スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

間章 再びの不穏な様子と試験に向けて

１０

　
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　だが暫くした後、ーー。
　ギルドの職員達が撤収している間に、予想もしていない事件の予兆が人知れずに起ころうとしていたのである。
　それは、ゆっくりと水面下で進行している。
　その場所は先程までいた磯浜の先、ーー緩やかな坂を上がった崖の地表に広がる森の中である。
　鬱蒼と生い茂る木々や藪は、吹き過ぎる風によって、枝が揺れてざわめいている。
　獣道では、鼠(ワイルズ)を必死に逃げている。
　だが背後から、蛇(サーペンス)が襲いかかっていた。一瞬の隙を突くと、異様な程に大きく口を開け、徐々に捕まえた獲物を飲み込んでいる。
　そのまま蛇(サーペンス)は消化するために動かなくなる。
　ふと辺りから、甘い匂いがしてきた。
　すると突然、蛇(サーペンス)は感じた瞬間に、もがき苦しみだした。
　さらに、少し先の地面から小さな亀裂が走り、紫色の煙が吹き出すと、辺りを這う様に漂いだす。
　瞬く間に、周囲の草木や藪を覆い包んでしまった。
　蛇(サーペンス)も例外なく、煙の中で姿が見え難くなっていき、シルエットだけが浮かぶ状態となった。