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3話 一章 Gランク冒険者【ヒルフェ】
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すかさずキリエは前に出ると、自室の扉を開けてくる。
俺は渋々ながら、通り抜けて中へと入った。
すると部屋には、先客がいたのだった。
「おや、ヒルフェ様。…もう、お戻りになりましたか。」
「あぁ、アルフォンスか。」
そこにいたのは、アルフォンスだ。この屋敷及びギルドの管理をしている人である。
彼はベッドの側のサイドテーブルで、天板に置かれた花瓶の前で、白い薔薇を弄っていた。
「何をしてるんだ?」と俺は聞く。
「はは、何。…責任者としての最終チェック中でして、…今は各部屋に飾った花瓶の花を、直しているのですよ。…ヒルフェ様や、リキッド様達の部屋を念入りに。…部屋を彩る大事な作業です。」
とアルフォンスは答えつつ、再び作業に戻った。剪定鋏を巧みに使う。余計な葉を落としたり、茎の長さを揃えると、薔薇を花瓶に生けだした。
その花は、花弁が外側に広がり、先端がやや薄いピンク色をしている。
ふと俺は、白い薔薇をまじまじと見つめる。なんとなく見覚えがあり、思わずゆっくりと近づいていた。
「この、花は。…」
「おや、ヒルフェ様も薔薇に興味がおありで?」
とアルフォンスは問いかけてくる。
対して俺は首を傾げながら、
「…昔どっかで見た記憶があって。…でも、なんか花びらの形が違う様な。…」
と呟いていた。
アルフォンスは間髪入れずに、説明していた。
「…この薔薇は、屋敷の庭で育てているのですけど、元々は各地に自生している野薔薇を改良した花なんですよ。」
「野薔薇。…いや、違うな。…いったい、どこで見たんだ?」
しかし、俺は話を聞いても尚も、分からないままで、頭を悩ますばかりだった。
俺は渋々ながら、通り抜けて中へと入った。
すると部屋には、先客がいたのだった。
「おや、ヒルフェ様。…もう、お戻りになりましたか。」
「あぁ、アルフォンスか。」
そこにいたのは、アルフォンスだ。この屋敷及びギルドの管理をしている人である。
彼はベッドの側のサイドテーブルで、天板に置かれた花瓶の前で、白い薔薇を弄っていた。
「何をしてるんだ?」と俺は聞く。
「はは、何。…責任者としての最終チェック中でして、…今は各部屋に飾った花瓶の花を、直しているのですよ。…ヒルフェ様や、リキッド様達の部屋を念入りに。…部屋を彩る大事な作業です。」
とアルフォンスは答えつつ、再び作業に戻った。剪定鋏を巧みに使う。余計な葉を落としたり、茎の長さを揃えると、薔薇を花瓶に生けだした。
その花は、花弁が外側に広がり、先端がやや薄いピンク色をしている。
ふと俺は、白い薔薇をまじまじと見つめる。なんとなく見覚えがあり、思わずゆっくりと近づいていた。
「この、花は。…」
「おや、ヒルフェ様も薔薇に興味がおありで?」
とアルフォンスは問いかけてくる。
対して俺は首を傾げながら、
「…昔どっかで見た記憶があって。…でも、なんか花びらの形が違う様な。…」
と呟いていた。
アルフォンスは間髪入れずに、説明していた。
「…この薔薇は、屋敷の庭で育てているのですけど、元々は各地に自生している野薔薇を改良した花なんですよ。」
「野薔薇。…いや、違うな。…いったい、どこで見たんだ?」
しかし、俺は話を聞いても尚も、分からないままで、頭を悩ますばかりだった。
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