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2話 四章 冒険者ランク取得試験 (中編)
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「グギャルルル!!」
すると蛇(サーペンス)だった魔物は、再び咆哮をあげる。さらに血走った目を激しく動かしながら辺りを見渡し、最終的に此方を睨み付けだす。かなり怒りを露にして、興奮しているようである。
「助けてくれ!?」
ふと同時に、誰かが叫んでいた。
ついでに周りからも、悲鳴があがり続ける。
それを合図にしたかの様に、蛇(サーぺンス)は動きだした。それぞれ二つの頭は口を開けながら牙を剥き出しすると、此方に向かって進んでくる。瞬く間に受験者達のいる位置にまで、辿り着いてしまう。
「!?!」
と、俺は奴と目があった気がして、背筋に嫌な寒気が走り出すと、命の危険を感じる。同時に全身に力が入って拳を握りしめると、ほぼ反射的に足で地面を蹴って前に飛び出していた。今すぐにでも殴りかかろうとする体勢になる。
だが、ーー
「ふっ!!」
その直後に、誰かが目にも止まらぬ動きで、此方の背後から追い越していき、間に割って入ってきた。ちょうど俺と蛇(サーぺンス)だった魔物の間の位置に来ると、魔物に向かって攻撃を仕掛ける。
次の瞬間に、魔物の胴体の一部が傷つき、血飛沫が飛び散った。
時同じくして、蛇(サーペンス)だった魔物も、悲鳴を上げて怯んでしまう。
俺は堪らず立ち止まると相手を凝視して、声もなく驚いていた。
そこにいたのは、ダフネである。刀を振るって付着した血を払ったら、鞘に収めて再び攻撃の構えをしながら、迎え撃つ姿勢をとる。とても冷やかな視線を魔物に浴びせつつ、頬や服に着いた返り血を気にも止めないまま、凛とした佇まいを崩さない。
それは、あまりにも唐突な出来事だった。この場の誰も彼もが目の前の光景に唖然となり、まるで一瞬だけ時が止まった様になっている。
すると蛇(サーペンス)だった魔物は、再び咆哮をあげる。さらに血走った目を激しく動かしながら辺りを見渡し、最終的に此方を睨み付けだす。かなり怒りを露にして、興奮しているようである。
「助けてくれ!?」
ふと同時に、誰かが叫んでいた。
ついでに周りからも、悲鳴があがり続ける。
それを合図にしたかの様に、蛇(サーぺンス)は動きだした。それぞれ二つの頭は口を開けながら牙を剥き出しすると、此方に向かって進んでくる。瞬く間に受験者達のいる位置にまで、辿り着いてしまう。
「!?!」
と、俺は奴と目があった気がして、背筋に嫌な寒気が走り出すと、命の危険を感じる。同時に全身に力が入って拳を握りしめると、ほぼ反射的に足で地面を蹴って前に飛び出していた。今すぐにでも殴りかかろうとする体勢になる。
だが、ーー
「ふっ!!」
その直後に、誰かが目にも止まらぬ動きで、此方の背後から追い越していき、間に割って入ってきた。ちょうど俺と蛇(サーぺンス)だった魔物の間の位置に来ると、魔物に向かって攻撃を仕掛ける。
次の瞬間に、魔物の胴体の一部が傷つき、血飛沫が飛び散った。
時同じくして、蛇(サーペンス)だった魔物も、悲鳴を上げて怯んでしまう。
俺は堪らず立ち止まると相手を凝視して、声もなく驚いていた。
そこにいたのは、ダフネである。刀を振るって付着した血を払ったら、鞘に収めて再び攻撃の構えをしながら、迎え撃つ姿勢をとる。とても冷やかな視線を魔物に浴びせつつ、頬や服に着いた返り血を気にも止めないまま、凛とした佇まいを崩さない。
それは、あまりにも唐突な出来事だった。この場の誰も彼もが目の前の光景に唖然となり、まるで一瞬だけ時が止まった様になっている。
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