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2話 四章 冒険者ランク取得試験 (後編)
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なんとか俺は、彼女の側へと辿り着く。さらに手を伸ばして、互いの身体を抱き寄せると、体勢の向きを変えて、もと来た道を戻りだす。
だが、その途中で何かが引っ掛かる感覚がした。ちょうどキリエの腰の部分である。
すぐに俺は、顔を振り向かせて確認した。
すると原因は、キリエの刀だった。此方が動くと、刀の持ち手の端や鞘の一部が、肉壁の所々にぶつかっているようだった。また刀の長さが蛇(サーペンス)の内部の幅と同じくらいあり、引っ掛かってしまう。だから、キリエ自身も胃袋の方まで落ちずに、途中で止まっていたのだろう。
「うんしょっと、…」
と俺は、空いた利き手でキリエの刀を手にしたら、再び移動を開始する。ついでに、
「おい、しっかりしろ!…後、ちょっとで出られるからな!」
と、何度も大きな声で呼び掛ける。
やがて彼女の方にも微かに反応が現れ、小声で譫言の様に喋りだした。
「…ヒナ様。…」
「おい!…起きたのか?」
それに俺も気がつくと、さらに呼び掛けながら、言葉に耳を傾けていく。
「ヒナ様。……私は、…貴女を守り、たいんです。………誰にも、劣らず、……強くなりたいんです。」
「あん?……」
「………貴女が側にいてほしい、と言ったから。…こんな私でも、一緒にいて良いと。…だから、」
と、キリエは呟いたら、また苦悶の表情で魘されだしていた。さらには身動ぎしており、まるで逃げ出そうと踠いているようである。
「うぅ、…ヒナ様。」
「はぁ、…。」
対して俺は、彼女の様子を目にした瞬間に、盛大に溜め息を吐いてしまい、思わず舌打ちしていた。でも、すぐに深く呼吸して冷静になる様に努めながら、動きを速めて前に進んでいく。
そうしていくと、次第に目的の場所にまで戻ってきた。
だが、その途中で何かが引っ掛かる感覚がした。ちょうどキリエの腰の部分である。
すぐに俺は、顔を振り向かせて確認した。
すると原因は、キリエの刀だった。此方が動くと、刀の持ち手の端や鞘の一部が、肉壁の所々にぶつかっているようだった。また刀の長さが蛇(サーペンス)の内部の幅と同じくらいあり、引っ掛かってしまう。だから、キリエ自身も胃袋の方まで落ちずに、途中で止まっていたのだろう。
「うんしょっと、…」
と俺は、空いた利き手でキリエの刀を手にしたら、再び移動を開始する。ついでに、
「おい、しっかりしろ!…後、ちょっとで出られるからな!」
と、何度も大きな声で呼び掛ける。
やがて彼女の方にも微かに反応が現れ、小声で譫言の様に喋りだした。
「…ヒナ様。…」
「おい!…起きたのか?」
それに俺も気がつくと、さらに呼び掛けながら、言葉に耳を傾けていく。
「ヒナ様。……私は、…貴女を守り、たいんです。………誰にも、劣らず、……強くなりたいんです。」
「あん?……」
「………貴女が側にいてほしい、と言ったから。…こんな私でも、一緒にいて良いと。…だから、」
と、キリエは呟いたら、また苦悶の表情で魘されだしていた。さらには身動ぎしており、まるで逃げ出そうと踠いているようである。
「うぅ、…ヒナ様。」
「はぁ、…。」
対して俺は、彼女の様子を目にした瞬間に、盛大に溜め息を吐いてしまい、思わず舌打ちしていた。でも、すぐに深く呼吸して冷静になる様に努めながら、動きを速めて前に進んでいく。
そうしていくと、次第に目的の場所にまで戻ってきた。
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