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2話 三章 ヒナとキリエと街でのあれこれ
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「ヒナ様!?」
と、キリエが真っ先に反応し、大声をあげているようだった。
「えぇい!…離れろよ!」と、俺も腕に力を入れて全力で押しきり、ようやくアルフォンスの腕の中から逃れた。続け様に状況を確認すると、隣の方を見た瞬間に驚き、両目を見開いてしまった。
なんとヒナが背後から、俺の腰の辺りに抱きついたまま、顔を向けて見ている。じっと此方を上目遣いで見ながら、
「あぁん、もう、ひーにぃ。…何処に行ってたの?…リエちゃんと、お出かけしててズルい。…あたし、ずっと食堂で朝御飯を一緒に食べようと待ってたんだよ。」
と文句を言いつつ、嬉しそうに猫なで声で話しかけてきた。
対して俺は、必死に思考を巡らせて、なんとか取り繕ろうとしている。顔が火照るのを隠そうとし、心の中で恥ずかしさが込み上げるのを堪えて平静を装おうとする。因みに横から、キリエの怨念めいた視線も感じていた。
すぐに俺は取り繕う様に、喋りかける。
「あのな、別にそういう訳じゃねぇんだよ。」
「そうなの?…でも、いいや。…それよりも早く馬車に乗って、お出かけしに行こうよ!」
だがヒナは此方の様子を気にも止めずに、今度は俺の腕を掴むと引っ張って馬車の方へと連れていき、座席に座る。
俺は戸惑い、訳が解らぬまま馬車のワゴンに入れられ、、彼女の隣の座席に腰かけてしまう。
やや遅れてキリエ、ダフネやアルフォンスが続々とワゴンに乗り込んできた。
と、キリエが真っ先に反応し、大声をあげているようだった。
「えぇい!…離れろよ!」と、俺も腕に力を入れて全力で押しきり、ようやくアルフォンスの腕の中から逃れた。続け様に状況を確認すると、隣の方を見た瞬間に驚き、両目を見開いてしまった。
なんとヒナが背後から、俺の腰の辺りに抱きついたまま、顔を向けて見ている。じっと此方を上目遣いで見ながら、
「あぁん、もう、ひーにぃ。…何処に行ってたの?…リエちゃんと、お出かけしててズルい。…あたし、ずっと食堂で朝御飯を一緒に食べようと待ってたんだよ。」
と文句を言いつつ、嬉しそうに猫なで声で話しかけてきた。
対して俺は、必死に思考を巡らせて、なんとか取り繕ろうとしている。顔が火照るのを隠そうとし、心の中で恥ずかしさが込み上げるのを堪えて平静を装おうとする。因みに横から、キリエの怨念めいた視線も感じていた。
すぐに俺は取り繕う様に、喋りかける。
「あのな、別にそういう訳じゃねぇんだよ。」
「そうなの?…でも、いいや。…それよりも早く馬車に乗って、お出かけしに行こうよ!」
だがヒナは此方の様子を気にも止めずに、今度は俺の腕を掴むと引っ張って馬車の方へと連れていき、座席に座る。
俺は戸惑い、訳が解らぬまま馬車のワゴンに入れられ、、彼女の隣の座席に腰かけてしまう。
やや遅れてキリエ、ダフネやアルフォンスが続々とワゴンに乗り込んできた。
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