352 / 402
3話 二章 初依頼と異形の魔物と祖父の友達と【ヒルフェ】
1
しおりを挟む
ギルドの正面出入口から外に出て、横切る大通りを越えた先の対面する区画には、大きな平屋造りの建物がある。
そこもギルドが管理する建物だ。
主に馬車の車庫として、使用している。
建物の中は大広間で、多くの馬車が敷き詰める様に並んでいる。
「7番の馬車。南の平原行きは、此方です。…」
「まもなく、11番の馬車は発車します。」
また多くの冒険者も集まっていた。
次々に順番で馬車に乗り込む者がいる。
さらに出立まで、時間を潰している者もいる。
俺達も大扉から建物の中に入り、目的の馬車を探していた。
全ての馬車には番号が印してある。左から右へと若い順に数字が増えており、迷わずに見つけるのは容易である。
やがて三番の馬車の前にまで辿り着くと、
「あれ?」
と、ヒナが後ろを振り向いた。
「…三人共、お待たせしました。」
ほぼ同時に聞き覚えのある声がし、誰かが近づいてくる気配がする。
やや遅れて俺とキリエも、背後に振り返った。
すると視線の先にはダフネがいた。此方までやってきて、軽くお辞儀をして挨拶してくる。
ふと彼女は手に愛刀を握っていた。
「ダフネ?…何でいるんだよ?」
と俺は思わずぼやき、首を傾げてしまう。先程の発言が気になっていた。
「…皆さんの護衛です。…旦那様に仰せ付かりました。」
とダフネは答えると、
「馬車の発車時刻が迫ってますよ。…全員、早く乗り込みなさい。」
と、さらに此方の背中を力強く押して、馬車の方に促してきた。
そのまま俺達は、戸惑う暇もなく、ワゴンの中へと入ってしまうのだった。
そこもギルドが管理する建物だ。
主に馬車の車庫として、使用している。
建物の中は大広間で、多くの馬車が敷き詰める様に並んでいる。
「7番の馬車。南の平原行きは、此方です。…」
「まもなく、11番の馬車は発車します。」
また多くの冒険者も集まっていた。
次々に順番で馬車に乗り込む者がいる。
さらに出立まで、時間を潰している者もいる。
俺達も大扉から建物の中に入り、目的の馬車を探していた。
全ての馬車には番号が印してある。左から右へと若い順に数字が増えており、迷わずに見つけるのは容易である。
やがて三番の馬車の前にまで辿り着くと、
「あれ?」
と、ヒナが後ろを振り向いた。
「…三人共、お待たせしました。」
ほぼ同時に聞き覚えのある声がし、誰かが近づいてくる気配がする。
やや遅れて俺とキリエも、背後に振り返った。
すると視線の先にはダフネがいた。此方までやってきて、軽くお辞儀をして挨拶してくる。
ふと彼女は手に愛刀を握っていた。
「ダフネ?…何でいるんだよ?」
と俺は思わずぼやき、首を傾げてしまう。先程の発言が気になっていた。
「…皆さんの護衛です。…旦那様に仰せ付かりました。」
とダフネは答えると、
「馬車の発車時刻が迫ってますよ。…全員、早く乗り込みなさい。」
と、さらに此方の背中を力強く押して、馬車の方に促してきた。
そのまま俺達は、戸惑う暇もなく、ワゴンの中へと入ってしまうのだった。
0
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!

次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛
Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。
全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる