スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

あおいろ

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2話 四章 冒険者ランク取得試験 (前編)

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 「…今回の件は、…ヒナちゃんの実家のいざこざが原因なんだ。…名前はエーデルヴァイスと言い、随分と昔に隣国との長い争いで数々の武勲を挙げた大貴族なんだ。…今や王族に次ぐ程の絶大な権力を有している。…しかし、数十年前から少々と厄介な問題を抱えていてねぇ。」
 「厄介な問題?…なんだ、それは?」
 と俺は言いつつ、食事をしながら話に聞き入っていく。
 「…簡単に言えば、跡目争いなんだよ。…その家には私の姉上が嫁いだと説明しただろう。…実は、その後の時期を境に、なかなか子宝に恵まれない事が続き、血筋が途絶えそうなんだ。…もう今や正当な跡取りはヒナちゃんしかおらず、彼等は家系の存続に躍起になっているんだ。」
 「そんなに、重要なのかよ。」
 「あぁ、貴族とは自分の家系の繁栄の為に、何よりも血筋を重んじるんだ。…どんな事をしても繋げる為に手段を選ばない。…たとえ引き継ぐ当人のヒナちゃんの意思は関係ない。…望まない相手でも、家の存続の為に優先させるんだ。…あの家は貴族としてあろうとする方が重要みたいなんだよ。」
 「…なんだよ、それ。」
 「…現に今もヒナちゃんが此処にいるのは、エーデルヴァイス家での内部争いが激化したからだ。…避難の名目で十歳から中央学園に入学し、四年後に卒業した後も安全と経験をつける為に、今はギルドに預けているんだよ。…」
 そう言ってリキッドは話を区切ると、姿勢を直しながら一息つく。
 俺も食べ物を飲み込むと、考えを巡らせた。全く想像すら及ばない世界の話である。しかし、自ずと虫酸が走る様な気持ちが溢れて、嫌悪すらしてしまい、思わず「随分と、勝手な話だな。」と悪態をついた。
 「えぇ、全くです。」
 すると今度は、ダフネも呟くと頷いて肯定している。さらに続けて、話に加わるとリキッドの代わりに喋りだした。
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