スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

間章 再びの不穏な様子と試験に向けて

８

　すると唐突に、アルフォンスは片膝を地面に付くと、頭を下げて謝罪してきた。
　「…リキッド様、申し訳ありません。…ランク試験の準備や、他にも問題が山積みなのに、私の失態まで巻き込んでしまいまして。…誠に、何とお詫びすれば。…」
　「申し訳ありません。」
　さらに続けて、ダフネも頭を下げて、謝罪する。
　「あぁ、…そんな事は、気にしなくていいよ。皆に何事もなくて良かったし、…起きてしまったのは、仕方ないさ。」
　対してリキッドは、優しげな口調で言葉を伝えている。だが真顔のまま真っ直ぐ前を向いており、考え事をする素振りを崩さず、すぐに二人に意見を問いかけた。
　「…しかし今、一番に対処しなければならない問題としては、アインスヤヴァイ家の二人だ。彼等の悪童さは、私も耳にしている。…正直に言って、ヒナちゃん達の事情を考えても、良い結果になるとは思えない。…どうしようか、ダフネ？」
　「…そうですね。…」
　と、ダフネも姿勢を崩さぬまま、静かに淡々と答えだす。
　「要は、アインスヤヴァイ家の兄弟が試験に合格しなければ問題はないです。…ですが私達にも現状として、何も出来る事がありません。…ただギルドの職員として、粛々と仕事をこなし、無事に終えるしかないですわ。」
　「…やはり、それしかないか。」
　「…彼等が試験に落ちる事もあるかもしれないです。…しかし、エーデルヴァイス家が認めたとなれば、戦闘の実力だけはあると証明されているのは確かでしょう。…」
　「冒険者は実力主義。…ただ才有れば、来る者も拒まない。…なんとも歯がゆいな。…人事を尽くして天命に委ねるしかないとは。…」
　「……。」
　「…子供達の未来の為にも、何か方法はないのかね。…」
　それをリキッドは聞いて、力なく項垂れてしまい、頭を悩ます。百面相しながら、解決策を模索しているようだった。