スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

３話 三章 祖父の友達と同世代の亜人と【ヒルフェ】

７

　そこには、ダフネがいた。ゆっくりと歩み寄って来ると、ヒナを優しく抱き寄せながら、目尻の涙を親指で拭いつつ、頭を撫でて慰めてあげていた。だが対して俺には、鋭く冷ややかな目付きを向けてきており、威圧する様な凄みをだしていた。
　キリエも気がつき、顔色を青くしながら、肩を震わせていた。
　俺も萎縮してしまい、やや身体を強ばらせる。
　「はぁ、…。」とダフネが呆れた表情で、溜め息を吐きながら、話しかけてきた。
　「ヒルフェ様。…」
　俺も返事をするも、やや語尾が尻すぼみになってしまう。
　それでも彼女は、話を続けてきた。
　「ご無事で何よりでございます。…昼間の件は申し訳ありません。…メイドの身分で差し出がましい事をしました。」
　「え、…いや。…」
　「…それに私が側に付いていながら、御身が危険に晒される事となってしまいました。…重ね重ね謝罪します。」
　「いや、あの。…」
　「ですが。…貴方も周りの人に迷惑を掛けたのです。…次からは、一人での軽率な行動は自重してください。…皆が心配したんですからね。」
　「…………はい。…」
　「わかりましたね。…約束してください。」
　「…………はい。」
　俺は話を聞き、素直に返事をした。
　俺達の周囲に、近寄りがたい雰囲気が漂っていた。