スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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間章 ある男の末路とその他の行く末(2話)

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 それでもヒルフェは、諦めずに話しに耳を傾けながら、
 「別に慌てて決めなくても、いいんじゃないか?…」
 「え?」
 「俺はだって、自分のしたい事がわからない。…五歳の頃に暗い洞窟で人じゃない生活を十年も過ごしていた。…それから外に出て来たら、何が楽しいのかも、分からない事だらけだ。…冒険者の試験だって、いつの間にか参加していたしな。」
 「そ、そうなんだ。」
 「…でもよ、ヒナ。…俺からしたら、お前は好きな物が沢山あって羨ましいよ。…だからさ、…俺の怪我が治ったらでいいから、キリエとかも一緒に…、またアイスでも食いに行ったりとかしようぜ。」
 「いいの?!…本当に?」
 「…あぁ、そうしてさ、お互いにさ。…やりたい事を一杯やってさ、…それから将来どうしたいか、決めればいいんじゃねぇ?……この始まりの街で俺もやりたい事を探そうと思うから。…ヒナが納得いくまで、一緒に付き合うよ。」
 と語りかけていった。なるべく優しい口調を心掛けているようだ。
 「うん。」
 それにヒナも返事をしていた。次第に自然と喋れる様になっていた。
 「あのね。…なら私ずっと前から、したい事があったの。…実はね、昔にね、…おばあちゃんが何度も話してくれた物語に、冒険者の話があってね。…」
 「あぁ、…それで?」
 「…でね、その話だと、男の戦士と女の魔法使いが冒険して、恋して、最後には強くて山みたいに大きな魔物と戦うの。…あたし、そういうのがしたくて、…それでね。…」
 「…ほう、…」
 とヒルフェも、相づちをうっている。
 そのまま二人だけで会話をし続けており、和やかな雰囲気に包まれていた。
 そんな様子は、アルフォンスが戻ってくるまで続いていたのだった。
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