スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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3話 二章 初依頼と異形の魔物と祖父の友達と【ヒルフェ】

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 ギルドの正面出入口から外に出て、横切る大通りを越えた先の対面する区画には、大きな平屋造りの建物がある。
 そこもギルドが管理する建物だ。
 主に馬車の車庫として、使用している。
 建物の中は大広間で、多くの馬車が敷き詰める様に並んでいる。
 「7番の馬車。南の平原行きは、此方です。…」
 「まもなく、11番の馬車は発車します。」
 また多くの冒険者も集まっていた。
 次々に順番で馬車に乗り込む者がいる。
 さらに出立まで、時間を潰している者もいる。
 俺達も大扉から建物の中に入り、目的の馬車を探していた。
 全ての馬車には番号が印してある。左から右へと若い順に数字が増えており、迷わずに見つけるのは容易である。
 やがて三番の馬車の前にまで辿り着くと、
 「あれ?」
 と、ヒナが後ろを振り向いた。
 「…三人共、お待たせしました。」
 ほぼ同時に聞き覚えのある声がし、誰かが近づいてくる気配がする。
 やや遅れて俺とキリエも、背後に振り返った。
 すると視線の先にはダフネがいた。此方までやってきて、軽くお辞儀をして挨拶してくる。
 ふと彼女は手に愛刀を握っていた。
 「ダフネ?…何でいるんだよ?」
 と俺は思わずぼやき、首を傾げてしまう。先程の発言が気になっていた。
 「…皆さんの護衛です。…旦那様に仰せ付かりました。」
 とダフネは答えると、
 「馬車の発車時刻が迫ってますよ。…全員、早く乗り込みなさい。」
 と、さらに此方の背中を力強く押して、馬車の方に促してきた。
 そのまま俺達は、戸惑う暇もなく、ワゴンの中へと入ってしまうのだった。
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