スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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3話 序章 事件と会議

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 「全くアスターも、ドンドも変わりませんね」
 対してダフネも鼻で笑いながら、呆れた様に頭を振るう。だが直後には、ハッとした表情となって、懐から懐中時計を取り出すと文字盤を一瞥しだした。
 同時にリキッドも顔を覗かせると、途端に慌てだす。
 「いけない、もうこんな時間か?!…早く【ビーギニング】に帰らないと!!…」
 「急いで馬車を用意させます。」
 「あぁ!!…ヒルフェ君達に、お土産買ってないよ!」
 「別に頼まれてもいないでしょう!」
 「でも、でも~!!」
 二人は言い争いしつつ、急ぎ足で移動をし始めだした。端から見れば、只ならぬ様子にも感じてしまう。
 するとアスターとドンドも、思わず小競り合いを止めて質問しだす。
 「ヒルフェ?…誰だ、そいつは?」
 「聞いた事ないなぁ、…兄ぃ、誰ですか?」
 「へ?…あぁ、…ヒルフェ君は、私とマーサさんの孫だよ!」
 と、リキッドは去り際に、振り向き様に答える。
 それを聞いて、アスターとドンドは共に驚いており、両目を見開くと、
 「それって、ずっと兄ぃが言っていた人?!」
 「ガキも、見つかっていたのかよ!」
 「あ、兄ぃ!!…詳しく話を、…」
 と、再び大声で騒ぎながら呼び掛けようとした。
 しかし既にダフネを先頭に歩きだし、リキッドも付いていくと「また今度ね!」とだけ伝えて、廊下の奥へと進んで行き、瞬く間に姿が見えなくなった。
 そのまま暫しの間、彼らは茫然と立ち尽くしていた。
 だが急に、ドンドは隣から嫌な気配を感じ、足早に立ち去ろうとするも、
 すぐさまアスターが肩を掴んできて、
 「ドンドく~ん。…君にお願いがあるんだ。」
 「い、嫌だ!!…また、無理難題を吹っ掛けるつもりだな!」
 「そんなつもりはないよ。」
 と言いながら、ゆっくりて迫ってきている。掴む手にも強い力が込められ、決して離さない。
 「嘘だ!!…じゃぁ、この手を離せや!」
 「なんだね、全く。…君は王の命令に逆うつもりか?」
 「そういう時だけ、偉そうに王様ぶってんじゃねぇよぉ!!」
 と、なんとかドンドは逃走や拒否をして抵抗を試みた。しかし逆らえず押しきられ、がっくりと落胆しながら、膝から床に崩れ落ちていた。
 「ちきしょう、…ずるいだろうが。」
 「いやぁ、これから楽しみだなぁ。」
 対して、アスターは高笑いしながら妄想に耽っていた。
 それは後々になって、執事服の中年男性と城の兵士達が現れるまで続いていたのだった。
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