギリリと奥歯を噛みしめている。
此処にいる人達は、優しい人達が多い。リキッドやアスターを筆頭に縁もない亜人達を必死に探していて、兵士やダフネ達も命をかけて他人を守っているのを、当たり前の様にしていると改めて感じていた。
その際に、ドンドも気がついたようで、「どうした?」と聞き返した。
ゆっくりと俺は、真っ直ぐに前を向き、呟く。
「なら、どうしたら強くなれるのか、教えてくれないか?…」
「ん?…と、言うと?」
「確かに、荒熊(ラーギング・ベア)には遅れをとってしまった。…次に遭遇した時に、無事かどうかわからない。…なら、負けない戦い方とかないのか?」
「えっと、…」
此方の言葉を聞き、ドンドは困り果てたようだ。頭を搔きながら目を泳がせて、ダフネの方を一瞥するが、彼女の呆れた仕草を見て、再び俺の方に向き直る。さらに続けて値踏みするように眺めだしたが、何かに気がついたようにハッとした表情で呼び掛けてくる。
「守る、…ねぇ。…」
「それに、お前ら荒熊(ラーギング・ベア)と対峙しただろう。…Gやら下のランクの奴等は己よりも強敵に出くわすと、襲われた恐怖で心に傷を受けたり、弱い自分に打ちひしがれる場合もあるからな。…」
「弱い、…か。…」
「…あぁ、まぁ。…その、なんだ。…重ね重ね申し訳ない。」
しかしドンドは、未だに謝罪をする姿勢を崩さない。物腰の低さや言葉の端々に、真面目な責任感や優しい性格が伺い知れる。
そんな彼の言葉が、俺には耐え難かった。ギリリと奥歯を噛みしめている。
此処にいる人達は、優しい人達が多い。リキッドやアスターを筆頭に縁もない亜人達を必死に探していて、兵士やダフネ達も命をかけて他人を守っているのを、当たり前の様にしていると改めて感じていた。
その際に、ドンドも気がついたようで、「どうした?」と聞き返した。
ゆっくりと俺は、真っ直ぐに前を向き、呟く。
「なら、どうしたら強くなれるのか、教えてくれないか?…」
「ん?…と、言うと?」
「確かに、荒熊(ラーギング・ベア)には遅れをとってしまった。…次に遭遇した時に、無事かどうかわからない。…なら、負けない戦い方とかないのか?」
「えっと、…」
此方の言葉を聞き、ドンドは困り果てたようだ。頭を搔きながら目を泳がせて、ダフネの方を一瞥するが、彼女の呆れた仕草を見て、再び俺の方に向き直る。さらに続けて値踏みするように眺めだしたが、何かに気がついたようにハッとした表情で呼び掛けてくる。
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