スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

３話 三章 祖父の友達と同世代の亜人と【ヒルフェ】

６

　ほぼ同時にリキッドが立ち上がると、彼等の側まで寄って行き、話しかけていた。
　「あぁ、陛下！！…孫を保護していただきまして、誠に心から感謝を申し上げます。」
　「だから兄ぃ、…此処は公式の場所ではないのですから。…もっと何時もみたいに、砕けた喋りでいいですよ。」
　とアスターも、嬉しそうに受け答えしている。
　そのまま二人で肩を組み合い、仲睦まじく会話をしだした。
　「そうかい。…なら、本当にありがとう！」
　「いえいえ、…お役に立てたのなら、何よりですよ！」
　「…この恩は、必ずお返しするよ。」
　「何を言ってんですか、…兄ぃが困ってるなら、何処へでも参上しますよ。」
　そんな様子を「やれやれ」とドンドは、背後で呟きながら、呆れていた。
　「ヒナ様、ヒルフェ様！！」
　さらに時同じくして、ようやくキリエが遅れてやってきた。すぐさま俺とヒナを引っ張り起こしてきた。
　「あ、あぁ。…すまんな。」
　と俺は、彼女に礼を言う。
　キリエも照れながら、謙遜していた。
　「いえ、ご無事で何よりです。」
　「ふぇ～ん。…」
　しかしヒナは立ち上がっても尚も、瞳が潤んだ状態で抱きつくのをやめない様子だった。
　「ヒナ、悪かったよ。…だから、そんなに引っ付くなって。」
　俺は頭を掻きながら困り果ててしまい、視線が泳いでしまう。
　ふと背後から、誰かが近づいてくる気配がしていた。
　俺は気がつくと、恐る恐る振り向いた。