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間章 ある男の末路とその他の行く末(2話)
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そんな様子にターナは、より強い怒りを露にした。さらに周囲に向かって鋭い目付きで睨み付けだすと、
「私に文句があるのか!」
と再び怒鳴りつけてきて、さらに立ち上がりながら、拳を振り上げて殴りかかってくる。狙いは、近くのリキッドだった。
「おっと。…」
だが、リキッドは難なく避けてしまう。
対してターナは余計に激怒しており、何度も攻撃を繰り返してきた。攻撃を当てるのに、躍起になっている。ただ疲れてヘロヘロの動きだった。
やや遅れて、ギルドの職員達は、慌てて止めようと動き出そうとした。
すると、それより先に、ーー
「いい加減に、止めないか!!」
と、野太い男の声がした。
ほぼ同時にギルド職員達の間を、誰かがかき分けて突破していき、すぐさまターナの背後を取ると、羽交い締めにして動きを封じる。
瞬く間の出来事に、此の場の誰も彼もが視線を釘付けにする。
その先には、ポッチョムがいたのだった。
「何をする!…貴様、離せ!…」
と、ターナは言いつつ、踠いて抵抗しているが、一向に抜け出せずにいる。
またポッチョムも、全く離そうとはしなかった。
そんな彼等のやり取りが、少しの間だけ続けられる。
その間に、ふと他の受験者達も、続々と側までやってきて、周囲を取り囲む様に並び立つ。さらに全員が揃うと、徐に冷ややかな視線を浴びせだした。特にターナの方に視線が集中している。
「私に文句があるのか!」
と再び怒鳴りつけてきて、さらに立ち上がりながら、拳を振り上げて殴りかかってくる。狙いは、近くのリキッドだった。
「おっと。…」
だが、リキッドは難なく避けてしまう。
対してターナは余計に激怒しており、何度も攻撃を繰り返してきた。攻撃を当てるのに、躍起になっている。ただ疲れてヘロヘロの動きだった。
やや遅れて、ギルドの職員達は、慌てて止めようと動き出そうとした。
すると、それより先に、ーー
「いい加減に、止めないか!!」
と、野太い男の声がした。
ほぼ同時にギルド職員達の間を、誰かがかき分けて突破していき、すぐさまターナの背後を取ると、羽交い締めにして動きを封じる。
瞬く間の出来事に、此の場の誰も彼もが視線を釘付けにする。
その先には、ポッチョムがいたのだった。
「何をする!…貴様、離せ!…」
と、ターナは言いつつ、踠いて抵抗しているが、一向に抜け出せずにいる。
またポッチョムも、全く離そうとはしなかった。
そんな彼等のやり取りが、少しの間だけ続けられる。
その間に、ふと他の受験者達も、続々と側までやってきて、周囲を取り囲む様に並び立つ。さらに全員が揃うと、徐に冷ややかな視線を浴びせだした。特にターナの方に視線が集中している。
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