スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

２話 四章 冒険者ランク取得試験 (前編)

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　「次！！」と係の職員が、再び大きな声で宣言をする。
　そのまま前の受験者達は、渋々ながら後ろにいる次の人達と入れ替わる。
　すると、その中にはヒナがいた。今度は彼女を含めた人達が魔法を放つ番だ。
　職員の開始の合図が宣言されると、他の三人が魔法を放つ。だが此方も的には命中するものの破壊には至らない。
　しかし、一方で、ーー
　「ちゅ、ど～ん！！」
　とヒナは言いながら、的を指で指して魔法を放つ。彼女の指から火の玉が出現し、前に向かって飛んで行く。
　その直後に火の玉は的に命中すると、粉々に破壊した。さらに奥の海面にまで飛んでいくと、爆発が起きて海水を空へと巻き上げる。
　その強い衝撃が、此方にも伝わってくる。
　俺は思わず、「すっげっ……。」と声を漏らし、腰が引けていた。目の前の光景に、やや狼狽えてしまう。
　「凄い。」「マジか。…！！」「こりゃ、合格間違いないだろう。」
　ついでに周囲の受験生達の、どよめく声も聞こえてくる。
　彼等も、互いに顔を見合せながら、ぼそりと会話しているようだ。
　「おぉ、流石だな。」「えぇ、全く。…これなら、一次試験は間違いなく通過ね。」
　そしてギルドの職員も口々に呟きながら頷いており、納得した様な表情をしている。まるで受験者達の言葉を肯定しているみたいだ。
　「…………。」
　しかし、そんな周囲の様子とは裏腹に、ヒナは、やや暗い顔をしていて嬉しくなさそうである。さらにギルド職員達の言葉を聞いたら、そそくさと列から離れて行った。
　「では、次の試験の者達は前に！」
　その後も、ギルド職員達は試験を進めていく。
　残りの魔術組の受験者達も、試験に挑んで行った。自分達の実力を遺憾なく発揮していたが、結果が大して振るわない地味な展開が終始行われ、呆気なく終了を迎えたのだった。