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間章 再びの不穏な様子と試験に向けて
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「ヒルフェ様!!…どちらに向かわれるのですか?…まさか、…。」
「確かめに行く。」
「し、しかし、…」
「…放っておけるか!」
それでもヒルフェは止まらず、突き進んでしまう。
やがて二階へと来た時の階段付近にまで戻ってきた。
すると目の前の扉の中から、「なんですって!?」と、キリエの大きな声がする。
時同じくして、誰かの話をする声も聞こえてきた。
ヒルフェは部屋の前に辿り着くや否や、すぐに扉を押し開けて、強引に室内へと入って行った。
次の瞬間には、室内にいた全員がヒルフェの方を振り向いた。
その部屋は応接室である。中央には長テーブルが縦に置かれ、両隣には大きめのソファーが並べられている。
片方のソファーには、リキッドが腰掛けていた。ヒルフェを見ながら、驚いて両目を見開きながら固まっている。
その側では、ダフネ及びヒナとキリエが横並びになりながら、同様の様子を露にしている。
「おやおや、…随分と威勢の良い子供だ。」
また彼等と対面する様に、一人の初老の執事が反対側のソファーに座っており、澄ました表情で視線を向けながら、独り言を呟いている。他の人達とは対称的に落ち着きはらい、余裕を見せた態度である。
真っ先にダフネが、強めの口調でアルフォンスを問いただす。
「アルフォンス!…何故に、ヒルフェ様が此処に来たのですか?」
「す、すいません。…止めようとしたのですが、追い付く事すら出来なかったんです。…」
「っち、…どうしてこうなるのかしら。…」
「す、すぐに出ていきます。…ヒルフェ様、行きましょう!?」
対してアルフォンスも謝罪しながら取り繕い、慌ててヒルフェを連れて行こうとする。
「おい、待てって!?」
と、ヒルフェも負けじと抵抗していた。
「確かめに行く。」
「し、しかし、…」
「…放っておけるか!」
それでもヒルフェは止まらず、突き進んでしまう。
やがて二階へと来た時の階段付近にまで戻ってきた。
すると目の前の扉の中から、「なんですって!?」と、キリエの大きな声がする。
時同じくして、誰かの話をする声も聞こえてきた。
ヒルフェは部屋の前に辿り着くや否や、すぐに扉を押し開けて、強引に室内へと入って行った。
次の瞬間には、室内にいた全員がヒルフェの方を振り向いた。
その部屋は応接室である。中央には長テーブルが縦に置かれ、両隣には大きめのソファーが並べられている。
片方のソファーには、リキッドが腰掛けていた。ヒルフェを見ながら、驚いて両目を見開きながら固まっている。
その側では、ダフネ及びヒナとキリエが横並びになりながら、同様の様子を露にしている。
「おやおや、…随分と威勢の良い子供だ。」
また彼等と対面する様に、一人の初老の執事が反対側のソファーに座っており、澄ました表情で視線を向けながら、独り言を呟いている。他の人達とは対称的に落ち着きはらい、余裕を見せた態度である。
真っ先にダフネが、強めの口調でアルフォンスを問いただす。
「アルフォンス!…何故に、ヒルフェ様が此処に来たのですか?」
「す、すいません。…止めようとしたのですが、追い付く事すら出来なかったんです。…」
「っち、…どうしてこうなるのかしら。…」
「す、すぐに出ていきます。…ヒルフェ様、行きましょう!?」
対してアルフォンスも謝罪しながら取り繕い、慌ててヒルフェを連れて行こうとする。
「おい、待てって!?」
と、ヒルフェも負けじと抵抗していた。
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