スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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2話 四章 冒険者ランク取得試験 (前編)

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 「エーデルヴァイス家は魔術に秀でて、武勲をあげました。…また同じく、あの家の側には忠誠を誓った従者の一族も傅いており、此方も武術で名を馳せています。…どちらも互い強さを求めながら繁栄してきたのです。…でも両家は、いつしか完全な実力主義を掲げてだしており、実力者だけを優遇して、逆に劣等者は冷遇しだした。…クソみたいな家々に成り果てたのです。」
 「おいおい、随分と断言するな。…」
 「…全て事実ですから。…中でも従者の一族の方が実力主義の考えに心酔しているのが強く、より過激な行いが多いとか。…実際に、一人の少女が酷い仕打ちを受けてましたから。」
 「ん?…まさか。」
 と俺はハッとした表情になり、思った事を呟いていた。
 「…キリエの事か?」
 その問いに、ダフネは黙って頷く。さらに顔を反らしながら、まるで独り言の様に言葉を呟きだした。
 「あの娘は、幼少の頃から従者としての教育や、護身の為に剣術の手解きを受けていました。…ただ他人と比べて要領が悪く、戦いでは思った様に実力が発揮できない事があるのです。…それが他と比べて劣っている様に見えてたのでしょう。…あの娘は実家では、蔑ろにされ続けて、半ば勘当された扱いになってます。」
 「なんだよ、それっ!」
 「…でも、あの娘はヒナの従者であろうとしているの。…決して譲らないみたい。……あれはヒナの中央学院の卒業式の日の帰りだったわ。…私達の前にキリエが現れると、必死の形相でギルドで働かせてほしいと懇願してきた時の事は、今でも鮮明に覚えているわ。」
 「………。」
 「…世の中にはね、…あの娘達みたいに、夢や希望を抱いたからって、周りからの影響が邪魔をしてきて、叶わぬ事があるの。…そんなの、まかり通っていいわけないのよ。」
 そうして彼女は、話を締めくくる。
 俺は気がつくと、黙ったままの状態で拳に力を込めていた。わなわなと震えており、どんどんと握る力が増していくのを感じる。
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