スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

3話 二章 初依頼と異形の魔物と祖父の友達と【ヒルフェ】

８

　やがて目的の場所へと辿り着く。
　そこは山の麓の付け根部分で、斜面から一部の森林にかけて、ぽっかりと空が見える程に開けた空間が出来ていた。周辺には藪に混じって、奇妙な葉っぱの草木や、花に果実の生えた植物が自生している。
　辺りを見渡しながら、
　「えっと、【トギリ】は黄色い花が咲いて、細い葉っぱが生えている奴だよ。」
　と、ヒナが言いつつ、しゃがんで捜索しだした。
　キリエも屈んで、捜索をする。
　俺も周囲を観察して、注意深く見ていく。
　しかし、どれだけ探しても、目当ての物が見つからない。
　「あれ～？」
　「おかしいですね。…」
　「ここまで見当たらない事はないと思うけど。……」
　と二人は、近くにある他の藪に向かい、別々に手分けして探すのを再開する。
　対して俺は、さらに奥地の方へと、少し移動しようとした。
　「ヒルフェ様？…一人で、どちらに行かれるのですか？」
　すると途中で、ダフネが呼び止めてきた。
　「…あっちの奥の方を見てくるよ。…同じ場所を探してもしょうがないだろう。」
　「…そうでしょうけど、あまり変な場所に、一人で行ったら危ないですよ。」
　「…そこまで、ガキじゃねぇやい。…それに、さすがに離れた場所までいかねぇよ。」
　「…それでも今は私が護衛で側にいるのだから、せめて貴方も付き人のキリエを連れて行きなさい。…待ってなさい。…今、呼びますので、………。」
　「あぁ、もうっ。…やめてくれ！！…恥ずかしいから、一緒にいなくて大丈夫だっつの！！」
　だが俺は、無理矢理に制止を振り切りってしまい、勢いよく駆け出していた。
　後ろから「コラ！！」とダフネの怒声がしてくるも、
　俺は立ち止まらずに、ぐんぐんと奥へと進んでいくのだった。