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3話 三章 祖父の友達と同世代の亜人と【ヒルフェ】

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 彼の言葉に対して、最終的に俺は黙ったまま相槌すら打てなかった。言葉の刃に心臓が抉られる感覚に陥る。
 「あの、アスター陛下。…少し宜しいでしょうか?」
 「ん?…なんだい、お嬢ちゃん?。…そんな別に畏まらなくてもいいんだよ。」
 「…ひーにぃは、優しい人だよ。…最初は怖い所もあったけど。」
 「…ヒナ。」
 すると途中で、ヒナが真っ先に断言してくれた。
 また周囲からも同じ様に、リキッドやキリエが、同意するみたいに何度も頷く様子があった。
 「ほう、そうなのかい。…」
 「そうだよ、アスター陛下。…確かにヒルフェ君は口は悪いし、少し乱暴な素振りが多いけど、根は優しくて真面目な子だよ。」
 「…兄ぃやお嬢ちゃん達が言うんなら、そうなんでしょう。…それに、ちゃんと自分から謝罪やお礼が言えるようだし、根は真面目なのは、よくわかりましたよ。」
 とアスターは首を傾げたりしながら酒を煽る。どうやら納得したようで、それ以上は俺について話題には触れられなかった。
 そのまま話題が元に戻されていく。
 「…たくっ陛下は本当に自分勝手だな。別に俺だって監査の方は乗り気じゃないからいいが。…俺達ゃ、もう一つ他にも調べる事はあんだろうが。…」
 「あぁ、あれかい?…そっちは君に任せると言ったじゃないか。…」
 「いや、確かにそうだし、城で言われたよ!!…でも、アンタが納める国の事でもあるんだぞ!…報告書の件だって、どうにか対応しないと不味いんだろうが!…いったい全体、どうして異様な魔物が現れるか解んないんだぞ!!」
 とドンドは怒気を強めて指摘していた。
 対してアスターは聞き流す様な態度で、数える程度の返事をするのみである
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