スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

２話 四章 冒険者ランク取得試験 (前編)

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　そのまま彼らは、受験者の人集りの方へとやって来た。
　真っ先にリキッドが向き直ると、すぐに話しかけだす。
　「…君達が、アインスヤヴァイ男爵家の兄弟だね？」
　「あぁ、そうさ。…私が長男のターナだ。」
　「……次男の、サベルだ。」
　「私は【ビーギニング】のギルド長のリキッドだよ。…ところで、受験を受けるのは君達と後ろの金髪の彼の筈だが、其方のお嬢さん達は誰だい？」
　「…この娘達は、…今、我々と仲良くしてくれている娘達さ。…是非とも、この街に来たいと言うので、連れて来たのだ。」
　「俺達ぐらいになると、女性が離れてくれなくてね。」
　対して彼らも答えるが、偉そうな態度を崩さない。
　「…悪いが試験に関係ない人が、これより先に居てもらっては困るので、馬車で来たのなら、彼女達は戻っていてもらいたいのだが。」
　と、再びリキッドは、やんわりと言葉を伝える。
　「それは、其方の都合だろう。…我々には関係ない。」
　「は？」
　「…ただの試験をするだけなのに、同伴者がいるだけで行えなくなるとか、どんな運用の仕方だい？…そっちに問題があるだろう。」
　しかし、それでもターナは拒否を示していた。
　サベルも同様の様子である。
　また隣の女達も無視を決め込んでいる。全く此方側の要求を突っぱねるつもりのようだ。
　ただただ刻々と、時間が過ぎてしまう。
　その様子にリキッドは呆れ、思わずため息を吐くと、
　「…これ以上は、試験時間が押してしまうな。…他の人にも影響が出てしまう。…解ったよ。…でも、お嬢さん達には此方の従業員を何名か側につけさせてもらうよ。」
　と言い残し、踵を返して人集りの方に戻っていくのだった。