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2話 四章 冒険者ランク取得試験 (後編)
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この先には魔物の口がある。ギザギザな上の歯と下の歯の間が開いており、隙間から外の光が射し込んでくる。
さらに奥では、人影が動く姿がある。
それはギルドの職員達だ。誰も彼もが必死な表情の顔し、踏ん張って耐える体勢だ。おかげで魔物が口を開けたままの状態を維持している。
またアルフォンスが隙間から顔を覗かせており、中の様子を伺っている。
隣ではヒナもおり、此方に視線を向けながら、心配そうに見つめていた。
「おい!…また口が閉じかけているぞ!」「まだだ、…」「耐えろ!…気張れ!」
ついでに外から、ギルド職員達の慌てふためく声がする。
次第に声量が大きくなっている。
それに比例して、魔物の口が再び閉じようとしていた。
俺は思わず舌打ちし、急いで出口へと向かう。だが思う通りには進めない。もう少しで歯の部分にまで辿り着きそうだ。
そこで蛇(サーペンス)の様な魔物も諦め悪く、長い舌を激しく動かしてきて、邪魔をしてくる。おまけに、此方の身体にも巻き付いてこようとしていた。
さらにキリエが「ヒナ様」と、再び呟きだした。
それに対して俺は、大声で怒鳴り付けた。
「いい加減に起きろ!!…このド阿呆!!」
「ひゃい!?」
その直後にキリエは驚いて声を挙げた。肩をビクッ、とさせており、世話しなく顔を動かして周りを見渡しながら状況を確認していた。最後には此方に気がつき、目が合ったのだった。
さらに奥では、人影が動く姿がある。
それはギルドの職員達だ。誰も彼もが必死な表情の顔し、踏ん張って耐える体勢だ。おかげで魔物が口を開けたままの状態を維持している。
またアルフォンスが隙間から顔を覗かせており、中の様子を伺っている。
隣ではヒナもおり、此方に視線を向けながら、心配そうに見つめていた。
「おい!…また口が閉じかけているぞ!」「まだだ、…」「耐えろ!…気張れ!」
ついでに外から、ギルド職員達の慌てふためく声がする。
次第に声量が大きくなっている。
それに比例して、魔物の口が再び閉じようとしていた。
俺は思わず舌打ちし、急いで出口へと向かう。だが思う通りには進めない。もう少しで歯の部分にまで辿り着きそうだ。
そこで蛇(サーペンス)の様な魔物も諦め悪く、長い舌を激しく動かしてきて、邪魔をしてくる。おまけに、此方の身体にも巻き付いてこようとしていた。
さらにキリエが「ヒナ様」と、再び呟きだした。
それに対して俺は、大声で怒鳴り付けた。
「いい加減に起きろ!!…このド阿呆!!」
「ひゃい!?」
その直後にキリエは驚いて声を挙げた。肩をビクッ、とさせており、世話しなく顔を動かして周りを見渡しながら状況を確認していた。最後には此方に気がつき、目が合ったのだった。
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