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2話 四章 冒険者ランク取得試験 (前編)
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「…どうした?」
と俺も聞き返すと、ーー
ギルドの職員は捲し立てる様に喋りだし、
「…ひ、ヒルフェ様。…次が貴方の番です。…もうすぐ前の試合が終わりますので、急いで枠まで来てください。」
と、促してきた。そのまま踵を返して、来た道を急いで戻っていく。
俺も指示に従い、迅速に後を追いかけていく。去り際にヒナの方を一瞥し、「待っていろ。」とだけ伝えた。
彼女の気配が遠ざかる。
その途中で、ヒナが「うん。」と言うのが聞こえてきた。
そうして場所が移り変わり、人集りを超えて行くと、試験の会場の真ん前にまで戻ってきた。
その枠の中には、既に次の対戦者が待っていた。
そいつは顔の濃い中年の男だ。太い眉と割れた顎が特徴的で、革の胸当てと真っ赤なマントを身に付けている。さらには、ずっと此方を鋭い眼光で睨みつけており、腕組みしながら微動だにせず立ったままでいる。
「…それでは、次の試合を開始します。」
とギルドの職員が宣言すると、
ほぼ同時に、俺も枠の中に足を踏入れた。
すると突然、相手の中年の男が、此方を指指しながら怒鳴りだしてきた。
「お前!…試験の時間に遅れそうになるとは、何事か!…冒険者になるのを舐めているのか!」
「はぁ?」
「…私はふざけた奴、不真面目な者が大嫌いだ!…お前みたいな本気でない迷惑な奴は、この私、ポッチョムが根性を叩き直してやるから、覚悟しろ!」
それを俺は聞くと、じっと相手を見据えながら、無言で拳を握りしめて臨戦態勢を取る。
その直後に、ギルドの職員から開始の合図が放たれた。
と俺も聞き返すと、ーー
ギルドの職員は捲し立てる様に喋りだし、
「…ひ、ヒルフェ様。…次が貴方の番です。…もうすぐ前の試合が終わりますので、急いで枠まで来てください。」
と、促してきた。そのまま踵を返して、来た道を急いで戻っていく。
俺も指示に従い、迅速に後を追いかけていく。去り際にヒナの方を一瞥し、「待っていろ。」とだけ伝えた。
彼女の気配が遠ざかる。
その途中で、ヒナが「うん。」と言うのが聞こえてきた。
そうして場所が移り変わり、人集りを超えて行くと、試験の会場の真ん前にまで戻ってきた。
その枠の中には、既に次の対戦者が待っていた。
そいつは顔の濃い中年の男だ。太い眉と割れた顎が特徴的で、革の胸当てと真っ赤なマントを身に付けている。さらには、ずっと此方を鋭い眼光で睨みつけており、腕組みしながら微動だにせず立ったままでいる。
「…それでは、次の試合を開始します。」
とギルドの職員が宣言すると、
ほぼ同時に、俺も枠の中に足を踏入れた。
すると突然、相手の中年の男が、此方を指指しながら怒鳴りだしてきた。
「お前!…試験の時間に遅れそうになるとは、何事か!…冒険者になるのを舐めているのか!」
「はぁ?」
「…私はふざけた奴、不真面目な者が大嫌いだ!…お前みたいな本気でない迷惑な奴は、この私、ポッチョムが根性を叩き直してやるから、覚悟しろ!」
それを俺は聞くと、じっと相手を見据えながら、無言で拳を握りしめて臨戦態勢を取る。
その直後に、ギルドの職員から開始の合図が放たれた。
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