スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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3話 二章 初依頼と異形の魔物と祖父の友達と【ヒルフェ】

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 俺達は水面へ向かって、必死に手足を動かして浮上しようとする。徐々に隣の少年が先に前に躍り出ていく姿が見え、後を追いかけるが此方の肺の空気が限界に近い。破れかぶれに伸ばした手が水の中で空振った。
 その時、急に水面を突き破る様に、ゴツゴツの太い両腕が出現し、此方の手をがっしりと掴んできた。
 次の瞬間に俺達は強く引っ張られ、水の中から脱出する。岸辺に這い出てくると、うつ伏せに寝そべりながら何度も深呼吸して息を整えた。
 「おい!!…大丈夫か?!」
 と、野太い声が語り掛けてくる。全く聞き覚えのない声だ。
 暫くして俺は落ち着きを取り戻すと、顔をあげて周りに視線を送った。
 すると目の前には二人の人物がいて、側で跪きながら、まじまじと此方を心配そうに見てきている。
 一人は逆立つ赤い髪や蓄えた髭と、筋肉質な身体付きが特徴的な、スーツ姿の小柄な中年男性だ。先程の引き上げてくれた方だろう。
 もう一人は、帽子や外套で着込んだ背の高い細身の人物だ。わざとらしく正体を隠しており、隙間から白髪と柔和な表情の顔を覗かせている。多分だが年齢は、リキッドと同じ位である。
 さらに彼らの奥には、十数名程度の武装した大勢の兵士達がいる。
 また近くにも停車した馬車がある。
 ワゴンには、紋章が印された赤い旗が立てられ、何処かの国に所属する部隊の様である。
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