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2話 四章 冒険者ランク取得試験 (後編)
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さらに蛇(サーペンス)だった魔物も、身体をくねらせながら再び向きなおってきた。今度はターナの方に狙いを定めて、口を開けながら迫ってきた。
ターナも慌てて立ち上がると、ギリギリの距離で回避をしながら、ふらふらの足取りで走って逃げていく。辛うじて森の中に入り込み、姿が見えなくなる。
そのまま彼の悲鳴だけが聞こえてくる。
やがて辺りに響き渡ると、だんだんと遠ざかっていった。
俺は近くにある木の幹の影に身を潜めて、息を殺している。さらに気配を伺いながら、顔を覗かして、周囲の様子を伺う。
すると蛇(サーペンス)の様な魔物は、頻繁に首の位置や角度を変えながら、森の奥の方に焦点を当てて、覗き込んでくる。新たな獲物を探しているようだ。
また遺跡の近くでも、未だに戦いが続いている。
ダフネが刀で、勢い良く切り掛かかる。
もう片方の蛇(サーペンス)も、反撃してきた。
しかし、ダフネも魔物の動きを見切り、住なしているも、
「あぁ!?…もう、しつこい!…早く行かないと。…」
と表情を曇らせており、苛立ちを露にしていた。刀を荒々しく目にも止まらぬ速さで振るう。だんだんと攻撃が苛烈になっていた。
その様子を俺は見ていた。だが段々と心の奥底がざわめくのを感じており、自分に対しての怒りや焦りが込み上げてきて、思わず舌打ちをしてしまう。試験の前には、自ら助けると言ったのに、力が及ばず、この体たらくである。もはや自分自身を許せずに戒めている。
ターナも慌てて立ち上がると、ギリギリの距離で回避をしながら、ふらふらの足取りで走って逃げていく。辛うじて森の中に入り込み、姿が見えなくなる。
そのまま彼の悲鳴だけが聞こえてくる。
やがて辺りに響き渡ると、だんだんと遠ざかっていった。
俺は近くにある木の幹の影に身を潜めて、息を殺している。さらに気配を伺いながら、顔を覗かして、周囲の様子を伺う。
すると蛇(サーペンス)の様な魔物は、頻繁に首の位置や角度を変えながら、森の奥の方に焦点を当てて、覗き込んでくる。新たな獲物を探しているようだ。
また遺跡の近くでも、未だに戦いが続いている。
ダフネが刀で、勢い良く切り掛かかる。
もう片方の蛇(サーペンス)も、反撃してきた。
しかし、ダフネも魔物の動きを見切り、住なしているも、
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と表情を曇らせており、苛立ちを露にしていた。刀を荒々しく目にも止まらぬ速さで振るう。だんだんと攻撃が苛烈になっていた。
その様子を俺は見ていた。だが段々と心の奥底がざわめくのを感じており、自分に対しての怒りや焦りが込み上げてきて、思わず舌打ちをしてしまう。試験の前には、自ら助けると言ったのに、力が及ばず、この体たらくである。もはや自分自身を許せずに戒めている。
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